プロレス的音楽徒然草 魔王凱旋
対越中戦の
今回は高田延彦選手がジュニア時代に使用していた、聖飢魔IIの「魔王凱旋」をご紹介します。この曲は「悪魔が来たりてヘビィメタる」の冒頭に収録されています。
のちに映像で確認したのですが、この曲の前に何回か違う曲が使われていて、対コブラ戦や名勝負数え歌となった対越中戦の後半あたりはこの曲が使用されていました。
牙を剥いたカムバックサーモン
新日本を離脱し、団体崩壊後復帰した際に「牙を剥いたカムバックサーモン」(古舘語録)と呼ばれたUWF軍団の中でも高田、山崎の二選手は新設されたIWGPジュニア王座を巡り、越中、ザ・コブラらと死闘を繰り広げていました。
古館語録は時に行き過ぎた面も否めないのですが、ことUWFに関していうと「キックと関節技の荒くれ二丁拳銃」「殺戮の微熱青年」「我儘な膝小僧」など数多くあるそのほとんどが気にいっています。
思わぬ外敵
高田選手というとUWFインターにいってからのトレーニングモンタージュ(ロッキー4のサントラより)が有名で、実は新日時代のテーマはそれほど顧みられたことはないのですが、私的には越中選手との一連の死闘と共にこの「魔王凱旋」は強く記憶に残っています。
全日に居場所を失って移籍し、新日でライバルを制して初代IWGPジュニアチャンピオンになった越中選手にしてみたら、UWFというのは思わぬ外敵の登場だったわけです。
人間サンドバッグ
しかも馬場さんの教えでもある「構えを大きくする」ことを新日でも貫いた越中選手は古館アナ曰く「人間サンドバッグ」になってしまうのでした。
しかしこの越中の意地の張り方が共感を生んで、「他団体から越境してきた」にも関わらず、大ベビーフェイスとして開花することになったわけです。
その後、キックを使う選手に対しては胸を突き出していく越中系の受けが広まっていき、それまでは多種競技のものだったキックは、次第にプロレスの日常風景になっていきました。
受けることありきの技は
今やまわし蹴り系のキックを使うからといって、即Uを連想する人の方が少ないでしょう。長い年月を経ていつの間にかプロレスの技として定着していったんだなと思います。
UWFのご意見番だったカール・ゴッチさんは、こうした蹴りをレスリングで使うことには、あまりよい顔をしなかったといいますが、やはり時代の流れで試合が変化していくのは、仕方ないのかもしれません。
一撃必殺を
ただ、蹴り技で一撃必殺を狙う選手はずいぶん減ったように思います。
つなぎ技として蹴るくらいなら一撃必殺を狙ってほしいと私は思っています。
それは胸を突き出して受け合うチョップでも同様で、受けのすごさを引き立たせるだけでなく、この一撃で相手を倒すんだという強い意思を感じないと、なあなあで済まされているようであまり見てきて気持ちがいいものではないですね。
受ける事ありきでは
越中対高田がなぜ「名勝負数え歌」と呼ばれたのか?
それは高田選手が本気で越中選手を蹴り飛ばし、越中選手が意地でも倒れまいと踏ん張ったその攻防に、お客さんが酔いしれたからだともいえるでしょう。
そういう意味では受けることありきで放たれる技には、そこまでの熱量を持ち得ないのではないかと私は思います。
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