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[アニメ感想] 2019年冬アニメ完走分感想文 えんどろ~!

2019/04/01

剣と魔法の大陸ナラル島には、人々とモンスターが生存して暮らしている。しかし、そこに恐ろしい魔王がいた。大昔に初代勇者によって魔王は倒されたが、その後も何度でも魔王は蘇り、それを倒そうとする勇者もまた現れる。

勇者に選ばれた少女・ユーリア・シャルデットことユーシャは、聖者のセイラ、戦士のファイ、魔法使いのメイの3人と共に、魔王を退治するための旅に出た末、遂に魔王と対峙。圧倒的な力を持つ魔王の前に追い詰められるが、ユーシャの判断で4人のカルタードの力を合わせた禁断の魔法を発動。強大な力の前に魔王は消え去り、ユーシャたち4人の冒険は終わりを告げるのだった。

しかし、実は魔王は力を失い幼い姿となって過去の世界にタイムスリップしただけであり、そこではユーシャはまだ勇者になる前であった。魔王はユーシャが勇者になる運命を改変すべくマオと名乗って冒険者学校に潜入し暗躍を開始するが、何も知らないユーシャたち4人はマオの指導の下で冒険者としてのスキルを磨いていく。(あらすじはwikipediaより)

ゆるい勇者の冒険なんだけど

最近はかわいらしい容姿でも、血みどろの殺し合いをするようなハードなギャップを狙ったアニメも多く、実はスタジオ五組制作の「結城友奈は勇者である」はそのハードな系統になる。「ゆるゆり」でおなじみ漫画家のなもりさんによるキャラデザインだと、2018年に放送された「RELEASE THE SPYCE」が、ハードなアクションと、裏切り、因縁、出会いと別れそして継承と重いストーリーだった。

うまくするとそのギャップで、注目を集められるはずが、「RELEASE THE SPYCE」はずさんな作画と、イマイチな演出でのりきれなかった。・・・という前例を踏まえての「えんどろ~!」である。製作は「結城友奈は勇者である」と同じスタジオ五組。さて、ふたを開けてみたら・・・・

これが面白いんだなあ。日常系のゆるい勇者の冒険なんだけど、時間を巻き戻すシーンとか魔王の回想とかで伏線らしきものが張られてたり、けっこう細かいとこまできちんと作られてる。ギャグのキレも良かったし本当に素晴らしい作品だった。

かおり監督とくれば、やはり初監督作の「ゆゆ式」で培ったテンポの良さ。あるいは「ご注文はうさぎですか?」での「妙にエロいカット」で、一躍女性監督なのに「おっさん」扱いされたほどの人。日常系アニメにかおり監督あり!というところをいかんなく発揮している。

よくみたら画面上でわかる

本作のキャラクターにはそれぞれ特徴があって、みんな同じ体型ではない。これはかおり監督のこだわりで、作画作業に移すと手間がかかってしまうことから、女性キャラは胸が大きいか小さいか、背が高いか低いかくらいしか体型の差がないことが多い。

しかし「えんどろ~!」では、例えば主人公のユーシャが、「ややぽっちゃり気味でくびれがなく、お腹にお肉が付きがちなところが特徴。ふとももと衣装の間にも隙間がなくて、お腹や腰の紐の食い込みがある」。

あるいはファイにしても「4人の中では一番スタイルが良く、後ろを向くとスカートのお尻の部分に穴が空いていて、とてもセクシーな格好」だったり、といった感じで、4者4様の緻密な設定が施されている。特徴的になのはこれが、「よくみたら画面上でわかる」ということなのである。

また、声優陣の奮闘も素晴らしく魔王役の久野美咲さんの報われない演技、メイ役の水瀬いのりさんの、語尾に「〜っす」とつけて話す無感情な話し方と、「どや」顔演技。赤尾ひかるさん演じるユーシャの能天気さ、ファイ役の小澤亜李さんのおバカな演技、セイラ役の夏川椎菜さんの突っ込み役なのに、どこかとぼけていることろとか、あげるときりがない。

二年もの歳月を費やして

最終話は一話からの設定をしっかりと保持しつつ、「えんどろ~!」らしいものになっていた。 登場キャラ全員で伏線を回収する脚本がほんと素晴らしい 出来。しかもシリアスになるかと思ったらあっさり解決してゆるく終わる。

最終回まで「ゆるさ」を貫いた点で、「えんどろ~!」は最後までぶれなかった。

ユーシャが最終決戦で呪文噛んだのが全ての始まりだったけど、それがなければ勇者が魔王倒して魔王は復活せず世界は救われて普通に終わるだけだったのだ。でもユーシャが第一話の冒頭で噛んだからこそ、別の形で因縁を解決してマオも救った。剣がなくてもユーシャが勇者である証だったというオチも見事。

定められた運命にあらがっても、その理想まで捨て去る必要はなく、限られた今では選べない選択も白紙の未来では描けるという素敵な最終回だった。

単にゆるくてキャッキャウフフにもできたと思うのだが、オリジナル作品ということで二年もの歳月を費やしてこれほど丁寧な作品を作り出したかおり監督とスタッフの皆さんの努力には頭が下がる。





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