がむしゃらプロレス | GAMSHARA MANIA 2024
(2024年11月24日(日)門司赤煉瓦プレイス)
イントロダクション
2024年の体調とスケジュールを鑑みるに、さすがに土日連続観戦はきつくなってきた。
そもそものスケジュールが病の治療と就労支援中心にせざるを得ない以上、プロレスの優先順位は昨年より低くせざるを得ない。
その上、自分のプロレス熱が今年に入って急速に冷め始めた事も、会場から足が遠のいた原因の一つになっている。
まだ配信は見ていられるので、プロレス自体に興味を失ったわけではないんだけど、やはりかつてほど心から楽しめていないのは事実である。
それでもがむしゃらプロレスを見続けているのは、チケット料金の安さと、15年見続けて、観戦記を書き続けた意地みたいなものもあるからだろう。
イベント試合や他団体参戦試合は除き、有料本大会は、2024年のマニアでまる15年。
途中様々な困難がありながら、よくここまで続けてこられたな、と思う。できたら、がむしゃらだけでも来年は生観戦を継続したいのだが、この先どうなるかは誰にもわからない。
今はただこの瞬間を楽しむことしか私にはできないのだ。
下関→門司赤煉瓦
昨日とは打って変わって、日差しも差し込む陽気。冬とは思えない感じではあるが、いかんせん年齢的に2日連続の観戦はかなり厳しくなってくる。
結局、13時くらいまでギリギリ粘って休憩し、開場する14時半までには会場入りする予定で家を出た。
やはり昨日とは多少違うにしても、連休は連休。渋滞の中14時過ぎに赤煉瓦に到着。
ところが、いつもなら開場30分前には始まっているチケット引換を、まだやっていない。
結局、結構ギリギリになって始まるという形になり、こういうところにも人手不足という問題が顔を出していた。
前日に年内ラスト大会を開いた松江だんだんプロレスでは、3人の新人がデビューしたという。
新人がなかなか出てこないという点では、がむしゃらに限らず、社会人団体がどこも問題になっている悩みではあるんだが、なんとか来年には解消されていたらいいな、と心から願わずにはいられない。
オープニング
入場してみると、そこはやはりいつも通りのがむしゃらプロレスの風景があった。
ただ、時間の関係からか今回はオープニングアクトは省略。個人的には年末を飾る大会ならば、何かしら派手な始まりでもあれば、気持ち的にひと盛り上がりできたかもしれない。
という感じで、今年のGAMSHARA MANIA は、オープニングを飛ばしてそのまま試合に突入していった。
第一試合
▼シングルマッチ(20分1本勝負)
●HAGGAR vs ○久保希望
(7分24秒:ダイビングセントーン)
HAGGARにとっては昨日のFREEDAMSに続くビッグチャンス!
久保が相手となれば、自分が今足りない部分も明確になるし、今の自分の実力も知ることができる。
何より今や一方的に叩き潰される若手枠ではないのだから、何らかの爪痕は残す必要がある。
自己主張が今ひとつ弱いHAGGARは、この試合でひと化け、ふた化けできるだろうか?
試合はHAGGARの急襲でスタートするが、あっという間に久保が攻守逆転!
HAGGARの奇襲はまだ新人のそれに近く、勢いが試合最後まで持続しない。
ベテランの久保からしたら、同タイプの攻めは受け切って、攻め疲れを待てばいくらでも反撃のチャンスが生まれる。
案の定、HAGGARの勢いは長くは続かず、久保のターンになると、怒涛の空中弾からアックスボンバーを連発。
最後は豪快なダイビングセントーンで、HAGGARを沈める結果となった。
HAGGARの場合、KENZOに先を越された焦りが時々試合に反映されてしまうだけに、せっかくのチャンスを棒に振りやすい傾向があり、非常にもったいなく感じる。
2025年には、どれだけ進化しているか楽しみにしておきたい。
第二試合
▼シングルマッチ(20分1本勝負)
リキ・ライタ復帰戦
リキ・ライタ vs X(鉄生)
(7分37秒:鉄投げ)
脳という生命に直結する箇所の病気で長らく欠場していたリキ・ライタ。
欠場と言ってもスタッフとして会場にはいたので、久々という感じはしない。
毎回会場に顔を出すことで厳しいリハビリにも耐えてきたのだろう。
自分の父が脳出血で寝たきりになっているので、本格復帰には正直複雑な気持ちはあるけれど、ここは一つ病に打ち勝った人間として、その生きざまが見られたらよいな、と思う。
さて、そんなリキ・ライタはいきなりテキーラ飲みながら入場。医者から怒られないのか?
