[アニメ感想] 2019年秋アニメ完走分感想文 この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる
超ハードモードな世界の救済を担当することになった新米女神のリスタ。チート級ステータスを持つ勇者・竜宮院聖哉の召喚に成功したが、彼はありえないほど慎重で?
「鎧を三つ貰おう。着る用。スペア。そしてスペアが無くなった時のスペアだ」異常なまでのストック確保だけに留まらず、レベルMAXになるまで自室に引きこもり筋トレをし、スライム相手にも全力で挑むほど用心深かった!そんな勇者と彼に振り回されまくる駄女神の異世界救済劇、はじまる!(あらすじは公式HPより)
豊崎愛生さんの演技が秀逸
ストーリーは、まあ異世界モノとしては珍しく、俺TUEEEEしない主人公。そして、召喚した女神が面白ツッコミおねえさんというのが、この作品のウリのようだ。
女神リスタのCV、豊崎愛生さんの演技が秀逸で、それだけでもっているといっても過言ではないかな。ただ、ギャグではあるんだけど、なんかこうハマらない感じがする。女神が召喚した勇者がかなり慎重な性格で…とそれだけなら面白そうな素材ではあるのだが。
基本的には女神と勇者の二人の会話劇になるんだけど、アニメとしては割と密度の濃い言葉の応酬となっている。
ただ、言い回しのセンスの問題なのか、シチュエーションの問題なのか、とにかく会話があまり面白くないのだ。声優さんには問題ないと私は思うので、これは見せ方の問題かな、と思う。
ワードセンスに魅力がないからフレーズ自体に笑える点は特になく、「なんか声優さんが大変そうだなぁ」くらいにしか思わないのは致命的。
雑さも垣間見える
そして早口になっている理由が「勇者にツッコミを入れる女神」というシチュエーション一辺倒なため、緩急がなくひたすら強い口調だけが並ぶのもマイナス。
会話劇で会話にセンスを感じられない時点で怪しい空気が漂っていたけど、「慎重さ」と「臆病、疑い深さ」を混同した描写も多々あり、「ギャグだから多少ぶっ飛ぶくらいが丁度いい」みたいな雑さも垣間見える。
リスタの変顔もギャグに活かすでなく、とりあえず変顔しておけば笑いになる、という安易さにみえてしまうのは、本当にもったいない。
ただ、主人公のルックスも態度も俺様ホストのようで、女神たちをたぶらかして最強ぶりを見せつけるというキャラ付け自体は悪いとは思わない。
この勇者がどう「屁理屈」を捻り出すのかという無理やり感が笑いを生んでいるのは間違いない。こちらは十分に笑える可能性が高いと私は思う。
ひっ迫したスケジュールでなければ
おそらく聖哉は「慎重」なのではなく「普通」なのだと思っているに違いない(最終回間際で慎重である理由は語られてるにせよ、だ)し、そんな主人公こそがギャグポイントなのだ。
本来はリスタのハイテンションや、変顔はおまけでしかないのかもしれない。そして、そっちばかり目立つから作品のバランスがおかしくみえるのでは、と私は推察している。
こうして観ていくと、このすばなどは稀有な成功例であり、ギャグ作品を作り出すというのは難しいものだな、と思わざるを得ない。
第三話で早くも再放送を挟んだり、もはや総集編ですらごまかせないくらいひっ迫したスケジュールでなければ、もしかしたら名作になりえたかもしれない。
素材や設定にいいものがたくさんあるだけに、いろんなボタンのかけ違いや、時間制限が作品の出来を残念なものにしてしまったというのは、大変残念でならない。期待していたんだけどなあ。