鶏庵プロレス!番外編防府マットプロレス
(2023年3月21日・火祝:ルルサス防府 サクラ広場前会場)
イントロダクション
半年間の抗がん剤治療を終えて、退院したのが昨年の3月21日。その日は福岡でプロレスリングノアの大会が開催されていた。
しかし、さすがに退院して即観戦に行けるほど抗がん剤治療は甘くない。
その日は大人しく自室でAbemaによる視聴という形を取らざるを得なかった。
そして1年後チャンスは巡ってきた。奇しくも同じ3月21日にプロレスを見られる機会を得たのが今回のマットプロレス。
しかし、ことはそう簡単には進まない。3月には母が左肩を脱臼し救急搬送されたからだ。
それでもデイサービスに預けられることになり、ようやく私は自由を得た。
今まで当たり前のように観に行けていたプロレスが、当たり前にいけないもどかしさで、頭がどうにかなりそうだった。
だから、僅かな時間でも切り替える時間は必要だったのだ。
山口県でのプロレス開催は、下関市か山口市、あるいは新幹線駅がある徳山あたりが相場だった。
しかし、最近は常設会場ができた柳井、そしてプロレスを熱心に後援する鳥庵がある防府での開催が増えてきた。
また新山口駅前にKDDI維新ホールという立派な会場もできたおかげで、下関でプロレスを開催するメリットがなくなりはじめてきた。
さすがに片道2時間以上かかる柳井には現状行けないのだが、防府ならギリギリ行ける。
下関→防府
防府までは例によって最寄駅からの鈍行列車の旅。半年前に華☆激を観に行って以来になる。
前回は晴天だったが、今回はあいにくの空模様。片道90分だから実は博多より近いのである。ちなみに片道1170円。
ルルサス防府は防府駅のすぐ隣だったのだが、なぜか道に迷ってしまいだいぶ遅くなってしまった。
マットプロレスは初開催だそうだが、県外からも熱心なファンが来ており、すでにリングサイドは満席。
仕方ないので、真ん中の席からこっそり観戦。
前説にくいしんぼう仮面登場。コロナ禍で久しぶりになるせいか、かつて見慣れた光景も新鮮。
今回もマスク付きならば声援OK。だんだんこのスタイルがデフォルトになりつつある。
オープニングマッチ
●那須凌也 対 ○やんちゃマン(6分53秒・ラリアット)
那須凌也は、広島のリアライズプロレスに所属していたフリーのプロレスラー。
ちなみに本人のツイートによると、防府マットプロレスが今年の初試合になり、なおかつマットプロレス初体験になるそうだ。
対するやんちゃマンだが、昨年の九月にみた試合で少し不安を覚えたので、大丈夫かなと思ってみていた。
個人的には、2人とももう少しシェイプして身体作ってほしいという点と、特にやんちゃマン側が受けに回るとハラハラする場面が見られた点が気になった。
これは悪口でもなんでもないんだが、那須がスモールパッケージホールドに行った際に、やんちゃマンがへんな落ち方をしたので、観ていてびっくりした。
もちろん、スモールパッケージは固め技で、頭から落ちる技ではない。しかし、まるでDDTみたいな落ち方やんちゃマンがしてしまったからだ。
さらに立ち上がった後も、やんちゃマンがフラフラしていたので、そればかり気になってしまった。
形の上ではやんちゃマンがどうにか引き込み式のラリアットで、那須から勝利したが、第一試合から事故はみたくないし、後味はあまりよくなかった。
お客さんは盛り上がっていたけど、一歩間違うと事故になりえただけに肝を冷やしたオープニングマッチだった。
第二試合
●YASU&アストロZ 対 陽樹&○鉄生(10分33秒・ラダーからの鋼鉄ロケットランチャー)
山口県チーム対北九州チームの対抗戦。とはいえ、このメンツならまずハズレにはならないので、安心して観ていられた。
アストロZとYASUのチームはスピード、鉄生と陽樹はパワーと見た目もわかりやすい。
加えてがむしゃらプロレス勢はマットプロレスの経験も豊富だし、何より場慣れしていた。
Re:ZARDは、初めての場所でもお客さんを煽って、場の空気をつくっていくのは、さすがというほかない。
鉄生&陽樹はもともとタッグワークどうのこうのと言った理屈がいらない。
片やYASUは土屋と組んで磨いたタッグのスキルを存分に披露。十分に相手を引きつけておいてから、アストロZに代わるあたりが実に心得たもの。
そのアストロZは、対葛西戦で覚醒したのか?会場になぜか用意されたラダーを持ち出した。
しかし、もともとがプロレス会場ではない場所のため、ラダーに登るとアストロZや YASUですら天井に頭がついてしまう。
仕方なくラダー中段からのフットスタンプに切り替えていたが、これを凌いだ鉄生が山口県タッグを蹴散らす。
そして、自らラダーに登り、ダイビングヘッドへいこう…としたら、ラダーを支えていたセコンドがしっかり持っていなかったせいか、鉄生が途中で落下!