昨日は普通にタバコも吸っていたし、脳の病気してるのが本当かどうか疑わしくなってきた。
そして対戦相手のX は鉄生。ここまでお膳立てが揃っていたのなら、「またかよ」と言われても「テキーラファイト」を挑んでもよかったかもしれない。
普段から身体に悪いことをしている割には、病気を気にして思い切りが悪くなっては、リキ・ライタの持ち味は今ひとつ。
このあたりは長いブランクが災いしたとしか言いようがない。
プロレスの場合、練習と本番は全く違うというけど、その典型例のような試合だった。結局負けたリキ・ライタはリング上で髪を切られるという憂き目にあってしまう。
このように、リキ・ライタは当然完膚なきまでに叩き潰された。ただ、復帰前と違うのは、次に繋がる何かがなかったという点で、これは来年以降の課題になるだろう。
第三試合
▼タッグマッチ(30分1本勝負)
ZAKA & ○上原智也 vs ●MIKIHISA & 尾原毅
(12分24秒:ノーザンライトボム)
最近すっかりがむしゃらのレギュラーと化したZAKAと上原だが、元々は岡山のOPG所属で、ジョロキアのユニットメンバー。
SNSによると、ZAKAと山内の間で不穏な空気が流れており、ジョロキアに危機が訪れているとか。
このタイミングでOPG対がむしゃら、ジョロキア対NASTY OUTSIDERSという対抗戦は、きっと意味を持つに違いない。
ハードヒットな打撃を持ち味にする尾原&MIKIHISAか?テクニックとインサイドワークに長けるZAKA &上原か?
見どころはたくさんあると思うタッグマッチ、果たしてどうなるか?
試合は、OPG対がむしゃらになるかと思いきや、ナスティが誤爆連発で、内容がめちゃくちゃカオスになっていく。
予想ではジョロキアの方が分裂するかと思いきや、ナスティコンビが分解しかかるとは想像もしていなかった。
その上、明らかに上原はジョロキアよりも全包連スタイルに近く、ZAKAもどちらかというとコミカルに寄せてきたので、バチバチ感は試合からそれほど感じられなかった。
最後は上原がMIKIHISAに逆転勝ちしたものの、尾原先生の前で全員正座して反省会がスタートしてしまう。
「本当はこういうの好きなんでしょ?」「そんなことはない」というやりとりが妙におかしかった。
まさかこんな結末になるとは思わなかった。ある意味一番予想を裏切ったかもしれないカードだった。
第四試合
▼タッグマッチ(疲れん程度1本勝負→10分一本勝負)
ダイナマイト九州 & パンチ君 vs ブラック★スティック & SMITH
(時間切れ引き分け)
珍しく上の方に上がってきた「疲れん程度」の試合だが、最近はよく分裂するダイナマイト九州に肩入れしていたSMITHが、今度はこちらも増殖を繰り返す黒棒軍団と結託。
まあ、団体代表としてはどちらに肩入れするとかはないんだろうけど、この立ち位置の自由さはある意味SMITHの持ち味でもあるので、他のメンバーもうかうかはしていられない。
最初こそ普通に試合していた4人だったが、なぜか突然オラついたSHIGEKICHIリングアナ…いや、シゲPがリングイン。
試合がいつも長すぎるという理由で、疲れん程度一本勝負がいきなり10分一本勝負に変更。
シゲPプロデュースによると、2024年の流行語を当てたらアイテムが与えられるという。
そんなこんな急遽流行語クイズが始まってしまった。お客さんは何が起きたのか理解できず、ぽかーんとしている。
2024年の流行語クイズに正解するとスリッパやムチがもらえて素早く試合が進むというシゲPの企画が加速度的に会場の全てを置き去りにして行ったからだ。
正直いうと展開が謎すぎて、イマイチ掴めずにいたのだが、それは選手も同じだったみたい。
ただ、新しいことにチャレンジするのは悪くないので、ある程度肯定的には捉えたい。
結局、いつものアレで終わらせようとした九州だったが、時間切れでドロー。罰ゲームでは、謎の竹の子マスクが登場。
NASTY OUTSIDERSのTシャツを着たタケノコは容赦なく全員のケツを蹴っ飛ばして試合は終了。
お客さんも選手も置いてけぼりにしたのは、ある意味1番の見どころだったのかな?
