プロレス的音楽徒然草 クラッシュ~戦慄~
元は、MartialArts
今回は、蝶野正洋選手のテーマ曲としてお馴染みの「クラッシュ~戦慄~」のご紹介です。
この曲にはオリジナルがあり、元は「MartialArts」というRoyal Huntの曲です。
Royal Huntは、デンマーク出身のハードロック・バンドです。
Royal Hunt結成まで
1988年、キーボードの、アンドレ・アンダーセンを中心に前身バンドとなる「APART」を結成しましさ。
1989年、ヴォーカリストのヘンリック・ブロックマン加入を機に現行名に改名します。
デビューアルバム『ランド・オブ・ブロークン・ハーツ』を代表とするメロディアスなサウンドで人気を獲得し、近年もヨーロッパでは安定した支持があるバンドです。
コペンハーゲンのライヴハウスで
日本では1990年代中頃から、プロレスラー蝶野正洋選手率いる「nWoジャパン」の入場テーマとして『ワールドプロレスリング』で楽曲が使用され、プロレスファンを取り込んだ形で人気を博したことで、音楽ファン以外にも名を知られました。
蝶野選手が、武闘派転向を模索中、ヨーロッパへ旅立ち、コペンハーゲンのライヴハウスでアンドレを紹介してもらい、その際に楽曲依頼をしたそうです。
この時、アンドレは1st収録の「MARTIAL ARTS」を提供した、とされます。
CRASH~戦慄~として
後に『MARTIAL ARTS』をロング・ヴァージョン化した「クラッシュ~戦慄~」としてCD発売されました。
ちなみに、武藤敬司選手の「TRIUMPH~伝説~」(EDIT Ver.・FULL Ver.の2種類)もアンドレが提供しています。クレジットはAndré Andersen SOLO PROJECTとなっています。
Royal Huntは主に「ネオクラシカルメタル」「プログレッシブ・メタル」といった分野を開拓し、活動初期から日本でも人気を博していました。
中世を意識した
ネオクラシカルメタルとは、クラシックと同じコード進行を用い、そこにギターやキーボードで速弾きなどの高度な技術を数多く導入するもの、とあります。
具体的には、バッハやモーツァルト、ヴィヴァルディなどのフレーズを直接導入したりすることもあり、他にも中世を彷彿とさせる衣装を着るなどファッション的見地からの特徴も見られる音楽様式だそうです。
ROCK HOUSEとCRASH
もともとnWoには「ROCK HOUSE」というテーマ曲がありますが、日本では「クラッシュ~戦慄~」の冒頭に「N・W・O」というサンプリングボイスがついたバージョンが一般的です。
こちらは、アルバム「BLACK SYMPHONY」に収録されており、聴くことができます。
あくまでnWoジャパンのテーマ
ただし、これはあくまでnWo Japanとしてのテーマ曲で、本家が使っている「ROCK HOUSE」こそがnWoのテーマ曲であると私は思っています。
なお、チーム2000になってからは、PUFF DADDY&THE FAMILYの「NO WAY OUT」と「VICTORY(NINE INCH NAILS REMIX)」そして「クラッシュ~戦慄~」との三曲合体バージョンになりました。こちらは著作権の都合で商品化はされていません。