[プロレス観戦記] がむしゃらプロレス・FM KITAQ杯『1Dayタッグトーナメント』〜 新星超魂 〜

がむしゃらプロレス・FM KITAQ杯『1Dayタッグトーナメント』〜 新星超魂 〜(2018年4月29日(日)門司赤煉瓦プレイス)

早いもので2月には大雪に見舞われた赤煉瓦プレイス大会から二か月。すっかり春めいて・・・というより暑いくらいの気温になって、これから別な意味で外に並びにくくなる季節になるんだなあというのを痛感させられる。

ジュニアのトーナメントの時は、猛吹雪の中、先行入場券ほしさにならんだものだったけど、さすがに閑散としていた。しかし、春先となると恒例の行列も復活。長蛇の列の中無事整理券ゲット。

中に入ると、リング下までびっしり椅子が並んでいて、エプロンサイドが異様に狭い!これで場外戦やられたら怖いなあと思いつつ、試合前にgWoの豪右衛門さん&土屋クレイジーさんと、愛媛プロレスのライジングHAYATO選手&キューティーエリーさんと写真を撮ってもらった。

こういうのも一期一会なんだなということを痛感してからは、積極的にとってもらうようにしている。

さて、今回のタッグトーナメントはどこも強豪ぞろい。個人的願望としてはZAKA&KENTAにあがってきてほしいのだが、そうはいってもトーナメントは生ものに近い。だから勢いに乗ってしまうと怖いというのはどのチームにも言えることなのだ。

前説はダイナマイト九州、陽樹、土屋クレイジーという珍しいトリオ。岩国プロレスで因縁が発生したライジングHAYATO と愛媛プロレスでタイトルマッチを行う土屋クレイジーは、「私事」といいつつ6月の愛媛でライジングHAYATOのもつ四国統一ベルトの挑戦が決定したことを報告した。

そのあと、ドン・タッカーが登場し、ドリームチューバ―が登場して、前説は終了。この時はまだ不穏な動きはなかったが・・・・

▼力 雷汰 試練の3番勝負 Part1

①×力 雷汰 vs○久保 希望

(11分23秒)

この試合で私が注目する点はただ一つ。力 雷汰 がいかにしてやられるか、だけである。彼がもしやられても下を向いているだけなら、私はそれまでの選手だと思うだけだし、やられてもやられても立ち上がろうという姿勢が、試合から伝わってくれば、これからも力 雷汰を応援したいと思うだろう。

やられてもやられても立ち上がる、というファイトスタイルは、久保希望の十八番でもある。010年、6人タッグで大谷晋二郎とぶつかった久保希望は、最後まで勝負を諦めなかった。のちに大谷は「久保くんの目は死んでいなかった」とコメントしたという。

であるならば、試合終了してもなおマスクの下にある力 雷汰の目が生きているか?見所はそこになってくると私は思っている。

たしかに力は最後まで勝負を諦めなかった。エルボーも終盤こそ手打ちにはなっていたけど、精いっぱいのことはやったと思う。頑張ったからこそ会場から力コールもおきた。だからこそ、これは自分の技だ!といえるものを早く身につけてほしい。

かつてジャイアント馬場さんがスーパーストロングマシンにいっていた「彼はなんでもできるけど、これというものがない」というコメントを引用するならば、今の力には「何でもできるわけではないけど、これというものもない」状態ではないかと思う。

言い方はきついけど、でもやりようによってはエルボーだって三沢光晴さんみたいに必殺技に昇華できるのがプロレス。力がそれしかできないんだったら徹底的にエルボーだけでのし上がる選手になるのも悪くない。決して器用ではないし、年齢もいっているからこそ、気持ちだけは誰にも負けない選手になってもらいたい。

久保が最後まで声をからしながら、力のエルボーを受けていたのはある意味そうしたメッセージもこめていたのかもしれない。忙しいさなか、練習も可能な限り休まずに来ている力だからこそ、応援される選手になりうる素養はこの試合でも見えたのではないかと思う。

▼1DayトーナメントAブロック1回戦(30分1本勝負)

②×HIROYA & SMITH vs ○MIKIHISA & 尾原 毅

(12分50秒)

この試合がデビューになるHIROYAだが、体格や素質以上にデータがないということが、最大の武器になるのではないか?と私は思っている。

リードするSMITHからすると、隠し札を持って挑める分、心理的には有利。しかも、どうみても尾原・MIKIHISAは心理戦が得意なタイプではない。SMITHの頭の中を私が想像してみるに「ふたりとも蹴ってくる人」だけという印象なんではないだろうか?

