DDT What are you doing 2022 TOUR in FUKUOKA
(2022年5月28日(土)福岡・西鉄ホール)
イントロダクション
3月5日にピヴォーレ福岡で開かれるはずだった大会が、コロナ禍で早々と中止になり、一月以来実に四ヶ月ぶりとなるDDT福岡大会。
サイバーファイトフェスを間に挟んで、博多では六月の東京女子も控えている。
DDTとしては夏のレッスルピーターパンに向けて、盛り上がりを作りたいところだろう。
さて、今回の福岡大会。特別参戦に名を連ねているのが、邪道・大仁田厚!
確かに九州出身のプロレスラーだが、FMW時代から会場クラッシャーとして名を馳せる大仁田を、西鉄ホールに参戦させて大丈夫なのか?DDT?
下関→北九州
今回は諸事情で一旦下関に戻り、再度出かけることに。一回目の外出で工事渋滞に巻き込まれたので、そちらの道は避けて小倉入り。
いつも停める駐車場が満車で、斜向かいのいつも満車の狭い(けど、少し安い)駐車場に停めて、ホームにあがるとのぞみ待ちの人が多かった。
北九州→西鉄ホール
なので、5分後のこだまに乗ることにしたら、それがまさかのハローキティ新幹線!
いやあ、乗った一号車に座席がなくて、慌てて移動したが、エヴァすら当たらなかったのに、まさか、まさかのハローキティに当たるとは!
そこからはスムーズにいき、トントン拍子で西鉄ホールに。ただコロナ禍のせいか、パンフレットがなかったのは残念だった。
ポスターだとサインもらってもかさばるし、パンフはありがたいグッズなんだが。一月の大会もパンフなかったし、DDTはもう作らないのかなあ。
ちなみに場内アナウンスでは「パンフ一部千円」という井上マイクリングアナの声が流れていたが、パンフないと売店行く用事ないし。
オープニング
オープニングアクトは、午前中チョコプロに出場し、まだ会場についていないMAOを除いたThe 37KAMIINAの3人。
なぜか、以前のぞみとこだまを乗り間違えて、大会に間に合わなかった話を、上野がニヤニヤしながら喋りはじめたので、今林GMはカリカリしだす。
ちなみに、MAOと上野は連絡がとれているらしい。果たして第二試合に間に合うのだろうか?
そして、大仁田と闘う勝俣が自分のカードのルール変更を一方的に決めてしまった。
名付けて「ストリートサウナ・スクランブルサウナバック・サウナサウナ6人タッグデスマッチ」。これを井上マイクリングアナがしっかりメモ。
最後に小嶋がいつものゆるーい感じでMAOにメッセージしつつ、博多大会スタート!熱パワー!」で大会をスタートさせた。
オープニングマッチ 30分一本勝負
○MJポー(6分34秒 デスバレーボム→体固め)●高鹿佑也
オープニングを飾るのは、DAMNATION T.Aが誇る巨漢・MJポーと、BURNINGの若頭・高鹿との一騎打ち。
DDTは若手でも積極的に上で使っていくため、トップ戦線が常に若々しい。これはDDTの強みでもある。
MJポーと並び立つと高鹿が体格差で対峙するのは、やはり無謀に思えた。
中盤寝かせて関節決めにきたのはよかったのだが、太いMJポーの手足はなかなか関節技には向かない。
結局、立ち技に切り替えるが、こうなるとポーの方が有利。結局デスバレーで高鹿は沈められてしまった。
ちなみに、松永レフェリーも高鹿もなぜか、MJポーをずっと「MJ」と呼んでいたが、「ポー」じゃダメなのか(笑)
そして、この試合後にリング板が割れて、急遽休憩に入ることに。このアクシデントでMAOが間に合えばいいが…
第二試合 30分一本勝負
●今林久弥&大鷲透(12分31秒 ケツゴェ)○飯野“セクシー”雄貴&男色“ダンディ”ディーノ
やはり、というかMAOは第二試合には間に合わず、一人入場してきた大鷲が「博多出身の英雄」として指名したのが、この間フェロモンズと試合したばかりの今林GM。
渋々試合出場を了解するが、案の定フェロモンズにいいようにやられてしまう。またしてもフェロモンズの好き放題にやられてしまうのか?
