[プロレス用語辞典](カ行) ギミック(英語:gimmick)
秘密の仕掛け
今回のプロレス用語辞典は「ギミック」を取り上げます。
ギミック(英語:gimmick)とは、手品師などの)秘密の仕掛け,たね,トリック,(広告などで人目を引くための)工夫,仕掛けという意味があります。
立ち位置もギミック
プロレス界では、プロレスラーのキャッチコピーや、役割、キャラクターの意味などで広く使われます。
具体的にいうと、ベビーフェイスやヒールといったレスラーの立ち位置もギミックになります。
プロレス創生期から
その役割を担当するにあたり、バックグラウンドとして、選手本来の人格とは別に、より適したキャラクターが作り出される事もあります。
古くは貴族のような出で立ちと振る舞いのゴージャス・ジョージ選手、第二次世界大戦時の日本の軍人をイメージしたグレート東郷選手など、ギミックは、プロレス創生期から存在しています。
観客の感情移入を容易に
こうしたギミックがなぜプロレスに存在するのでしょうか?
それは、レスラーのキャラクターを立たせることで、観客の感情移入を容易にし、試合に熱中させやすくするという利点があるからです。
インパクトのある
吸血鬼の異名をもつフレッド・ブラッシー選手に代表される、噛み付きやレフェリーにわからないように繰り出す反則行為など、ヒールの憎々しいレスリング術とパフォーマンスはその最たるものです。
プロレスファンに選手を覚えてもらうために、わざとインパクトのあるキャラクター設定を行う場合も多くあります。
デビュー前はスラム街で
たとえば来日前の、ロード・ウォリアーズの「デビュー前はスラム街でネズミを食べていた」というギミックは有名です。
ロード・ウォリアーズは、1981年に公開された映画『Mad Max 2: The Road Warrior』の世界観からインスパイアされているので、こうした設定になったようです。
ギミックチェンジ
ギミック上の出身地・経歴が実際とかけ離れているというのもプロレス界では決して珍しくはありません。
東京都中野区出身のマサ斉藤さんは、東京がアメリカでも知名度が高いことから、一時期出身地を大阪にしていたこともあったそうです。
こうしたギミックを変更することをギミックチェンジと言います。
改善策として実施
主に人気が低迷しているレスラーの改善策として実施されることが多いのですが、多くの場合、リングネームや外見の変更を伴います。
2022年5月1日、新日本プロレスのレスリングどんたくで、ジュース・ロビンソン選手がバレットクラブ入りしたことが、好例ですね。
小道具のことも
ジュース選手の場合は「ベビーフェイスが闇落ちしてヒールに転向」といった、観客を飽きさせないための演出といえるでしょう。
また、プロレスラーのキャラクターを抱かせるために使われる小道具のこともギミックと呼ぶことがあります。
小道具や動物も
ガウンや日系レスラーの田吾作タイツ姿と下駄や足袋といったコスチューム、入城の際に民族をアピールするため掲げる国旗類のほか、悪役レスラーが使用する凶器シューズ、毒霧などからマスクや凶器などの小道具、はては選手がもちこんでくる小動物もギミックと呼ばれます。
日本では、全面的にギミックが適用されているのは覆面レスラーが中心ですが、最近ではエンタテインメントを前面に打ち出した団体において、ギミックを取り入れるレスラーが目立つようになっています。
実像を混在すると
ギミックは、かつて梶原一騎さんの一連のコミックスで、実際のエピソードをもとにフィクションを織り交ぜていたため、日本では、レスラーに対してギミックと実像が混在していた時期がありました。
実像とファンタジーが混在するギミックは、リアリティも生みますが、フィクションとリアルを明確に分けたがる層には、あまり歓迎されないように私は思っています。