そんな「蹴ってくる人たち」が勝機をみいだすとしたら、やはりHIROYAを狙うしかない。が、実際はSMITHを倒さなければ先には進めない。さあ、どうする?ましてや連携に難があると思われるMIKIHISA&尾原は、策士SMITHにどう挑むか?

SMITHはいつも通り星条旗コスチューム。そしてHIROYAも星条旗のロングタイツ(下は普通のロングタイツ)でチーム感をアピール。一方不気味なマスクのMIKIHISAと、色違い(ドリームチューバーカラー)のマスクをつけた尾原。こちらも急造ながらチーム感をアピール。

もともとタッグは苦手と言いつつ、実はGWAタッグ挑戦者決定トーナメントでは、急造コンビで優勝もしている尾原だが、相手が策士SMITHではさすがに分が悪いと私は踏んでいた。しかもHIROYAがこんな大舞台でのデビュー戦なのに、笑顔で登場してくるくらい肝が据わっていたので、「こりゃとんでもない逸材だな」と私すら面食らった。

そのうえ、HIROYAは笑顔だけでなく、尾原&MIKIHISAの鋭いキックのコンビネーションですら受け切ってしまう。もちろんこの時は笑ってはいないのだが、登場時のインパクトが鮮烈だったせいか、会場人気も味方につけてしまった。

中盤まではSMITHのいつものパターンに試合が支配されていて、これはよほどの事がない限り、SMITHがどうにかして勝つんじゃないか?と私は思っていた。

だが、これに尾原&MIKIHISAは動じなかった。敢えて事前に凶器を使う、使わないでギクシャクしてみせたのも、作戦だったのだ。そしてここぞという時に、HIROYAとSMITHを分断。

最初から尾原組のねらいはHIROYA一人だったのだ。しかし、それはあまりにセオリー通りすぎる。SMITHに警戒されたら全てはそこでおわり。だからこそ、策士のSMITHを騙す必要があった。

SMITHに唯一穴があるとしたら、シングルほどタッグには執着していない点で、ここもポイントになったと思う。もしタッグ王座を最初から狙っているなら、第1試合から綿密な罠を張り巡らしていただろう。しかし、見ている限りは、計画的な試合運びはしていなかった。

私の想像だが、SMITHのもつシングルのタイトルに一番近い挑戦者になりうるのが陽樹だと思う。その陽樹が尾原組のセコンドについていた。敵に手の内をみせないことでは定評があるSMITHは、おそらく陽樹の存在も目に入ったのだろう。

しかし、いくら急造チームでも手の内を隠したままで勝てるほど尾原とMIKIHISAは甘くない。結果的にはだましたつもりが騙されてしまうというSMITHらしくないことになり、HIROYAを見殺しにしてしまった。

だが、初戦で強烈なインパクトを残したHIROYAは、明らかにドリームチューバーの貴重な戦力になりうるだろう。もしSMITH&HIROYAに「次」があるなら、こうはいかないかもしれない。また、ほかにもいろいろな選手との組み合わせや、いずれはシングルマッチもみてみたい。何より、デビュー戦をあんなに楽しそうに、しかも大声援をおくられても堂々としていられるというのは、それだけで大器といってもいいだろう。今後のHIROYAには大いに期待したい。

▼1DayトーナメントBブロック1回戦(30分1本勝負)

③バッファロー吉田 & ○ライジングHAYATO vs ZAKA & ×KENTA

(12分37秒)