と思いきや、テーマ曲がなり、会場入り口から私服姿のMAOが「間に合った」コールをしながら、乱入。
試合は当初の予定通りになるかと思われたが、MAOの背中を今林GMが蹴り上げた。まさかの味方の裏切りに呆然とするMAO。
今林GM曰く「この試合お前は関係ない。これは今林・大鷲組の試合なんだ。試合に間に合わなかったお前は減俸だ!」と一方的にまくしたてて、MAOを下がらせてしまう。
しかし、その直後に蘇生した飯野が今林GMを捉えてしまう。必死にMAOの名を叫ぶ今林GM。
だが、GMを見捨てたMAOは、さっさと退場してしまう。
結局、今林GMはいつものようにフェロモンズに蹂躙されてしまった。
ただ今回のは自業自得といえなくもないか。
ちなみに今大会一番盛り上がったのが、この第二試合と次の第三試合(再試合含む)だった。
第三試合 スペシャルシングルマッチ 30分一本勝負
○アズールドラゴン(0分13秒 逆さ押さえ込み)●平田一喜
九州の実力者・アズールの対戦相手は平田。平田のシングルマッチを生で観戦するのも相当久しぶり。
まだヒラタダンスやる前にテーマ曲をかけて、松永と抗争していた試合が印象に残っている。
入場からいつも通りの平田はいつも通り、謎の上から目線でアズールを挑発。
怒りに震えて入場してきたアズールは、平田を襲撃するや、逆さ抑え込みで3カウント!
再試合 30分一本勝負
○アズールドラゴン(7分40秒 アズロール)●平田一喜
おさまらない平田はマイクを握り、泣きの一回かと思いきや、ここでも謎の上から目線で、アズールを挑発。まんまと再試合に漕ぎ着ける。
その後も基本アズール優勢は変わらないのだが、平田の手刀がアズールに炸裂!ダウンしたアズールにダンスを強要しようと、平田は、○次元ポケット風のBGMにのせて、ひみつ道具「予備のメガネ」をタイツから取り出して、アズールに装着。
最初は音楽に抵抗していたアズールもついに終盤で平田ダンスに付き合ってしまう。
だが、踊り切って満足した平田をアズールが押さえ込み、そのままブリッジして勝利。
平田の世界観に付き合いながら、きっちり仕事をしたアズールの本領発揮となった試合だった。
第四試合 30分一本勝負
○彰人&吉村直巳&赤井沙希(10分10秒 エンドオブワルツ)●高尾蒼馬&納谷幸男&雪妃真矢
当初カードに名前があったクリスは、練習中の怪我で欠場。代打に彰人が入ったが、あまり意味合いは変わらなかった。
熊本で絡む雪妃と赤井もそれほど絡むでもなしで、前哨戦の意味合いは薄い内容になった。
ただ、火野とのシングルを控えた納谷だけは一人テンションが違っていた。
秋山のコーチと火野のアドバイスで、動ける大巨人キャラというDDTでは唯一無二の個性が大爆発。
さしずめ納谷幸男ショーともいうべき試合になったのは意外だった。
逆に高尾がこの個性の中に埋もれてしまったのは残念だった。
最後も彰人にエンドレスワルツをかえされ、エンドオブワルツで仕留められてしまった。
若手通信世代にはもうひと頑張りしてほしいと個人的には切に願わずにはいられない・・・
第五試合 ストリートサウナ・スクランブルサウナバック・サウナサウナ6人タッグデスマッチ 30分一本勝負
大仁田厚&○HARASHIMA&青木真也(10分48秒 蒼魔刀→片エビ固め)上野勇希&勝俣瞬馬&●小嶋斗偉
博多スターレーンが存命なら、それなりにはちゃめちゃな内容にしても許されただろうが、スターレーン亡き後、新たなる聖地になりつつある西鉄ホールが使えなくなる事態だけは避けねばならない。
と思っていたら、冒頭の大会コールで勝手に勝俣が、なんでもありルールに変更してしまった!大丈夫か?西鉄ホール?
