[プロレス観戦記] 地域からイジメをなくそう!世代を越えて‼︎がむしゃらプロレス穴生大会

地域からイジメをなくそう!世代を越えて‼︎ がむしゃらプロレス 穴生大会(2019年11月17日 日・穴生小学校 体育館)

がむしゃらプロレス年末のビッグマッチ前に開催される、八幡の大会はもはや恒例となっているが、今年の会場は八幡西区の穴生小学校。八幡西区の街中にあるのだが、びっくりするくらい閑静なところ。

学校によって対応が違うのだろうけど、穴生の場合、校庭を駐車場として開放してもらえたのもありがたい。穴生はそうでもないんだが、公共交通機関でも行きづらい上に、駐車場なし、コインパーキングもなし、というケースが一番きついからだ。

穴生は、本来なら土禁の体育館には全面ブルーシートが敷かれており、土足OKだった。これも大変ありがたい。

会場を見渡すとお子さん以上に高齢者の方が多い。北九州はもともと少子高齢化都市だけど、中でも八幡西区は高齢化率が高い地域なんだそうだ。この観客層の割合というのは興行が盛り上がるか否かを握る結構重要な鍵になる部分なのである。

いい例がエネルギッシュでパワフルだった鞍手なんだけど、穴生はそれとは真逆の雰囲気。さあ、この空気をひっくり返せるか否か?

オープニングの前のプロレス教室、小さい女の子たちのフラダンス披露はそれなりに盛り上がって、空気は暖まってきた。事前にプロレスルールのレクチャーも挟んでいたし、出来る事は全部やり切れていたように思う。

▽オープニングマッチ(20分1本勝負)
①〇パンチくん vs ×ダイナマイト九州
(12分23秒 横入式回転エビ固め)

かつてはがむしゃらプロレスにおいては、ある意味名物的な顔合わせだったカード。ただ、この日集まっていた年配層が見ていた時代のプロレスには、いわゆるこうしたお笑いマッチがなかったことは十分に考えられる。だからかもしれないが、この2人の試合とは思えないくらい反応が悪い。

いつもがむしゃらプロレスを見ている層にはウケる内容だったのだが、一見さんには少し厳しかったかもしれない。我々が鉄板だと思いこんでいる内容が、案外そうでもないという事実に直面すると、プロレスというのは難しいものだな、とつくづく思う。

だが、逆にいうといつも見慣れているものでも、まだ改善のチャンスがあると言うこと。慣れと油断は悪いことばかりではない。むしろ、穴生の年配層にウケが悪かった事実は好機と捉えたら、非常に有意義だったのではないだろうか?

では、どのへんがチャンスだったかというと、コーナーに股間を打ちつける時に子どもを呼び込んだりするけど、腰の重いお年寄りに試合へ介入してもらえるにはどうしたらいいか、という工夫もできたりする。

九州もパンチくんもスーパーベテランなんだけど、彼らの試合ですらまだ伸び代があると言う事を考えると、プロレスというのは本当に奥が深い。

余談だが、この日から変わったパンチくんのテーマ曲が相当耳について離れなかった。YouTubeにも動画があるけど、テーマ曲マニアの私はAmazonでCD購入してしまった(笑)

▽改ビバメヒコデスマッチvs KING of CHOP(1分6ラウンド勝負)
②×リキ・ライタ vs 〇HIROYA
(チョップ→片エビ固め)

これも一見さんには敷居が高い試合だったかな?ただ、わかりやすさでいうと、第一試合よりは良かったかな、と思う。

というのも、ラウンド制によってチョップが入る形でわかりやすくプロレスを伝えられたからだ。なおかつ「罰ゲーム」のテキーラも明らかに劣勢な方が飲まされていた。この辺りはかなりわかりやすかったと思う。

HIROYAの強烈なチョップ対策で厚着してきたリキだったが、序盤で全部脱がされると胸板が真っ赤になるほどうたれまくる。

しかし酒が入ってくると、リキはテキーラだけでいいのに、勝手に準備してきたシャンパンまでチャンポンにして飲み出した。単体ならそれなりにいい匂いになるはずが、ごちゃまぜにされたおかげでリングサイドは異臭に包まれる始末。

このあたりはブレーキが効かなくなって危うく収拾がつかなくなりそうだったが、結局酒で頭がぐるぐる回っているHIROYAが、渾身のチョップで粘るリキを振り切ってなんとか面目を保つ形になった。

▽ユニット対抗タッグマッチ(30分1本勝負)
③MIKIHISA&〇尾原 毅 vs ×トゥルエノ・ゲレーロ&SMITH
(12分38秒 膝十字固め)

