プロレス想い出回想録 猪木について考える事は喜びである➉新時代に思いを寄せて
特別なこと
猪木逝去後、プロレスに特別興味のない層からもたくさん反応があった。
思えば、私も長いことプロレスを観続けてはきたが、周りにも私以上にプロレスを観続けている人は多くいたので、それが特別な事だとは思わずに生きてきた。
猪木なるもの
よくよく考えてみたら、アントニオ猪木がプロレス会場からいなくなった時間の方が、遥かに長くなっていたのである。
にも関わらず、私はプロレス会場に行くと「猪木なるもの」を感じて過ごしてきた。
それは、新日やIGFなどに限った話ではない。
会場には猪木がいる
なんなら猪木とは一切交わりがなかった団体や場所でさえ、「プロレス会場には猪木がいる」気がしていたのだ。
そんな私が、猪木と猪木の合わせ鏡と言われたジャイアント馬場も含めて、「BIの試合を生でみた」というと非常に驚かれるのである。
私がびっくり
そして、その反応に最初は私がびっくりしていたのだが、よくよく考えてみたらいつしか自分がマイノリティになっていただけの話だったのだ。
以前、現在の全日本プロレスを観戦に行った時、オープニングアクトをつとめたローカルアイドルたちが、自己紹介で自身の年齢を公表していた事がある。
馬場逝去後に
それを聞いて私は愕然とした。
なぜなら彼女たちは、ジャイアント馬場逝去後に生まれていたのだ。
没後に生まれた
つまり、彼女たちは全日本創業者であるジャイアント馬場を、生で見たことがないのに、全日本のリングでパフォーマンスをしていたのだ。
もっともそれが悪いことだとはいっていない。
今後どんどん
それだけ時間が経過しているのだから、そういうことがあってもおかしいことではないからだ。
そもそも全日本に現在所属しているレスラーでも、生のジャイアント馬場に接する機会があった選手は、今後どんどん少なくなっていくのだから。
時間の経過と共に
猪木逝去からまだ時間がたっていないため、実感は薄いものの、いずれ「猪木イズム」も「ストロングスタイル」も、時間の経過と共に形骸化していくだろう。
そのときに新日本が「KING OF SPORTS」を名乗っていいかどうかは、その時の新日本支持者が判断すればいいと思う。
自然と沈静化
今はまだ、猪木を体感し、猪木と同じ時代の空気を吸った人間が生きているから、現行の体制に対しては、様々な批判が起きている。
ただ、それは猪木を知るものが減っていけば、自然と沈静化していくだろう。
体験してきたことだけ
もっともその頃には、もしかすると「棚橋イズム」や「オカダイズム」が声高に叫ばれ、その時代のスターが批判をあびてるかもしれない。
まあそんな具合に、自分のアップデートはさておき、自分が体験してきたことだけを、絶対的な物差しにしたがる傾向は、往々にしてあるように思う。
歴史は繰り返され
まさに人間の歴史はそうして繰り返されてきたのだ。
アントニオ猪木もジャイアント馬場も、共に不出生の名選手だったことは疑いようのない事実である。
新時代のカリスマ
だから、もしかすると猪木・馬場に代わる新時代のカリスマが、未来に登場するかもしれない。
2022年現在大リーグで活躍する大谷翔平選手は、投手と打者の二刀流として次々と前人未踏の記録を打ち立てている。
約100年後
かつて二刀流で活躍したベーブ・ルースがプロ入りしたのは1913年。実に109年も前の話である。
当時の野球ファン・関係者に「約100年後、海を渡ってやってきた東洋の青年がルースの記録を破っていく」といっても誰も信じはしないだろう。
意外と心配は
プロレスで言えば、それこそ「ガス灯時代」のフランク・ゴッチの時代に、アントニオ猪木やジャイアント馬場の活躍を語っても、一笑に付されるだけではないかと思われる。
つまり、短いスパンでならカリスマは現れないかもしれないが、100年単位で考えたら、意外と我々が心配することはないのかもしれない。
おそらく生では
問題なのは、その新時代のカリスマを、猪木・馬場世代の人間は、おそらく生で見ることはできないだろうということ。
私は特に欲深いので、自分がみていない、体験してないことに対しては、どうにかして自分の血肉にしてやろうと考える傾向がある。
これから起こる未来は
だから、私が生まれる一年前に亡くなった力道山の試合は、リアタイできなかった怨念こみで、今もネットやCSなどで試合を見返している。
ただ、過去は残された映像をみれば遡れるが、これから起こる未来は誰も見ることが出来ない。
口惜しさもあって
そうした口惜しさもあって、新時代のカリスマをみられるかもしれない世代には嫉妬してしまうことはあるのかもしれない。
だから、私は想像している。
暗いことばかりでは
猪木亡き後も「猪木なるもの」は、プロレスに息づき続け、次世代・次々世代に伝わっていく未来を。
そしてそこから、「猪木なるもの」に触れた者の中から、覚醒し新時代を切り開く「カリスマ」が現れることを・・・・
そう考えていくと、未来は決して暗いことばかりではないのではないだろうか？
