す九州プロレスチャチャタウン大会観戦記(2017年5月4日・チャチャタウン小倉)
イントロダクション
昨日まではさらさら行く気がなかった九州プロレスだが、朝起きて比較的体調もよく、また小倉に用事ができたついでに観戦していくことに。しかしさすがに中日すぎたゴールデンウィークの渋滞は勘弁願いたいので、裏道抜けて下関駅から電車で小倉入り。
有料大会はつまらなくてもイベント試合は面白いことで定評のある九州プロレスだが、気がついたら2年以上みていない。一応選手のクオリティだけは高い団体なんで、普通にプロレス「だけ」してさえいればハズレはひかないはずだと踏んだのだ。まあ、第2部はあまり代わり映えしないだろうけど。
オープニング
ちびっこプロレス教室はばってん。いつの間にか子どもの人気者になっていた。いつから子どもに媚び売る芸風になったんだ?出てるテレビは深夜番組ばかりのはずなのに。
今回は特別に?ギラヴァンツ北九州のマスコットギランくんも参加。暑いのに大変だ。ばってんは盛んに5月14日のギラヴァンツの試合宣伝もしていたが、ばってんは大して興味がないのだろう。ギラヴァンツの対戦相手をさかんに「鳥栖」と連呼していた。誰か注意すればいいのに(正確な対戦相手は鳥取)。しかし、ラストの告知でシレッといいなおしていた。やはりばってんのタレントとしてのクオリティはJ3以下だなあ。
第1部(12:00〜)
◯佐々木日田丸対●野崎広大
九州プロレスで数少ない信頼できる試合を提供し続けている選手が佐々木日田丸である。彼の試合にハズレなし!対戦相手の野崎広大は、わたしが見に行かない間にいつの間にかデビューしていた新人。
九州プロレスというより九州にはいそうでいなかった動ける巨漢タイプの選手。ばってんのマイクによると、デビュー一年らしい。バチバチファイトが身上の日田丸とは噛み合うのでは?と予想していたらこれが予想をはるかに超えたいい試合にしてくれた。
野崎は普通にうけるだけでも厳しい日田丸の打撃を顔をしかめながらでもしっかり受けきり、場外戦では逆にリードを奪うあたり、なかなか見所のある人材という印象をもった。
できればへんなキャラ付けしないでこのままのばしてほしい逸材だが、私には九州プロレスの首脳陣が余計なことをしそうな予感しかしないので、野崎には悪いがその辺は諦めている。
かたや日田丸の動きはいつみても惚れ惚れする。素晴らしいコンディションは久々に見ても健在。阿蘇山と並んで九州プロレスの良心といってもいい選手である。ド迫力のキックや張り手で満員のチャチャタウンイベント広場が何度もどよめいた。
日田丸が引っ張るだけでなく、ちゃんと野崎が耐え切って反撃に転じることで決して試合は一方的にはならない。このあたりが野崎に大きな声援が飛ぶ要因だろう。ブレンバスターやカウンターの一本背負いなど多彩な投げ技も披露し、パワーだけの選手でないこともアピールしていた。
だが、それだけでは日田丸の牙城は崩せない。野崎が攻勢に転じでも程なく強烈な張り手やキック、トドメにPKと畳み掛けて日田丸が完勝した。相手のよい所を引き出して勝つというプロレスの王道をゆく試合だった。
一部の締めは日田丸による「九州ば、元気にするバイ!」。日田丸がやるのははじめてみたなあ。ただ気になるのはあれだけタレントがいながら第一部には野崎、めんたい、ばってん、日田丸しかいなかったこと。第二部に出るであろう選手は姿さえ見せなかった。
第2部(15:00〜)
二部みないで帰る選択肢もあったけど、WiFiがある秘密基地に行き、一部の観戦記を書いたのち、1時間ほど仮眠して再びチャチャタウンに向かった。
そういえば、以前は対戦カードをコピーした白黒のチラシを配っていたが、第1部、第2部とも配る様子はなし。せっかく一般の人に選手の顔と名前を覚えてもらうチャンスなのに、なんでやめたんだろう?こういうところで経費ケチる意味がわからない。おまけにグッズも売れないせいかほとんど持ってきてないし、つくづくやる気がない団体だなあと思わずにはいられない。これでどの口が「九州を元気に」する気でいるのか?首脳陣に問いただしたいくらいである。
