[アニメ感想] 2018年秋アニメ完走分感想文 転生したらスライムだった件
2019/03/24
スライム生活、始めました。
サラリーマン三上悟は通り魔に刺され死亡し、気がつくと異世界に転生していた。
ただし、その姿はスライムだった!
リムルという新しいスライム人生を得て、さまざまな種族がうごめくこの世界に放り出され、
「種族問わず楽しく暮らせる国作り」を目指すことになる――!
シリーズ累計650万部突破の超人気作が待望のアニメ化。
原作は、小説投稿サイト「小説家になろう」で伏瀬氏が発表した
同名小説のコミカライズ(講談社『月刊少年シリウス』連載中/漫画:川上泰樹)。
小説もGCノベルズから単行本(マイクロマガジン社刊/イラスト:みっつばー)が刊行中。
主人公リムルは、ドラゴンにゴブリン、ドワーフやオーガなど多種多様な種族と出会い、世界のあり方を知っていく。
そして、時にユーモラス、時にシリアスに展開する物語の先に待つのは、魔王の存在。
一匹のスライムが身につけたスキルを駆使し、知恵と度胸で仲間を増やしていく。
ファンが待ち望んでいた転生エンターテインメント、いよいよアニメで開幕!(あらすじ・解説はBS11HPより)
描写の細やかさ・巧みさ
現実世界の主人公が異世界に転生していた、というのは今時よくある話。ただし、その姿はスライムだった、という点が新しくて面白い。そもそも主人公がスライムだから、最下層の生き物だということもある。それを逆手にとっているのが転スラという作品である。
スライムに転生した主人公は、リムルという名を得て、新しいスライム人生をスタートさせる。その中でさまざまな種族がうごめく世界で活躍していく。ただ、スライムに転生して終わりならば、出オチもいいところである。しかしながら、転スラは中身の人間は、強くても弱くても見た目がどうでも偏見の目で見ないという点が心地よくて、通常2クール物を全部見ることはない私が完走してしまった。
この手のファンタジー系でよくあるのは、複雑でドロドロして混沌としているお話だけど、この転スラはちょっと味付けが異なる。転スラの物語は、全てワクワクしたり、次が気になって視聴をやめられなかったり、感情が突き動かされ、涙しちゃったり、癒されて落ち着いたりする。このあたりの描写の細やかさと演出の巧みさが、転スラのキモになっている。
何より、原作者が全幅の信頼を置いた、アニメスタッフの熱意のあるチームワークのよさは、転スラの空気感として非常に大切な役割を果たしている私は思う。
味付けが異なる
物語の世界観としては、魔物が中心となる異世界ファンタジーのいわゆる「俺TUEEEEE」系。魔物が人間のような良心をリムルが教えたことで、物語は人間と魔物、他種族との関係を闘うことではなく、平和的に解決することができるんじゃない?という提案をしてひとつの国を作っていく。このあたりは冒険や、ワクワクを求める層からはやや物足らないかもしれない。
同じ国を作るにしても「オーバーロード」とは異なるアプローチをしているのが、注目に値する。実は、原作自体「オーバーロード」の影響を受けているそうで、あちらほどダークではないけれど、似たようなところもないわけではない。味付けが異なるという感じだろうか?
もともと敵同士だったりして、互いにぶつかることもあれど、戦って強いだけが全てじゃないってことを描いている点で、転スラはぐっとライトな印象になっている。悪くもなく、突出して良いわけでもないが、エガオノダイカほど「お花畑」でもない。という点は評価していいと思う。
第二部への「引き」
実は2020年放送予定で、第二部の制作が既に開始されており、第一部の実質的な最終回だった23話と、番外編として原作者自らが書き下ろした番外編がいい形で、第二部への「引き」になっている。
もしも原作お話でキリのいい23話までの話で一期を終わらせたら、やや中途半端な感じもしたのだが、番外編で描かれた生前のシズさんと、ディアブロ(クロ)との最初の出会いが鮮烈に描かれたため、番外とはいいながら良い締めにになっていたと思う。
23話自体にも、もちろん新たな伏線も多く張られてはいたが、これをちゃんと回収できるかどうかというと、ここで終わったらなんかすっきりしないというのを見ていて感じたもので、この24話があるのとないのとでは大違いだったわけだ。
この熱量とチームワークが保たれれば、よほどの間違いがない限り二期は大いに期待できると私は確信している。先はちと長いが、新しい元号になっても楽しみができたということはありがたいことである。