他団体だらけの中にひとりKENTAがまじる異色のぶつかり合い。有利なのは同じ団体にいるバッファロー吉田&ライジングHAYATOになるだろう。しかし、個々の実力ではZAKAとKENTAも侮れない。ハマれば怖いチームには違いないのだ。ましてやヒール同士で、しかもヘビーとジュニアという力のバランスもよい。正直、抽選前に本命としてZAKAとKENTAをあげていた私としてはこの組み合わせは悩ましくてもどかしい。

試合はZAKAとKENTAが急造チームとは思えないクオリティの高いタッグワークをみせていく一方、同じ団体所属ながらほとんど組んだことのない吉田とHは最初からギクシャクしていて、これは愛媛に分が悪いのではないか?と私は見ていて思っていた。

おそらく身体が勝手に動くタイプのHAYATOと、頭で考えてから動く吉田は選手としても人間としても水と油なのだろう。

しかし、あまりにセオリーからはずれた愛媛プロレスのチームワークに、すっかり騙された格好になったZAKAとKENTAは、自分たちのやりたいようにやりつつ、実は墓穴を掘らされていた。考えてみたら、自分たちが一番恐れている仲間割れを、目の前で相手がああも堂々とやられては混乱しても無理はない。おまけに向こうはどう見てもヒール軍ではないし、同じ団体に所属する者同士なのだ。正直わけがわからなかっただろう。

ところが、バッファロー吉田は、見た目がコミカルながら、ああ見えて意外と策士でもあった。ジュニアのZAKAではなく、KENTAをねらったというのも非常に巧妙だった。仲間割れは作戦というより、たまたま奏功したといえるだろう。

最後はHAYATOがKENTAを叩きつけて二回戦進出。途中まで好連携もみせていただけに、ZAKA・KENTA組はもっと見たいチームだったが、残念ながら初戦敗退となってしまった。

▼6人タッグマッチ(30分1本勝負)

④○ダイナマイト九州 & 陽樹 & 土屋クレイジー vs TOSSHI & ×Barong & 鉄生

(15分30秒)

2月に続いてまたしても陽樹と鉄生が顔を合わす対決。前回は不運なことに前後の試合が、同タイプの内容になってしまい、ハズレなしだった顔合わせが、微妙な印象になってしまった。もちろん彼らのことだから、他は度外視でいくだろうし、それ以外のことは考えなくてもいいだろう。

さて、今やダイナマイト九州は、スマックダウンにもRAWにも所属しないジョン・シナみたいなフリーエージェントと化している。昨年末はLCRにいたと思ったら今回はgWo。しかし、だいぶ前にgWoの一員として出ているので、実質出戻り。

ところが、その時にはgWo所属じゃなかった陽樹と土屋が今回はパートナーになっている。意外とこの試合にアクセントをつけられるのは九州かもしれない、と私は予想していた。

いざ試合が始まってみると、意外にも土屋とTOSSHIやBarongとの絡みがたくさんあった。普段は階級が違うため、なかなか絡まないが、土屋が保持しているタッグ王座ならからんできそうな2人でもある。

Barongは時折見せる高いグラウンド能力で、総合格闘技をベースにもつ土屋と互角に渡り合う。またTOSSHIも自慢の蹴りだけではなく、関節技で土屋に対抗していく。この2つの絡みがちょうどいいスパイスになって試合内容が引き締まった。

そしてもうひとつキーマンになったのはやはり九州。自分のテイストを変えずに、戦力になりそうで、ならないラインをうまい具合につついて、敵味方問わず混乱させるのは、九州にしかできない。

結局、策士のbarongをもってしても、九州の「わけのわからなさ」にはきってとられるという、LCR的には散々な結末を迎えることになってしまった。試合後、土屋に向かって、過去自分がタッグチャンピオンだったことを引き合いに、YASU&土屋組に挑戦するのかどうなのか、よくわからないマイクで、呆然とする土屋・陽樹を放り出して帰ってしまった。さて、この動きに続きがあるのやらどうなのやら・・・・

▼1DayトーナメントAブロック準決勝(30分1本勝負)

⑤MIKIHISA & ○尾原 毅 vs ×BIG-T & 豪右衛門

(13分53秒)

