[プロレス観戦記復刻版] ドラゴンゲートSTORM GATE第四戦・海峡メッセ下関大会

せかぷろ

ドラゴンゲートSTORM GATE第四戦海峡メッセ下関大会

(2011年8月22日・月:海峡メッセ下関展示見本市市場:観衆500人)
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イントロダクション

下関では年に2回定番でやっていたドラゲーも昨年はついに一回だけ。しかも東日本大震災の4日後に強行された今年3月の下関大会は絶望的な不入りで、これは年2回どころか、来年くるかどうかも怪しくなってきたところへもってきて、いきなり8月開催と聞いて驚いた。

前回がドラゲーらしからぬ内容でいろんな意味でがっかりした大会だったんで、正直直前まで行くかどうしようか迷ったんだが運よくお仕事が入って、チケット代が出たんで^^もうこれは行くしかないだろうと!

正直、もう下関で生観戦できる団体はドラゲーしかないというのが現実なんである。新日はおろかノアも、今年は全日すら怪しい。そんな中下関のプロレスの灯をともし続けてくれる団体、それがドラゲーなのだ。そう思えば大雨警報が発令されようがなんだろうが行くのがプロレスファンってもんでしょ!で、豪雨の中、渋滞を予想して早めに家を出たら意外と早く着いてしまったんだが、今度は会場周辺が大雨。10分くらい車の中で待機したのち、徒歩で海峡メッセへ。

なんとか傘さしても大丈夫だったんでよかったが、かえってこの状況が燃えたかもしれない。ロビーをうろうろしていたけど天気のせいかイマイチ客足が伸びてない。割引券これでもかというくらいばらまいてもこの結果かあ。

オープニング

中へ入ると、なんと最後部(とはいえ5列しかない)のど真ん中。しかも、前の席に誰も座ってない超ラッキー!試合前の前説では今まで流し気味というかいちいちどのユニットがどうなってこうなってという説明は省き気味だったが、春に二大勢力に統一されたせいか、地方大会では特にわかりやすい、善悪をはっきりさせて、前説ではブーイングの練習までしていた。

今までは「お前らもうわかってるよな」的に一見さんをほったらかしにするのがドラゲーの地方大会だったんだが、それがなくなったというか、あえて一見さんの方を向こうとしている姿勢に改めたのは好感がもてた。こういう姿勢が大切なんですよ!

マイク合戦①

第一試合開始が告げられるとブラッドウォリアーズ(BW)とJUNCTION THREE(J3)とが総出で出陣。試合前にリング上にロープで区切られた中に両軍がわかれてマイク合戦。モッチーが「正直昨日(博多の王座戦)の今日できついのはきついですがそんなことはいってられません」といえば、CIMAがそれを逆手のとって「おい!望月!お前はもうじじいなんだよ!」とやりかえす。

最近はどのユニット組んでもCIMAはCIMAって立ち位置にいてなんか特別なスターって扱いになってて昔のような悪ガキっぽさがなくなっていたが、ヒールとしてBWを特化させたことで、初期のクレージーMAXの頃のようなやんちゃぶりが蘇っていた。

マイク合戦②

続いてはリッチとKzyによるラップ対決。ここまで19勝0敗という対決は当然のようにリッチが勝って、これで20勝!っていうか、日本語ラップが本場の英語ラップには勝てんでしょう^^しかしこれも団体内対抗戦という今ではほとんど死語に近い概念でありながら、最近のプロレスが一番おろそかにしていたことなんだよね。

わかりやすい悪役っていうのは都会では成立しにくいかもしれないが、ユニットをごちゃごちゃ変えられる方がよっぽどのファンでもない限り整理しづらい。ましてやこの日は前説で全試合BWとJ3の全軍対抗戦を謳って試合それぞれに意味をもたせていたし、この辺の見せ方も今までにない親切ぶりだったと思う。

「GAORAも週プロもきとらんがな」といいつつ、この日のCIMAはなぜかノリノリ。そしてBWへの応援が少ない事を知るとなにげにお客へ襲撃予告を。第一試合の去り際に、J3のタオルをもったファンからそれを取り上げりしていたんで、そこはそれで終わりだと思っていたら・・・・・とんでもない展開が待っていた。

ひとしきりマイクでやりとりしてこの日の流れを把握させた後は両軍そのままセコンドについて第一試合が始まった!