次回シゲPは果たして現れるのだろうか?そして、謎のタケノコマスクは再登場するのだろうか?
そういう意味では2025年が楽しみなような、不安なような妙な気分にさせられた試合だった。
第五試合
▼GWA 無差別級タッグマッチ選手権(60分1本勝負)
【挑戦者チーム】●YASU & トゥルエノ・ゲレーロ vs 【第16代王者チーム】○KENZO & 嵐弾次郎(17分53秒:圧殺)
9月のGAM1でタッグチャンピオンのKENZOを破り、ユニット所属フリーのYASUをパートナーに、虐げられたがむしゃらジュニアの「復讐」というべき挑戦をしてきたゲレーロ。
確かに自らはジュニア王座を保持したままだが、記憶が確かならば昨年末のGAMSHARA MANIA 以来防衛戦は組まれていない。
他方、なぜか2024年は煩雑にタッグの防衛戦が組まれていたので、ジュニアのカオであるゲレーロとしては、超党派であっても思うところがあるのは、当然ともいえる。
蓋を開けてみると、パワーのチャンピオンとスピードのチャレンジャーが真っ向勝負でぶつかり合った好勝負になった。
特にジュニア組はヘビー級のチャンピオンに対して苦手意識を全く持っておらず、堂々と戦っていたのが印象的だった。
一方でチャンピオンコンビもただチャレンジャーの技を受けているだけではない。
圧巻だったのは、KENZOにのせられたとはいえ、弾次郎がゲレーロとYASUを2人ともアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げて、投げ捨てた場面だった。
そこまでは華麗でスピード感溢れる空中殺法が試合を彩っていたのだが、一気にヘビー級のパワーとタフネスぶりがカラーを塗り替えた印象を受けたのだ。
いずれにせよ、ジュニアもヘビーも逃げずに立ち向かったのは賞賛に値する!
最後は王者組がパワーでジュニアをねじ伏せる形に終わったが、非常に見応えあるタイトルマッチだった。
セミファイナル
▼スペシャルタッグマッチ(60分1本勝負)
●陽樹 & 土屋クレイジー vs HIROYA & ○杉浦透
(17分51秒:スウィフトドライバー)
超党派という事でいうと、こちらもプロアマ混合のチームに、普段組まないチームにとまさにスペシャル感満載のタッグマッチ。
今や団体の顔になりつつある杉浦と、練習仲間としても、何かと縁があるHIROYAは、超党派+師弟タッグ感もある。
一方、チームというよりライバル同士が組んだような陽樹と土屋はコンビネーションにやや不安があるとみた。
とはいえこれだけのメンバーが揃って面白くならないわけがない。果たしてどうなるだろうか?
杉浦に因縁がある陽樹組は奇襲から場外戦になだれ込むが、ここから杉浦がイキイキし始める。
お得意の肘攻撃で何度も陽樹をたじろがせていく。昨日のFREEDAMS北九州大会でも感じたことだが、とにかく相手を食ってやろうという意気込みがすごい。
本来なら陽樹や土屋が杉浦くらいガツガツ行ってもよかったし、本人たちもそのつもりで臨んでいたのは間違いないだろう。
実際、杉浦が得意なはずの場外でも2人は積極的に暴れ回っていたし、個人的には悪くなかったと思う。
しかし、スギウラマンは23日も勢いで葛西純を撃破した、今が旬のチャンピオンである。
その上、かつて後楽園でシングルマッチを行い、陽樹を完膚なきまでに叩き潰した過去もある。
あの時はスギウラマンもまだ若手の域からようやく抜け出したあたりだったが、陽樹との力の差は歴然としていた。
そして、皮肉な話だがその差は縮まるどころか、むしろ年月を重ねて開いてしまったというのが現実なのかもしれない。
実際、スギウラマンは陽樹と土屋の全てを受け切り、HIROYAをうまくコントロールした上で、得意技のスウィフトドライバーを持って、陽樹を沈めてしまった。
終わってみれば、スギウラマンのワンマンショーであり、独壇場だった。
試合後、マイクを握った杉浦は「お前は一騎打ちした時から変わっていない」と陽樹をマイクで鼓舞。