社会人プロレスの難しいところは点を線にしようとしても、なかなか思うようにはならない、ということ。

だからこの試合みたいに結果が反映されて即タイトルマッチに繋がらない。結局2019年はそういう試合が多すぎたのと、もともとがむしゃらプロレスにはタッグ屋が少ないことから、4月に上原&スコヴィルから奪還したタッグ王座の防衛戦は、12月まで行われずじまいになってしまった。

本来ならナスティの尾原&MIKIHISAがチャレンジャーとしてはふさわしいのだろうが、いかんせんスケジュールが安定しない以上、致し方ない。

というわけで、図らずもあまり組んでないもの同士の闘う、あまり対抗戦の匂いがしないユニット抗争になってしまったわけだが、不穏な匂いが漂っていたのは、ドリームチューバーの方だった。

とはいえ、普段からパートナーをこきつかい、美味しいとこだけかっさらうスタイル(しかもそれで恨まれたためしがない)のSMITHが、いつも通り後輩のゲレーロを手足のように使っていたのだが、なんとなくリズムがあわないのか、観客のノリが悪いからか、だんだんSMITHがイラついてきたのがわかりだす。

こうなるとゲレーロがいくら頑張ってもどうにもならない。タッグというのはつくづく難しいものだと思う。

試合後、ゲレーロの不甲斐なさを叱責したSMITHは、自らがタッグ王座へのチャレンジャーに名乗りをあげた。だらしない?後輩に喝を入れるつもりらしいが、さて誰を連れてくるのだろうか?

▽GWAヘビー級選手権試合 前哨戦(30分1本勝負)
④山内拓也&サムソン澤田&○KENTA vs ×BIG-T&久保希望&陽樹
(15分27秒 スーパーノヴァ)

本当はGWAヘビーだけでなく、できればYASUにも入ってもらいたかったカード。なぜなら、OPGジュニア王者の山内との絡みが刺激的な感じがしたからだ。

しかも、OPGジュニアも団体内でチャレンジャーが一周してしまい、次期挑戦者を探している最中。探せばいないわけではないだろうが、奇しくもGWAジュニアと置かれた立場が酷似している。

とはいえ、そこがままならないのもプロレスの奥深いところ。結果的に山内はお客さん的立ち位置になったものの、プロの久保相手に一歩もひかない向こうっ気の強さに、鍛え抜かれた身体から繰り出される切れ味鋭い技の数々は非常に魅力的に映った。

だからこそ、無理は承知でいつの日かGWAジュニアとOPGジュニアのダブルタイトル戦というのもみてみたい。

試合は皿倉山同様、陽樹が右腕を攻められて、本領発揮に至らず、一見すると赤信号のような気がするが、果たしてLCRの思惑通りになるかどうか?二週間後が楽しみになってきた。

▽山陰統一タッグ選手権&OPGタッグ選手権試合(60分1本勝負)
⑤【挑戦者】×鉄生&上原智也vsKOZZY&〇マツエ デラックス【王者】(12分48秒 フライングソーセージ)

全員あわせておよそ500キロという、4人が揃うだけでリングが壊れそうなスーパーヘビー級が織りなすモンスターバトル。

まあ、10月の広島での初遭遇もそうだが、こういう試合に理屈はいらんという見本のような試合。

だが、やはりタッグチームとして場数を重ねているKOZZY&デラックスはやはり隙がない。特にオールスターサミットでは、KOZZYが敗北しているだけに、調子づかせたらタイトルを失いかねないだけに、王者組は慎重だった。

一方、2月にOPGの至宝をかけて対戦した上原と鉄生には、闘いを通じてできたキズナが見られたが、この日はそれが裏目に出た。お互いの力を信用しすぎて、パートナーをローンバトルにしてしまったのだ。

これは痛い失点だった。個々の力が卓越していても、チームとしての能力はそれに比例しない。最後は結果的に鉄生がつかまり、ピンフォール負けを許したわけだが、終盤決めにかかる松江タッグの連携は鮮やかすぎるくらい見事なものだった。

死力を尽くして戦い抜いた4人は本当によくやったと思う。しかし一見さんの全てにはまだ届かなかった。最終的には声援も飛んでいたけど、それでもこれだけの試合を見せてくれた4人には少し気の毒だった。

カード的にいうなら、鞍手の方が一枚落ちだったけど、観客の反応は鞍手が圧倒的に上だった。ところ変われば品変わるというけれど、観客の反応が悪い時にどう盛り上げるか?も選手や団体に問われる大会だったことは間違いない。

北九州は全体を通すとお祭り好きで陽気なイメージがあるけど、地域によっては、これだけ反応が違う。これを教訓にいつかまた穴生でリベンジしてほしいものだ。

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