[プロレス観戦記復刻版] 全日本プロレス世界最強タッグ決定リーグ戦下関大会(2007年12月 8日 (土)海峡メッセ下関)

気温は昨日よりやや暖かめ。朝から雨が降っていて、午前中は寒かったけど、午後からは日差しもさす好天に。いつものようにシーモール駐車場に停めようとしていたら、なんと日曜並みの混雑。何か催し物があったのだろうか。

早めにでていたからいいようなものの、ぎりぎりで出ていたら危ないところだった。
テーマ曲がなってメキシコ.アミーゴスが登場。ひとしきり今晩の見所をぶっているとTARUドリラーにのり、TARU登場。

以前よりずっと場慣れしたマイクでアミーゴスにどすのきかせた一言。乱入予告をして去っていく。困ったことにVMの入場口が私の席の真後ろなのだ。怖くて集中できない。実は集中できないことがいくつかおこるのだが…

第一試合

○ ハワイアンライオン対 ● MAZADA
(10分10秒 ボルケーノ・ボム→片エビ固め)

ハワイアンライオンはいかにも新進気鋭のレスラーといった感じ。ただ、技は出すだけで、守勢にはいるともろく見えた。試合はMAZADAが好リード。無我時代より、受けもヒールっぽさも磨きがかかっている。もはや無我出身の、というフレーズはいらないだろう。試合は若さで押したライオンの勝ち。

第二試合

● 真田聖也&太陽ケア 対 ○ 近藤修司&brother”yassi”
(11分8秒 キングコングラリアット→片エビ固め)

真田はまだ線が細いが、これから伸びてきそうな感じ。カズの指導がいいのだろう。全日の若手はどれも将来性がありそうに見える。ただ、ケアはどうしてもシングルプレイヤーなので、こうした後輩をのばしてみせる役所は不向きなのでは?相手が特にブードゥー.マーダース(VM)一のタッグ屋だっただけに、余計に差がついて見えた。

体格では一回り小さい近藤が持ち前のパワーで真田を一蹴。彼のパワーはヘビーに混ざっても何ら遜色はない。ドラゲーで試合していたということの方がむしろ反則だったのかもしれない。

第三試合

○ノザワ・ウォーリアー&ペペ・ウォーリアー&ハヤシ・ウォーリアー対 ● T28&征矢学&西村修
(17分33秒 超高校級ラ・マヒストラル)

なぜかメキシコアミーゴスはマスクを取るとロード.ウォリアーズ風のペイント。名前もそれぞれにウォリアーがつけて紹介されていた。個人的にはこの日のベストバウトか。メヒコ軍は自分たちのカラーにしっかりルチャテイストを味付けしてきていて、相手チームとのカラーをはっきり分けることに成功。ともすればごった煮になりそうな個性あふれる6人タッグを一本筋の通ったものにして見せた。

一方西村は無我のガウンを着て登場。無我って西村の専売特許だったのか?それで無我ワールドが団体名を変えるというのも筋が通らない。加えて、新しい西村を披露しようという感じでもない。何のために全日本に移籍してきたのかがリング上のファイトからは見えてこなかった。

とはいえ、試合は白熱し、前半の締めとしては申し分ない展開に。この試合のMVP.T28のがんばりもむなしく、最後は分断され、ノザワに敗北を許したが、今日見た新人の中ではもっともスター性がありそう。これからが楽しみである。

オープニングでTARUに「ガラガラやのぉ」と毒づかれていた客入りもこのころになると8分くらい埋まっていて、大健闘だったと思う。アナウンスでサイン会の告知。「本日は試合をしておりませんが、千葉から駆けつけてくださったTAKAみちのく選手がサイン会を行っています...」

あれ、じゃあ第三試合で試合していたよく似た人はいったい...(笑)

それにしても遠目から見ても出場選手のグッズ.Tシャツはいろんなものが...無我に鬼嫁、パンクラスまでそろっているし...買わなかったけど(笑)

ここから世界最強タッグ決定リーグ公式戦。

第四試合

△ アブドーラ.ザ.ブッチャー&鈴木みのる 対 △ TARU&ゾディアック
(7分25秒両者リングアウト)

最強タッグといえば二人の選手の合体テーマが入場曲として使用されるのが定例。今年のミソはなんといっても「風になれ」(中村あゆみ.鈴木のテーマ)と「吹けよ、嵐。呼べよ、嵐」(ピンクフロイド.ブッチャーのテーマ)の合体であろう。果たしてそれはいかなるものだったか。

それはブッチャーの呪文と曲の旋律を、「風になれ」メインで上手にサンプリングした優れものだった。これが聞けただけでも行った甲斐があったというもの。そしてリング上にあがった二人は実に絵になる。会場には「鈴木みのる、世界一おもしろい」のボードも。どうせ試合はリング外で行われると推察できるので(そういうカラーの選手ばかりそろっているから)今のうちとばかり、あちこちからフラッシュの嵐。私もなれないデジカメを持って焦りながら一枚。

ところが入場の余韻を楽しんでいられるほどこちらには余裕がなかった。「下がってください」というセコンドの怒声とともにあわてて席を立たせられる我々。そう、後ろからはVTが入場してくるのだ。TARUはともかく、正体不明のゾディアック...こいつがまた怖かった。

十字架を背負い、頭からすっぽり布をかぶり、首には鎖。いつ暴れ出すかわからない緊張感の中、ゆっくりゆっくり入ってくる。とうとうしびれをきらしたのか、みのる、ブッチャー組が先制攻撃に出る。