●第1試合タッグマッチ

堀口元気&○斎藤了(12分45秒、急所攻撃から丸め込む→首固め)Gamma&●横須賀享

しかしドラゲーも大胆な編成変えをおこなったもんだなと。どう転んでもベビーになる堀口をヒールターンさせ、かつてはやはりヒールが似合わなったサイリョウが悪役。かたや、いぶし銀の仕事師亨と、どうみても悪役顔のGAMMAが善玉っていうのも
変だなと^^

しかもGAMMAは基本竹刀もって、BWにいたころと同じことしてるし、つば攻撃だけではあきたらず、口に含んだ水をサイリョウの口にに二階から目薬の容量でコーナーから垂れ流すというきったない攻撃まで健在。

しかしこの日はなぜかGAMMAが標的にされてコーナーに下がると決まって叩き落とされそのたびに特リン席の子供さんの席になだれこんでいた^^最後は子供さんをリングにあげていたけど、そこはベビーらしかったかな?ここでCIMAの悪ガキっぷろが早くも炸裂。

壁に貼ってあったGAMMAと吉野の横断幕(私の真後ろ)をさっとはがしていったのだ!無残にテープの後だけが残る壁・・・奇跡の逆さ抑え込みとか基本「H・A・G・E」コールが起きないところをのぞけば全く4人とも変わってはないんだがあえてヒールを意識したのか亨の内腿に蹴りをぶちこんでサイリョウがスモールパッケージでピン!まずBWが一勝!

敗れた亨の股間にセコンドがコールドスプレーかけてたのはわらったけど^^

第2試合シングルマッチ

○土井成樹(9分53秒、バカタレ・スライディングキック→エビ固め)●リッチ・スワン

3月の大会ではドラゲーUSAとしてわかりやすいガイジンヒールをやっていたリッチ。しかし、白人レスラーならまだしも黒人レスラーの場合、全盛期のブッチャーみたいに残虐なまねをしない限り日本で悪役ガイジンとして生き残るのは難しいと思っていたら、J3入りということでこの方がキャラが生きるよなと思っていた。果たしてリッチはやっぱ人気を集めていた。

土井もそれほどヒールが似合う方ではないんだが、彼なりに考えた悪役像を模索してるように感じた。セコンド陣をうまく介入させリッチのお得意技をここぞというところでブロックしていたのはさすがキャリアのなせる業だなと思った。

リッチも3月に来たときよりずっとドラゲー慣れしててお得意のばねをいかした攻撃はPACにも勝るとも劣らない素材だけに、もっと経験を積んださらによくなる可能性を感じた。

試合はセコンドをうまく使った土井がリッチののど元に低空ドロップキックを決めて3カウント。これでBW勢2戦2勝!(除くラップ合戦)

第3試合シングルマッチ

●Kzy(12分17秒、バイブル)○ドラゴン・キッド

これも善悪はっきりしたカード。もともとなんでBWにキッドがいたのかが不思議なくらいだったが、追放というわかりやすい構図で元鞘に戻ったキッドはイキイキ。

Kzyのテーマに合わせてリング上でヘッドスピンを披露。一方の日本語ラッパーKzyはかつてのブラザーYASSHIを一回り大きくした感じの選手でやっぱちゃんとキャラは被らないよう内容も工夫してはいた。

体格で押すKzyとスピードで攪乱するキッド。一進一退でBWは再びセコンドが介入。サイリョウがコールドスプレーをキッドにかけるなどやりたい放題。両者の特色がまったく異なるんで面白いかみ合わせの試合になった。

やはりキャリアで一枚勝る分、体格差はあまり問題ないんだろう。長い間グッドシェイプで第一線で活躍するキッドに穴らしい穴はなかったしこれはある意味、kzyのキャラを引き出してキッドが勝つべくして勝った試合といっていいかもしれない。

飛びつき式の腕殺しから抑え込むあたりはキッドの真骨頂をみた気がした。この日のベストバウトといっていいと思う^^

第4試合セミファイナル・タッグマッチ

●神田裕之&戸澤陽(13分5秒、ソル・ナシエンテ)望月成晃&○吉野正人

休憩前はJ3が一矢報いたもののBWが先行。ところが勢いに乗るBWは休憩中地味に横断幕をはり直していたファンをあざ笑うかのように執拗に横断幕はぎを複数回強行。

とうとう、若手やリッチまで手伝って張り直すがそのたびにBWによってはがされさらわれあげく汗ふきにしたり、当の吉野への「凶器」に使ったりと散々弄んだあげくリング外へポイ!

このBWの強行に横断幕張ったファンがとうとう張り直した横断幕を守るため壁際に陣取る形で試合は続行。場内もこれで完全にJ3応援ムードに。しかし横断幕に目をつけてそれをこの日一日のメインストーリーにしてしまうとは!