BIG-Tが唯一、自分からチャンスを求めて行動に出たのが、正規軍離脱からのgWo入りだった。でもその後は組まれた試合をこなすだけ。試合後にMIKIHISAと豪右衛門にボコられる光景が日常化していて、これでは何のための移籍だったかわかりゃしない。

気がつけばBIG-Tもキャリア5年。後輩の美原が2度もタッグタイトルに挑戦し、昨年はGAM1にまでエントリーした。しかもHIROYAという大型選手枠を食われかねないスーパールーキーの登場で、これ以上無いくらいの窮地に立たされている。

さて、そんなBIG-Tをみかねた豪右衛門がMIKIHISAとのチームを一時的に解消した副産物とはいえ、陽樹らに声をかけずにBIG-Tをパートナーに指名した。これはチャンスというより最後通告に近い。これで背信すればいよいよチーム内にも居場所がなくなる。元来もっている資質を生かし切れたら、多分誰も勝てないはずではないか?

ところが、相手チームはgWoでも比較的組むことが多いMIKIHISAと巨漢退治を得意としている尾原毅。対戦相手が悪かったとも言えるのだが、残念ながらBIG-Tが頑張った先の向こう側はこの試合からは伝わってこなかった。

正直、BIG-Tが正規軍側にいたときには心強い味方だった尾原も、敵に回せば非常に厄介な相手。それはMIKIHISAにしても同じ。しかも二人とも豪右衛門には目がいっているものの、BIG-Tはそれほそ眼中にない感じがみてとれた。特にMIKIHISAは3月に豪右衛門がタッグ屋からシングルチャンピオンになったことで、相方特有のジェラシーを隠さなくなった。

本来、BIG-TにはMIKIHISAのような感情を表してほしかったし、相手に無視されていることを悔しがっても欲しかったのだ。これまでもそうなのだが、今のBIG-Tからは「頑張っている」以上のものが伝わってこない。「頑張っている」で許されるのは、せいぜい力雷汰どまり。キャリア5年の選手だともうそれは許されないし、新人扱いしてくれるわけでもない。

一番もどかしかったのは、BIG-Tが決めに行こうとしたのど輪落としの体勢で、尾原を落とす前にもたついていたこと。相手をもちあげるとどうしても隙ができてしまう。それはあのマスクドPTですら例外ではなかった。第二代GWAインターコンチネンタル王座をとった時のように、もちあげられたときこそ、実は尾原毅にとっては絶好の反撃タイムになっているのだ。そこはせめて用心してほしかったが、結果は案の定、そこから腕ひしぎに決められてタップアウト。

試合後、MIKIHISAが豪右衛門にインターコンチのベルトへの挑戦表明をしている時には、もうBIG-Tの存在感は消し飛んでいた。いろんな意味で残念な試合ではあった。頑張っているだけではむくわれないのはプロレスも現実社会も一緒。プロレスは決して簡単なものではないのだ。

▼1DayトーナメントBブロック準決勝(30分1本勝負)

⑥×バッファロー吉田 & ライジングHAYATO vs ○美原 輔 & サムソン澤田

(10分30秒)

次世代のがむしゃらプロレスのタッグ屋とも位置づけられる、美原・澤田組にしてみたら、誰が相手でも勝ち上がる必要がある。

でないと、とてもではないがその先にあるベルトには届かない。2017年は1年に二度挑戦するチャンスを手にしながら、戴冠には至らなかった。自分でつかんだ幸運を自分で手放してしまった美原としては、今回のチャンスは逃したくないのではないだろうか?

そうなると、トーナメントの先にあるものへのモチベ―ションの差が、勝敗となって表れてくるだろうと私は見ていた。つまり、愛媛勢が果たして優勝以上のうまみを感じているかどうか?自団体なら必死で守りに来るはずだろうけど、他団体のタイトルとなると、普通は微妙になるものである。

もっともそんな思い込みを覆してGWAタッグ王者になった、松江だんだんプロレスのマツエ・デラックス&ミステリコ・ヤマト組のような例もあるから、他団体選手即、モチベーションが低いと断ずるのは早計でもある。

