プロレス的発想の転換のすすめ(87) カラーの違い
群れる?孤独になる?
今回は群れるのが好きか、孤独を好むのか?について考察してみたいと思います。
少なくとも昭和を代表するヒーローは、群れることをよしとしない傾向がありました。
仮面ライダーしかり、あしたのジョーしかり。ヒーローは孤独と背中合わせの存在として描かれていました。
路線の違いがある
ではプロレスではどうか?というと新日本と全日本では明確に路線が違っています。
NWAに加盟し、アメリカとの太いパイプがあった馬場全日本では、キラ星の如きスーパースターが毎シリーズ来日していました。
タッグが多い
こうしたスーパースターたちを出来るだけたくさん見せるには、シングルマッチをたくさん組むよりタッグマッチが多くなるのも必然でしょう。
一方でそもそも日本プロレスを「追放」される体で独立した猪木さんの新日本は、海外とのパイプもなく、所属選手も少なかったのです。
新日では
坂口征二さんらが合流するまではテレビ放送もつかず、スター選手は猪木さんだけ。
こうした状況では、そもそもタッグマッチをたくさんマッチメイクするわけにもいきません。
現代の状態を見ても
不思議なもので、このイメージは全日本が四天王プロレスを繰り広げ、シングル志向が強まっても、同様です。
また新日本が唯一の国内メジャー団体として、海外と太いパイプで繋がれても、あまり変わっていないのです。
扱いがぞんざい
だいたい新日では年末のタッグリーグ戦で勝ち上がったチームはドームのタッグ選手権において、チャンピオンに挑戦できるという、G1クライマックスと同じ「特典」がありながら、毎年全く盛り上がりにかけています。
しかもそのドームで組まれたチャンピオンシップは、下手したら3WAYとかになるわけで、こちらも扱いがぞんざいになっています。
シングル重視
G1クライマックス覇者とIWGP王者の闘いが3WAYになるとかは、ほぼありえない話ですから、新日本が未だにシングル重視(タッグ軽視)する傾向はもはやお家芸とも言えるわけです。
新日本プロレスのシングル志向は、こうしたお家の事情も反映していたのではないか?と私は思っています。
ファンの印象も
実際昔はファンサイドもシングル=新日、タッグ=全日というイメージがありましたからね。
ですから、たとえばG1クライマックス>チャンピオンカーニバルだったり、あるいは世界最強タッグ決定リーグ戦>MSGタッグリーグ戦みたいな印象があったわけです。
正統派はユニットを
新日本の場合、正統派の選手がユニットを組むということもまずありません。
棚橋は孤高のエースだし、真壁のGBHは、相方の本間が欠場していた時は機能してませんでした。
第三世代はそもそもチームでもユニットでもありません。
タッグ軽視、シングル重視
タッグ軽視、シングル重視という形で考えていくと、もともと数多ある世界王座を統一する目的でち作られたはずのIWGPにシングル王座が乱立している状況もなんとなく納得がいきます。
一方でかつては、NWAを筆頭に各種世界王座が乱立していた全日本は三冠統一を成し遂げました(もっともTV王座とか別なタイトルはできていますが)。
新日本の現状と比べたら、何とも皮肉な話です。
飯伏対棚橋
さて、 2017年11月5日 大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪) の第9試合・ IWGPインターコンチネンタル選手権試合として、棚橋弘至(王者) VS 飯伏幸太(挑戦者)というカードが組まれました。
この闘いでは、棚橋選手が、かつて力道山も得意技にしていたフライングヘッドシザースホイップや、リバースではないけどインディアンデスロックなどのような古典的な引き出しを開けて、飯伏を大いに苦しめました。
ヒール的な試合
派手なパフォーマンスで目を引いて堅実なレスリングで魅了する棚橋選手はまさに猪木さんの系譜も受け継いでいるといってもいいでしょう。
棚橋選手の試合で面白くなる時は、決まってヒール的な試合をするときで、これも猪木イズムといっていいかもしれません。
タッグの試合は
その一方でシングル戦では名勝負の多い棚橋選手のタッグの試合は殆ど記憶に残っていません。
そもそも正規のパートナーが長年不在といっていいと思います。
観客を裏切らない
ただ「観客を裏切らない」と宣言したように猪木さんとは明確に違うところも棚橋選手にはあります。
それでも棚橋選手が新日の系譜から生まれてきた選手であることは間違いないでしょうね。