[アニメ感想] 2018年冬アニメ完走分感想文 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
2018/04/21
感情を持たない一人の少女がいた。彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。
戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。
――戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙
――都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙
――飾らないありのままの恋心をつづった手紙
――去りゆく者から残される者への最期の手紙手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語(あらすじは公式HPより)
「心」を取り戻していく
Netflixでも放送された京都アニメーションにしては珍しい戦争もの。
Production I.G.なら戦時中のバトルマシーンと化したヴァイオレットを描いたかもしれないが、そこは京アニ。戦後を舞台に、手紙の代筆業を司る「ドール」としてのヴァイオレットを描いているのが
本作。
アクションがウリというわけではなく、当初は文字通り闘う機械でしかなかったヴァイオレットが、ドールという仕事を通じて「心」を取り戻していく様を、ひたすら丁寧に丁寧に描いている。
闘う人形だった少女が、代筆する依頼主の心を伝える人形になる。当初は文字通り人形でしかなかったヴァイオレットが次第に「心とは何か?」を考え出してから、彼女自身が少しずつ変わりだす。
先程述べた丁寧な描写は、ヴァイオレットの周囲の人たちにおいてもまた然りで、特にヴァイオレットが代筆の仕事として関わった多くの依頼主がほぼ全員「幸せ」になっていっていることからも明らかだろう。幸せにならずとも何らかの形で「気持ち」に区切りをつけていく。それが見ていて、時には切なく、時には愛おしくみえる。
それによってヴァイオレットの心象もまた変化していく。派手さはないが実に堅実な見せ方をしている。
京アニの面目躍如
ポプテピが突飛な感じで覇権アニメにのし上がった形で少し割りを食った感があるヴァイオレット・エヴァーガーデンだったが、Netflixで放送されるに相応しいクオリティを保ったまま、最終回まで走りきったのは素直に素晴らしいと私はおもう。
これまでは主に日常系作品で、主に細かな作画で定評を得てきた京アニの面目躍如といったところではないか、と私は思っている。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンのような異色作が京アニのスタンダードになってくると、それはそれで面白いなと思う。
惜しむらくは、少佐の生死を少し引っ張りすぎた感じがしたのがやらや中だるみ感を生んでいたように私には感じられた。もう少し、テンポが良いと更によい感じになったかなともおもう。
全話放送終了後、ヴァイオレット・エヴァーガーデンの「新作エピソード」制作の発表があった。「けいおん!」までだとOVAの流れになっていただろうが、近年劇場進出にも積極的な京アニだから、もしかすると、ヴァイオレットの銀幕デビューという流れがなくはないかもしれない。
そういう事も含めてヴァイオレット・エヴァーガーデンの今後にも期待したいところである。