結局、会場に一番気を遣っていたのが、誰あろう邪道・大仁田厚、というしまらないオチが最初にみえたのは残念だった。
まあ、いきなりルール変えられたし、レフェリーが特に危険と認めたもの以外の反則がOKなはずなのに、会場の備品はNGでるし、使っていい凶器も制限されるしでは、大仁田もやりにくかっただろう。
ましてや、西鉄ホールはおよそデスマッチには似つかわしくない会場。
さすがの大仁田厚でも気を遣ってしまったのかもしれない。実際試合後のマイクでそれっぽいことも言っていた。
とはいえ、膝の踏ん張りが効かないはずなのに、ダブルアームスープレックスを披露したり、グラウンドで全日仕込みのテクニックをみせたり、邪道ならぬ「炎の稲妻」バージョンの大仁田が垣間見られたのは、私的にはお得だった。
結局、この試合で一番邪道だったのは、椅子を振り回して、人生初の毒霧決めた青木真也だった。
これには試合後のマイクで邪道も讃えるほかなかった。そして、「3.2.1.ファイヤー」の締めと共に、斉藤和義の「やさしくなりたい」が流れる中、大仁田組はリングをあとにした。
セミファイナル 30分一本勝負
○佐々木大輔&KANON(15分4秒 クロス・フェースロック)火野裕士&●石田有輝
KANON効果とはいえ、石田が引き上げられる形でセミに抜擢されたのは大チャンスだった。
KANONにしても、火野クラスはまだキャリア的に手に余る相手。やはり真っ向勝負では分が悪いと踏んだか、MJポーが火野に再三介入し、石田を孤立させようとする。
火野もベテランなんで、最初はそうしたちょっかいにもそれほど乗らなかったが、Tシャツ脱いでチョップ合戦しているうちにテンションが上がったのか?
終盤再びポーが火野を捕らえると、ついに火野は場外二階にまでポーを追いかけてしまった。
孤軍奮闘する石田だったが、やはり意思疎通ができているDAMNATION T.Aにはどうしても旗色が悪い。結局、KANONとカリスマの連続攻撃から、クロスフェイスでタップアウト。
火野が自軍の負けに気付いた時にはすでに遅く、一階から挑発するカリスマとKANONを見下ろすほかなかった。
メインイベント BURNINGvsEruption! 30分一本勝負
○遠藤哲哉&秋山準&岡田佑介(16分39秒 バーニングスター・プレス→片エビ固め)樋口和貞&坂口征夫&●岡谷英樹
最近、ERUPTIONとやたら絡んでいる印象があるBURNINGだが、これまでは、ユニット対抗戦というより、準烈絡みからの秋山と岡谷の対立構図がメインになってきた。
しかし、サイバーフェスでKO-Dだけタイトルマッチが組まれなかった事を考えると、チャンピオン遠藤にも、ERUPTIONの樋口なりが、もう少しアピールしてもよかった気がする。
坂口は怪我による欠場があったので、仕方ない部分もあるが、樋口は岡谷の育成に加えて、自身の欲をアピールしてほしかったなあ。
一応ユニット対抗戦にはなっていたが、肝になるのは、サイバーフェスでNOAHとの対抗戦に撃って出る遠藤&秋山と、樋口の関係性である。
試合中に、コーナーから岡田に向かって盛んに「痛くない!痛くない!」と連呼する秋山。
BURNINGというユニットの成り立ちを考えると、岡田に檄を飛ばすことで、成長を促す秋山は一見すると間違っていない。
しかし、いつもなら、樋口には色々な意味でかなりキツい秋山が、なぜか樋口を泳がせようとしているようにもみえた。
実際、岡田が秋山の口車に乗って耐えれば耐えるほど樋口のチョップは容赦なく岡田におそいかかったし、吐いた言葉が巡り巡って秋山にも、ERUPTIONの容赦ない攻撃がふりかかる。
コーナーに控えた岡田から「痛くない!痛くない!」と言われては、秋山も受けていかざるを得ない。
このキャリアになって四天王プロレス時代並みに技を受ける羽目になるとは、秋山も思っていなかっただろう。
しかし、逆にいえばあの年齢で樋口や坂口の厳しい攻めを受け切る秋山は、いかにコンディションがいいか、まざまざと見せつけられた思いがした。
最後は粘る岡谷を、遠藤がトーチャーラックボムから、バーニングスタープレスを決めて決着。
しかし、試合後秋山と遠藤を睨みつける樋口からは、とても二週間後ともにNOAH迎撃に挑む空気は感じられなかった。
最後、遠藤が「あと二週間あるんで」とは言っていたが、一抹の不安が残るメインイベントだった。
後記
今回はMAOが間に合うかどうかにはじまり、クリスの欠場、リングトラブルと災難だらけの大会だった。
多分MAOの遅刻はネタとして組み込んでいた可能性があるけど、クリスの怪我とリングトラブルは想定外だろう。
ただ、今回はDDTですら、それら全てをプロレスに落とし込めなかった。だからプロレスは難しい。
結局一番盛り上がったのが、第二試合と第三試合(再試合含む)で、メインがギリギリ面白いラインに踏みとどまったかな、というのが今大会の印象だった。