チラシに関していうと、かつて、あれにサインしてもらっていた子どもがたくさんいたし、他団体でもそうしたサービスをしているんだから、継続してやればいいのに、と私は思う。実際チラシ配っていたのギラヴァンツのサポーターだけだった。彼らの方がまだまともに仕事をしている。というか、試合もしないで欠場している理事長が余っているんだから、こういうチャンスにこそ顔出してファンサービスくらいするべきだろう。結局顔すら出していないし。
こういうところが相も変わらない九州プロレスの体質が滲みでているとしか私には思えないのである。
二部の先生は佐々木日田丸!割と面白かった。ばってんより先生らしいし。意外とマイクもうまい。二部では唯一の収穫だった。
第2試合
〇めんたい☆キッド&ばってん×ぶらぶら対●桜島なおき&玄海
もしプロレスに対して悪意がある人から「この試合、台本あるよね?」と意地悪な質問をされたら、私は一言すらいいかえす自信がない。そのくらい隅から隅までテンプレートで固めた試合。ばってんが玄海にボロボロにされて、めんたいにスイッチして、ばってんのアシストで、玄海を分断し、めんたいが桜島を仕留めてハッピーエンド。今まで数限りなくみてきた九州プロレスのイベント試合の流れから1ミリもぶれていない。水戸黄門すら真っ青になるくらいの勧善懲悪プロレス!いや、勧善懲悪プロレス自体 は悪くない。問題はその見せ方であり、その先にあるお客さんに対してどれだけ真摯に向き合っているかなのだ。
そもそも嫌われ要素でブレイクしかけていたばってんをなぜ頑張るベビーフェイス的な扱いにするのか?ばってんに引っ張るだけで引っ張らせて美味しいとこどりするめんたいも相変わらず。第一まだチャンピオンがめんたいだった事実には、開いた口が塞がらなかった。2年以上もめんたいに長期政権を任せている現状には明るい未来など微塵も感じられない。
さらにいえば、いくらイベント試合とはいえ、チャンピオン経験者の玄海の価値を落としたくない(と、九州プロレスば考えているのだろう)のであれば、自動的にめんたいが桜島をピンフォールする以外のエンディングしかないわけで、これはあまりに見る人をバカにしていないだろうか?
台本があるにしても、こんな雑な台本ならエンターテインメントとしても落第点だろう。勧善懲悪というオチありきでも、少しはハラハラドキドキさせる流れがないと、こちらも心から楽しめない。
その証拠に第一部で自然発生した野崎コールのような熱いうねりを、二部の客席からはついぞ感じられなかったし、めんたいコールや桜島コールもお付き合い程度にしか起こらなかった。デビュー一年の新人ですら熱気を生み出せているのに、トップどころから一切熱いものが感じられないというのは大問題だろう。これでは応援のし甲斐もないというものである。
後記
見終えて感じたのは、九州プロレスのイベントは第1部に出る日田丸だけみていれば十分だな、ということ。更にいうなら現在の九州プロレスがこの体たらくなら観戦も2年に一回で十分だなということだった。
第二試合の試合時間は20分だけど、前半5分以上かけて、桜島コールとめんたいコールを煽り、めんたいに人気があると勝手に判断した桜島が「北九州は品のいい街(イヤミか!)なんで握手からはじめよう」と手を差し出して、散々めんたいが渋ったあげく、握手に応じたら桜島が裏切るというテンプレートに更に3分近くを費やしていた(もちろんブーイングすらおきない)のだから、めんたいの実働時間は実質5分くらいがせいぜい。
個人的な収穫は佐々木日田丸と野崎の試合だけだった。次回行く機会があるなら、本当に第1部だけみて帰ろうと、私は心に誓ってチャチャタウンをあとにした。