とはいえ、愛媛タッグは一回戦こそ急増タッグ同士の試合だったけど、今度は普段から組んでいてタッグ屋の看板も背負う覚悟がある美原&サムソン組。ZAKA&KENTAの時と同じ手は使えない・・・・はずだったのだが、なぜか愛媛勢は二回戦も見事に仲間割れを演じる。確かに同じ団体の選手同士でもこれなんだから、因縁のできてしまった土屋クレイジーが、キレるのもわからないではない。

ということで、結局いつも組んでいる人間の強みを最大限に生かした美原&サムソン組が好連携を披露して決勝進出と相成った。愛媛の課題はかつてがむしゃらプロレスが指摘されていたように、タッグ屋を育てることというのが急務かもしれない。その前に自前の選手層を厚くしないと、いつまでも吉田とHAYATOの二枚看板では団体が長続きしないだろう。

▼スペシャルタッグマッチ(60分1本勝負)

⑦×久保 希望 & 阿蘇山 vs 杉浦 透 & ○越中 詩郎

(11分51秒)

ツイッターでがむしゃらプロレスをネタにしていた杉浦が、満を持して2018年がむしゃらプロレス初登場。パートナーが越中詩郎というのは反則だと思うが、久保&阿蘇山の師弟コンビは、ひとすじなわではいかない曲者である。それは、ナスティアウトサイダーズに籍をおく杉浦ならば、嫌でも熟知しているはずだ。

まあ、今回は越中とのタッグという事もあってか、杉浦は必要以上に気を使っていた感じはしたけど、長きにわたりタッグ王者としてFREEDAMSの看板を背負っているだけあって、やや過剰ではあるけど、ゆるぎない自信みたいなものを感じた。

一方、自分より年上の選手と当たること自体がレアな阿蘇山は、終始やる気満々。藤波辰爾戦以来のレジェンドとの対決を心待ちにしていた様子がありありとわかる。やはり自分がファン時代、あるいは若手時代に雲の上の存在だった選手とあたるというのは灌漑深いものなのだろう。あの藤原組長だって、ファンクスと対戦した時は、ファンの頃に戻っていたといっていたくらいだから、こういう顔合わせは非常に貴重だし、見る側にとっても面白い。

こういう相手に対して燃えるのが、侍・越中の真骨頂。ジャンプ力は衰えたものの、その存在感やケツの破壊力まで衰えたわけではない。あの阿蘇山をたじろがせるほどの熱気は、もうすぐ60になるとは思えないほど若々しい。レジェンドと侮っていたら絶対に勝てない相手でもある。

その気迫につられて久保も本来持っていた向こうっ気の強さを存分に発揮。極めつけは積極的に場外戦に打って出るその気迫。狭い場外であえて飛んでいく久保の真骨頂は逆に越中にも火をつけたのかもしれない。

最後は高角度パワーボムで、越中が軽量の久保をしとめたが、最前線で現役バリバリの選手を堂々とピンフォールしてしまうんだから、本当にすごいとしかいいようがない。肉体の張りもトレーニングをしっかり積んできていたし、何から何まで規格外だった。

▼GWAジュニアヘビー級選手権試合(60分1本勝負)

⑧×《挑戦者》ドラゴン・ウォーリアー vs ○《王者》トゥルエノ・ゲレーロ

(12分06秒)

二月のジュニアトーナメントで見事優勝を果たしたドラゴン・ウォーリアー。対するゲレーロは盤石のジュニアチャンピオンとして、絶対王者の道をひた走る。

ところが、実は初シングルではこの顔合わせでドラゴンが勝利している。あの時の舞台はGAM1だった。だが、昨年10月の小倉北で証明されたように、ベルトや何かが懸かったときのゲレーロは異様に強い。連敗していたジェリーKにも、昨年10月のタイトル戦でキッチリけりをつけた。

ただ、試合というのは常に生ものである以上、どう転ぶかわからない危険性をはらんでいる。この試合もそうだった。序盤のエルボーの打ち合いから、ドラゴンの様子があきらかにおかしい。ロープワークもままならず、脳震盪を起こしていたのは明らか。普段はセコンドにつくことがない土屋や大向美智子らエゴイスト勢がセコンドについたというのも、「万が一」を想定したものと私は思っていた。