そして長い場外乱闘が始まる。リング上ではみのるがゾディアックの布を取ってしまった。当初の予想通り、暴走するゾディアック。リング下ではすでにTARUとブッチャーがフォーク合戦。

最初はTARUが優位に進めていたが、いつの間にか形勢逆転。髪をひっぱり、顔をお客さんのほうに向けてよく見えるようにフォークをグサッ。そのたび鮮血とすごい形相を見せるTARU。

ただ痛がるのではなく、その異形の様をお客にわかるようにみせる。ブッチャーもTARUもプロだ。

そうこうしているうちにレフェリーがゴングを要請。案の定両者リングアウト。してやったりのTARUは「どや、鈴木、これでお前らは0点。決勝進出はでけんちゅうこっちゃ」とうれしそう。

一方ブッチャーは収まりがつかなくて、ゴングを鳴らした木原リングアナにくってかかり、フォークで一撃。そう、ここからが木原さんの不幸な一日の始まりだった。

第五試合

○ ジョー.ドーリング&武藤敬司 対 ● 荒谷望誉&大鷲透
(15分15秒 ジャンピングパワーボム→体固め)

この試合から背筋が落ち着かなくなる。何せ冒頭にVTの乱入予告があったのだ。前の試合でたっぷり恐怖を与えてくれたゾディアックが...

試合は大型同士のごつごつしたいい試合に。最初はへたれで通していた「つぼ八」(コスチュームにそう書いてある)荒谷も、最後はムーンサルトを見せるまでにがんばった。大鷲も最初は上背で上回るドーリングを攻めあぐねていたように見えたが、連携をみせてきたあたりからぐっと乗ってきたようだった。これはもしかするとという場面も何度かあった。

しかし、ドーリングが予想以上に粘り、休養十分でおいしいところを遠慮なく持って
行く(新人を上手にコントロールしているとも言う)武藤にタッチするとたちまち形勢逆転。膝の悪い武藤がタイムリミットぎりぎりまで働いて、ジョーにスイッチするというタッチワークがまた絶妙。これがこのチームの底力なのか。

だが、武藤組がせめて、さあ、これからと言うときに...キターーーーーーーー!ゾディアックとTARUが脱兎のごとく乱入。武藤とドーリングを吹っ飛ばし、大鷲と荒谷にフォールを促す。そこは元同僚のヒール同士、大鷲がVTに結託...するのかと思いきや、なんと荒谷との連携でVTの二人をぶっ飛ばす。大歓声の会場。毒付きながら退場するVT。

しかし正々堂々が裏目に出て、結局は武藤にかき回され、最後はドーリングがムーンサルトまで出して手数のつきた荒谷をフォール。見事単独首位で決勝戦進出となった。

こうして書いていると集中して見ているように思われるかもしれないが、実際のところは後ろが気になってしょうがなかった。  そして、その流れはさらに悪い方にメインへと引き継がれてしまうのだった...

今まで本文中に挟めなかったのだが、場外乱闘の果てに、フェンスに激突したレスラーに吹っ飛ばされる形で木原アナが後頭部を痛打していた。ちょうど本部席の真後ろにいた私はその一部始終を「何度も」目撃させられた。なにせ人が飛ぶのだ。それも床と平行に最後列の私の席の手前まで。

交通事故で人がはねられた感じといえばいいか。幸い脳しんとうくらいで納まっていたようだったが、一時気絶してしまった木原さんをセコンド陣が必死に声をかけていたところを見ると、予定外の事故であったことは容易に想像がついた。

それがセミだけならまだしも、メインでもおこって...これが後半集中できなかった大きな理由である。

第六試合

○ 佐々木健介&[川田利明 対 ●諏訪魔&小島聡
(17分28秒 ラリアット→片エビ固め)

試合に話を戻そう。先行で入場してきた小島組は川田組がでてくるなり、場外で奇襲攻撃。そのまま試合開始。ところがこの場外戦が私たちの座っている南側ではなく、北側でばかり展開されるもので、何をやっているのかさっぱり見えない。

ようやくあがってきたかと思ったら、健介と小島がわずかに肉弾戦を演じたものの、再び場外。ここで主戦場が南側に移り、木原さんが再び受難。ジョー樋口状態(プロレスファンならこの表現で通用すると思いますが、昔試合中に乱闘に上手に巻き込まれて失神するレフェリーがいたのです)である。

しかしリングアナが巻き込まれても試合に進展があろうはずもない。小島.諏訪魔はヒールターンして、新しい一面を出そうと必死になっていたように思う。普段のに小島の力を出せば十分渡り合えたろう。まだ少し経験が必要な気がする。そこに川田組がつけいって、肉弾戦の果てに諏訪魔をとらえた健介がラリアットでフォール。思った以上に川田組の連携はとれていて、分断してチームの崩壊をねらった小島組のもくろみは露と消えてしまったのだった。

惜しいかな、場外戦が多く、本来の持ち味が生きていない上に、再三に渡る事故も重なって、リング上に集中できなかったのが惜しまれる。カードがよければかならずしもいい試合になるかといったら、そうはならないこともあるという見本みたいな試合だった。

ここから先は報道で知ったのだが、この試合で優勝戦進出決定戦として同一カードが大阪で組まれ、小島組が決勝進出。武藤組と戦って武藤組が優勝を果たすわけである。

まあ、全体的には満足のいく興業だったと思う。私自身なれないデジカメもってあたふたしていたせいもあるが、全体的に集中力が散漫になってしまい、もうひとつ心から楽しめなかったのが残念である。

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