[アニメソング] アニメ的音楽徒然草 赤頭巾ちゃん御用心
オオカミさんと七人の仲間たち
今回は、2010年放送のアニメ「オオカミさんと七人の仲間たち」のエンディング主題歌である「赤ずきんちゃん御用心」をご紹介します。
「オオカミさんと七人の仲間たち」は、原作ですと、通称「オオカミさんシリーズ」と呼ばれているそうで、スーパーロボット大戦のように、様々な童話がクロスオーバーする内容なんだそうです。キャラクターの名前は概ね昔話由来になっています。
あらすじは、私立御伽学園に通う高校1年生の大神涼子と赤井林檎は、涼子に思いを寄せる森野亮士を仲間に加え、彼らの所属する御伽学園学生相互扶助協会(通称:御伽銀行)の面々と協力しながら、今日もやりたい放題世直しのために戦っていくお話で、表題のオオカミさんというのは、ヒロイン・大神涼子のことを指します。
「赤ずきんちゃん御用心」はご存知アニソン界のプリンスこと影山ヒロノブさんが、レイジーというバンドでデビューした時に提供された、シングル3枚目の楽曲です。「オオカミさんと七人の仲間たち」でいう「赤頭巾ちゃん」とは、大神涼子と寮で相部屋になっている赤井林檎の事ですね。
売れればハードロックができる
「オオカミさんシリーズ」で、だいたい童話からインスパイアされているのは、名前くらいで、内容まで準拠しているわけではないですね。むしろ「赤頭巾ちゃん御用心」の方が多少でも童話の「赤頭巾ちゃん」に近い歌詞になっているのが面白いところです。
レイジーというのは、本来ハードロック志向のバンドだったにもかかわらず、制作サイドの意向によりベイ・シティ・ローラーズのようなイメージを要求されることになり、ニックネームとお揃いのコスチュームを与えられます。
「売れれば好きなハードロックができる」との説得を受け、これに応じることになりますが、自分たちが望まない路線での活動は、メンバーの苦悩をさらに強くするものにしてしまいました。
「生き残るということを考えれば、妥当なものだったと今なら思えるが、当時はショックの方が大きかった」と後年影山さんは語られていますが、結局「赤頭巾ちゃん御用心」のヒットは、メンバー間に亀裂を生み、やがてレイジーは解散してしまいます。
1997年、当時放送中の「ウルトラマンダイナ」の後期エンディングテーマ「URTLA HIGH」にレイジーが起用され、メンバーが了承し再結成が決定。翌年3月からの使用に向けて再集結します。一説ではこの時再結成の条件として「赤頭巾ちゃん御用心」などのアイドル売りされた時代の楽曲は演奏しない、というものがメンバーの一部からあったとも聞いています。
セルフカバーすることはない
wikipediaによると
再結成後のライブではこの曲は封印され、冗談でイントロのフレーズが断片的に演奏されることはあっても、きちんとした形で演奏されたことは一度も無い。
後年、高崎によると赤頭巾に限って自分達がレコーディングで演奏していない事を暴露。理由について「ある日オケが上がってきて歌だけ入れて、実際、デビュー曲とかは自分らでも演奏してみたんだけど、やっぱりスタジオ・ミュージシャンとかに任せた方が全然上手いし。」「ディープ・パープルの曲とかをある程度のレベルで演奏できてもポップスを演奏するのは難しかった。まだみんな下手糞やったんですよ。そこでプロの厳しさを知ったし、シンプルなことほど難しいねんな、と気付かされたわけです」と事務所判断で差し替えされた事を明かしている。
2017年の高崎・影山・井上の対談では、再結成で演奏しないことについて、高崎は「いい曲なんやけど、やらん」「普通にあれをやってるんだったら『ええ曲やね』って思うんやけど、派手なジャンプスーツ着てさ、ピンク・レディーみたいに足をパカパカやったり」と、楽曲自体は評価しつつも、振り付けと衣装に違和感を感じていたことを述べ、影山も「たっかんは、曲だけじゃなくて、衣装とか振付とかその当時の黒歴史がともに甦ってくるのが嫌なんだよね」とその心情に理解を示していた。
というわけで、レイジー本家が決してセルフカバーすることがないであろう「赤頭巾ちゃん御用心」をまさかアニソンにしてしまうとは、正直夢にも思いませんでした。「赤頭巾ちゃん御用心」自体のカバーは、小泉今日子さんや、ROLLYさん、吉井和哉 さんなどがカバーしています。また大神涼子役の伊藤静さんもキャラクターソングとして歌われています。
カバーだからこその意義
「オオカミさんと七人の仲間たち」のエンディング曲になった「赤頭巾ちゃん御用心」はOToGi8 (おとぎエイト)という、このエンディングを歌うために結成されたユニットによってカバーされました。
OToGi8(おとぎエイト)は超!A&Gミュージック+TV第3期メンバーとアフィリア・サーガ・イーストのメンバー3人で結成されたユニットで、「オオカミさんと七人の仲間たち」のエンディングテーマ「赤頭巾ちゃん御用心」を歌った以降は活動していません。
メンバーは、大久保英恵さん、井澤詩織さん、原紗友里さん、三上枝織さん、浜崎奈々さんに加え、アフィリア・サーガ・イーストから、ルイズさん、ユカフィンさん、ミクさんの3名が入っています。今みるとなかなか豪華なメンバーなんですが、もし「オオカミさんと七人の仲間たち」の第二期があたっとしても、もうこのメンバーを集めるのは無理でしょうね。
オリジナルレイジーも今では全員が集まることは不可能になっていますし、残ったメンバーの中でもいまだに嫌悪感をもっていることから、現行のレイジーが歌うことはほぼないと思います。それだけにこうしたカバーで曲が残っていくのは非常に意味があると私は思っているのです。