おかげで試合をあまり覚えていないんだが^^確かにモッチーは前日が巨漢サイバー相手のタイトルマッチだったこともあるし、より動ける吉野がパートナーということもあってスピーディーな連携のあとコーナーにさがっているときはたってられなかった。

王者として最年長なのに連戦が義務づけられてるとなればやむを得ないが、やっぱ相当きついと思う。よくやってるよ、モッチー。でもやっぱ出番が来ると相手の技も受けて全力で蹴り返す。マスコミが誰もいなくても三角蹴りも出したし、一切手抜きはしてない。博多で猛威をふるった脇固めはやや入りが甘かったがこの辺はBWも同じ手はくわないってことだろう。

吉野の出番は必然的に多かったが売出し中の戸沢のパッケージジャーマンをことごとくカット。最後は腕を結び目固めにしてそこから抑え込んでJ32勝目!

五分に星を戻した!

第5試合メインイベント

○CIMA&B×Bハルク&サイバー・コング(17分24秒、シュバイン固め)鷹木信悟&YAMATO&●KAGETORA

さあ2勝2敗で迎えたメイン。意外にもハルクのヒールっぷりは堂に入っていてこれならもっと早くヒールやってもよかったかもしれない。相変わらず、横断幕は狙われたが
あまりの強攻に怒った女性ファンはとうとう襲撃してきたBWを威嚇。無事横断幕は守られた。

が、試合は意外にもYAMATOのローンバトルが続く。ハルクとの顔合わせは新鮮だったが、もと相方のサイバーには手の内を読まれすぎて窮地にたつこと度々。BWも急造タッグには違いないが目的がはっきりしてる分、連携に乱れがない。逆にJ3は
各人がバラバラで闘ってる感じ。

いざとなれば鷹木のパワーでひっくりかえせるんだが、その鷹木もつかまってしまうと、どうしようもない。コーナーで味方がへばっているからだ。しかし、この日はKAGETORAが予想以上に粘って頑張った。この中では一枚オチかなと思っていたが、さすがドラゲーの中で生き残ってるだけあって前見たときよりずいぶん成長したなあと感じた。

でもやっぱBWの波状攻撃で分断されてしまうとKAGEはターゲットになってしまう。最後はセコンドのブルーボックスでしこたまぶん殴られたKAGEがCIMAにとどめを刺された。

「やる気はないことはないがな!勝ったぞ!おい!J3を応援してたイナカもんども、お前ら雨に打たれてかえれ!」と捨て台詞を残して去っていく。

J3の三人が疲労困憊で立てないのをみかねて吉野が「おい!メインにでてたやつがマイクもたへんから俺がマイクとったぞ」といって博多ではできなかった「重大発表」を・・・・

まあそれは予想どおり年末の国際センター大会開催だったんでサプライズでなんでもなかったんだが^^マイクをYAMATOに渡すと「今日は負けましたけど下関に限らずどこの地方にいってもあいつらとの闘いは続きます。次戻ってきたらまたこの3人で
組んであいつらを倒します!」といって締めをKAGEに託した。

「今度やった時は勝ちます。今日はありがとうございました」と一礼して、ハッピーエンドで幕。いや、ここ最近はドラゲーの地方大会って試合内容はともかく、ユニットが変わりすぎたり説明が不親切だったり、サービスが常連さん特権が多かったり、とにかく
どんどんだめな方に流れて行っていたんだが、よくここまで軌道修正したなあ。

やる気になれば選手はいつも全力なんだからちょっと一見さんや、我々みたいにどこでも見るよというファンにもわかりやすい興業をパッケージで提供した意味は大きい。

そして各人が役割をはっきり認識したうえで、知恵を使ってこの日限り?のストーリーをきっち作って完結させた意味も大きい。まあ博多後っていうのもあったがだいたい続きは大会場で、っていう流れを作りがちな中、いち地方大会をここまで昇華させたんだからやっぱドラゲー侮りがたし!ここが本気だすと凄いんだってことを思い知らされた。

後記

試合後、リッチが募金箱持って立っていたんで今回は募金したらステッカーをくれて握手もしてもらった。雨でなければサイン帳持ってきてたんだが・・・・

残念。でも素顔のリッチはあのまんまのいい人だった。イスを間引いたおかげで一杯いたように見えたが全盛期に比べればあきらかに入りは少ない。こうなる前に手をうって欲しかったがそれでも、3月に続いてこの下関で2回やってくれる団体はドラゲーしかいない。

選手にも特別な思いがあるみたいだし、月曜でビッグマッチあと、しかも大雨という苦境の中ここまでの大会を見せてくれた事には大いに感謝したい。きてよかったよ!

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