一瞬ヒヤッとしたが、結果的にこれが決まってカウント3!
ラダーに関しては不慣れなセコンドが扱うと危ないな、と思わされた。
まあ怪我なく終わることができたので、とりあえずホッとした。
メインイベント
●くいしんぼう仮面 対 ○レイ・パロマ(12分31秒・逆さ抑え込み)
正直、本日の最大の目当てはこのカード。
OSW対ダブプロレスの芸達者がシングルでぶつかるとなれば、これを見逃す手はない。
実際、入場からすでに出来上がっているお客さんの熱気をあおるようにして、くいしんぼうとパロマが入場。
実はこの日テーマ曲は全てリングアナ氏のスマホからYouTubeに上がっている音源を流していたのだが、ほぼそれが聞こえないくらいにお客さんが盛り上がっている。
当然2人とも序盤からエンジン全開。パロマは会場の子どもさんに「好きなタイプは?」ときいて「レイ・パロマ!」と返されて御満悦。
くいしんぼうが先に「いい試合だ!」といえば負けじと「いい試合だ!」で返していくが、全然試合は進まない。
くいしんぼう自身久々だというマットプロレスだが、まるで昨日やっていたかのように、お客さんを時には凶器にし、お客さんを味方につけたり、自由度はコロナ禍前より増していたようにみえた。
そして、これまで数々の難敵と対峙してきたくいしんぼうだが、パロマとの絡みがここまでスイングするとは思わなかった。
パロマはいつも以上に変態オーラ出しまくりだし、くいしんぼうもノリノリなのが観ていて伝わってくる。
何より初開催なのにマットプロレスやOSWのなんたるかを熟知しているお客さんのノリがすごい。
ついにはパロマがロングタイツおろしたまま外に出ようとするし、色々危ないところはあったものの、最後は抑え込み合戦の末にパロマが逆さ抑え込みで、くいしんぼうからフォール。
なんか押さえ込まれるたびに、観てはいけないものを見てしまったような気がしたが、きっと気のせいだろう。
エンディング
くいしんぼう仮面が後説をつとめ、いくつかお知らせがあったあとに、鳥庵のマスターが登場。六月四日に久々となる鳥庵プロレスを開催するという発表があった。
一応行きたい気持ちはあるのだが、それまでに自由になれている保証はないので、最速の先行発売は見送って、がむしゃらプロレス勢に軽く挨拶して会場を出た。
後記
行きと同様、新幹線駅でもある新山口駅では25分の停車。殆ど乗ってくる人はいないんだけど、これさえなければ余裕で母のデイサービス帰りにも間に会うんだがなあ。
ともあれ、1年越しに3.21のリベンジが達成できて、個人的には嬉しい気分で満たされていた。
確かに明日は母の通院に付き合わないといけないし、諸々現実問題から逃げるわけにはいかないのだが、それでも少しの息抜きを求めて、またプロレスを観にいきたい。
つぎは4.16になるか、4.2になるか?それは今の時点ではなんとも言えない…。
でもしばらくはマットプロレスの想い出を反芻しながら、またいっぱいいっぱいになった時はフラッと観にいきたいなあ。