あのシングルマッチから、団体の顔としてチャンピオンとして活躍する杉浦と、Re:ZARDのメンバーとして暴れ回る陽樹。
どちらもすごいが、プロレスラーとしての説得力で言うなら、団体の看板を背負って全国を回っているスギウラマンの凄さは、改めて言葉にするまでもないくらい、納得の試合内容だったのだ。
悔しいだろうが、ここで諦めたらますます差は開いていく。がむしゃらプロレスが舐められないためにも、まだまだ陽樹には奮起してもらいたい。
メインイベント
▼GWAヘビー級選手権試合(60分1本勝負)
○【挑戦者】サムソン澤田*GAM-1 CLIMAX 2024覇者 vs ●【第16代王者】鉄生(15分38秒:ノーザンライトスープレックスホールド)
2年連続マニアのトリを務める鉄生に対するは、GAM1でその実力を発揮して並いる強豪をなぎ倒してきたサムソン澤田。
最近は対策を立ててきているとはいえ、基本的に身体が固い鉄生にとって、関節技やグラウンドコントロールが卓越している澤田は、同ユニットながら手強い相手である。
残念ながらなかなか下が育たないがむしゃらプロレス内にあって、今考えうる中では最強のチャレンジャーであることは間違いない。
ただ、今年も鉄生が防衛してしまうと、次に挑戦しそうな人材が見当たらない。
おそらく防衛戦は年末のマニアになるはずだから、1年通してがむしゃらプロレスに話題を提供し、GAM1 CLIMAXを勝ち抜く実力が求められるわけで、これはなかなかハードルが高い。
そうなると、鉄生の防衛を阻止して、サムソン澤田が王者になるしかないのだが、もし新王者が誕生した場合、2025年に新しい風景を見せられるかどうかが課題になってくる。
一年の締めは新年のはじまり。GWAヘビー級が織りなす新しい景色が見られるか?それとも磐石の強さで、現王者が防衛を果たすか?
しっかりと見届けたい。
2年連続でマニアのトリをとる鉄生を、まずはじっくり手四つから様子をみていくサムソン。
グラウンドになれば自分が不利になるのは鉄生自身が一番よくわかっている。
だからこそスタンドポジションでダメージを与えようというのだろう。
しかし、Re:ZARDに入ってからの澤田は、それまでのスピアーに加えて、場外戦でもかなり優位に立てるレスラーになっていた。
最初はRe:ZARDの三番手だったはずが、気づけばいつの間にか陽樹も鉄生も追い越していた…それが今のサムソン澤田である。
鋭いスピアーから、関節技で容赦なく攻めるサムソン。こうなると鉄生はどんどん削られていく。
焦ったと思われる鉄生は必殺技として温存している鋼鉄ロケットランチャーを、かなり早い段階で放つが、サムソンはキックアウト。
そして、一発目をかわされた鉄生は二度目の鋼鉄ロケットランチャーを出すが、これもカウント2で跳ね返す。
必殺技を使い切ってしまった鉄生は次第に追い込まれていくが、サムソン澤田はまだ余裕が見られた。
最後はノーザンライトで澤田が新チャンピオンになった。
試合後マイクを持ったサムソンは「試合が終われば、ノーサイド」と、鉄生に握手を求めた。ところが…
エンディング
握手に応じた鉄生をサムソンが締め落とす。それを合図に陽樹とゲレーロも襲いかかり、鉄生をリング下に叩き落とした。
サムソンは「負けたやつに用はないんだよ。お前は追放だ!」とRe:ZARDからの追放を宣言。
同時にがむしゃらプロレスは新しいフェーズに入ったと言い放ち、その中心人物として、サムソン澤田が君臨したことを満天下に指し示した瞬間だった。
後記
結局、追放された鉄生は無言のまま退場。デビューからヒール一筋に歩んできた鉄生としては、一大方向転換になることは間違いない。
果たして、鉄生は新しいヒールユニットを作るのか?それとも人生初のベビーフェイス転向を果たすのか?
鉄生の今後が気になるところ!
繰り返しになるが、2024年11月24日を持って、私のがむしゃら観戦歴はまる15年。そして有料大会観戦歴も15年となった。
ただ、今年はプロレス生観戦歴40年の節目ながら自分的には苦しい1年だった。
今後も可能な限り細く長くプロレスと関われたらと思っている。