幸か不幸かギリギリ試合が成り立つレベルと判断されたっため、そのまま続行となったが、これは正直誰が悪いという事ではない。ゲレーロにもドラゴンにも裁いたレフェリーにも罪はない。正真正銘100%事故だったからだ。それだけに試合をとめる、とめないの判断は難しくなる。おそらく止めた場合、両者に悔いが残ることは容易に想像がつくし、それでも試合を成立させてこそ、りングに上がる資格があるともいえる。

だが、続行という決断をしたために、ドラゴンの勝ち目は極めて薄くなってしまった。この時運を味方にできなかったドラゴンが、不運だったのかもしれないし、逆にアクシデントを味方につけられたゲレーロに分があったとしかいいようがない。

もっともよいコンディションでもう一回再戦をやらせてほしい気持ちも一方ではある。でも、何度もいうようだけどプロレスは生ものであって、やり直しがきかないというのもある。それだけにこういうこともおこりえるということも考慮しておく必要がある。そしてライブだからこそ、一瞬で高度な判断も要求される。そういう意味では、プロレスの難しい側面を教えてくれたような試合であったとも私は思っている。

▼1Dayトーナメント決勝戦(30分1本勝負)
⑨×MIKIHISA & 尾原 毅 vs ○美原 輔 & サムソン澤田
(12分21秒)

この2組が決勝に上がってきたという事はある意味、勝者がどちらかという点で、自分の中で予想がついていた。そして実際その通りに美原組が勝ったわけだ。とはいえ、急造タッグでトーナメントを制した実績のある尾原毅のスキルはそうそう侮れない。キックとサブミッションでは他の追随を許さない2人は序盤から、一切手を抜かずに若手陣をいじめぬく。昨年までだったら、ここで終わっていたかもしれない場面が何度もあった。最初こそぎくしゃくしていた連携も、決勝では文句なし。一見するとこれで尾原・MIKIHISAが優勝してしまいそうな勢いがあった。

一方、美原組の攻めで効果的だったのは「若い力が勢いに乗せると怖い」という点。ここを美原・サムソン組が最大限生かし切ったのだろうと私は見ている。実際実力では尾原・MIKIHISA組がなんら劣っているわけではないのにも関わらず、なぜか試合の後半は美原・サムソンが押していたからだ。

それだけ美原とサムソンには、タッグ王座にかける意気込みがすごかったということだろう。なんだかんだいって、既に戴冠歴のある尾原とMIKIHISAに対して、三度目の正直にしてもうあとがない美原・サムソンのモチベーションの高さは試合前から違っていた。

尾原はもともとタッグに関しては執着がない。一方MIKIHISAに見えているのは、現・タッグチャンピオンのYASU・土屋組ではなく、相方の豪右衛門だった。そこへいくと、最初から狙いをチャンピオンチームに見据えていた美原組が勝つべくして勝ったともいえる試合だった。

試合後、美原がタッグチャンピオンへの挑戦を表明。ドン・タッカーが承諾。一方「がむしゃらプロレスを西日本いちの団体にする」ため、ドリームチューバ―を卒業することを発表。今勢いにのるドリームチューバ―は果たしてこの勢いのまま頂点を極められるか?今後とも目が離せない。

私的な話だが、実は風邪が治りきっていない状態にも関わらず、つい観戦で大声出してしまったせいで、翌日からは完全にダウン。火曜朝一で病院に駆け込んで治療してもらって、そこからは休み休み、観戦記を書きあげた。好事魔多しとはまさにこのこと。



体調には十分気を使っているつもりだったのだが、春先の気温差というのは、人間の想定をこえることもままあるのだな、とつくづく思い知らされた。

でもまあ木曜からはレスリングどんたくもあるし、ここで無理して全部をおじゃんにするわけにはいかなかった。外出予定も全部キャンセルしてひたすら静養にもつとめた。好き勝手に書いている以上、こちらも体調万全で臨まないと、リング上で身も心も削りあっている選手の皆さんに失礼というもの。

体調がある程度治ってから一気に書き上げた。だいぶん遅くなったので、お待たせしてすいませんでした。

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