[コラム] 世間に物申したい!老害ヲタクの独り言コラム・ 二次元と親和性の高い「必殺!」vol.3
2019/02/22
必殺とアニメの融合に関していうと、銀河旋風ブライガーもそうですが、バブルガムクライシスというアニメも必殺オマージュを公言している作品の一つです。ブライガーが81年、バブルガムクライシスが87年という具合に、まだ本家必殺シリーズも健在だったタイミングで、こうしたオマージュの動きがあったのはある意味必然かもしれません。
考えてみると、この時代は実写にインスパイアされたアニメやマンガはたくさんありました。今はアニメやマンガにインスパイアされた実写が主流です。しかし、本来全く別物の表現である実写とアニメやマンガを、そのジャンルにどう翻案するのかが大きなキモになると私は思うわけです。
例えば、時代劇縛りでいうと、水戸黄門などはまんま「まんが水戸黄門」としてアニメ化され、また巨大ロボットアニメに翻案された「最強ロボダイオージャ」という作品もやはり80年代に存在しています。水戸黄門を翻案したアニメの場合、大成功とは言わないまでも、そこそこうまくいってます。しかし、必殺の場合、大胆な翻案がオリジナルになじまないという問題も考えられます。
それはなぜか、というと、本家・必殺でもウエスタンとのコラボや、現代に舞台を移し替えた作品もありますが、いずれもスペシャル番組の単発で終わっています。
ここからは推察なんですが、アニメやマンガに極めて親和性が高いように思われる必殺!というテンプレートは実を言うと、時代劇というフィルターを外すと、あまり効果的に機能しないのではないか、と私は考えております。
やはりオリジナル必殺!がウエスタンや現代劇との融合を試みながら道半ばで終わった点、水戸黄門のような翻案に成功した例がない(バブルガムクライシスも私は成功とは思えておりません)というあたりに問題点があるような気がします。
そうすると銀河旋風ブライガーのようにロボットが出てくるような作品だったり、アカメが斬る!のように帝具を使う暗殺集団を描く作品も、時代劇から比べると、やや演出過剰に見えるのかもしれないな、と私は想像しています。
イメージとしては闇に潜む仕事人を描く場合、黒い背景とのバランスをいかにしてスタイリッシュに描くかがキモになります。何でもできるアニメだからこそ、実写とは違う縛りがあるわけです。またストーリーもアニメならではの描き方が必要になるため、中村主水さんみたいなキャラクターはなかなか登場させにくい感じが私にはしています。
しかしながら制作費の高騰から実写で時代劇を描くチャンスは今後ますます減っていくでしょう。そうなると独特の美学を放つ必殺!のような時代劇をいかにしてアニメに翻案していくか?という問題はいずれ解決していかないといけないかな、と私は考えています。