がむしゃらプロレスイベント試合”北九州を盛り上げるCHA!!”(2020年3月22日・日曜・チャチャタウン小倉イベント広場)
イントロダクション
コロナ騒動のおかげで各種イベントが軒並み中止になる中、心配していたうちの一つが、チャチャタウン大会だった。しかしながらチャチャタウンの様子をみていると、2日間だけ休んだもののあとは屋外ということもあってか、普通にライブ等のイベントはやっていた。
もっとも県外から誰かを呼んでというものに関しては難しいのか、派手目なものはなかったけれど、見ている限りではイベントの中止はなさそうとは踏んでいた。
実際のところは、前例がない分、チャチャタウンとがむしゃらプロレスとの間で協議もあったことと思う。結局かなり土壇場になって開催となったのだが、カードも当然出せず、ほぼ当日発表に近い形で当日を迎えた。
★1部★
恒例のプロレス教室は今回は一部・二部ともになし。一部の前説はベビーターンしたばかりの七海健大&HIROYA&ダイナマイト九州という珍しい組み合わせ。しかし、このあとぶつかるHIROYAに対して言外にきつめな感じを醸し出す九州と、久々の人前で珍しく舞い上がっているHIROYAに、無言の健大という変な感じで前説は終了。
アニソン部のじゅんさんとふみみさんの歌でもりあげたあとは、いよいよ試合となったのだが、この時はまだこのあと起こる奇跡みたいな出来事は(うっすら想像はしていたけど)まだ現実にはなっていなかった。
▼CHACHAバトル1~九州ダイナマイト級 3WAY選手権試合(30分1本勝負)
①○シドニー・昌太・スティーブンス vs HIROYA vs ×ダイナマイト九州【王者】
(14分12秒)
いかにもダイナマイト級らしいカオスな顔ぶれ。しかし実はシドニーもHIROYAもシングルベルトの戴冠はない。こうなると、ダイナマイト級とはいえ、箔をつける意味合いは十分にある。
試合前、高々とダイナマイト級のベルトを掲げて、王者らしく入場してきたダイナマイト九州。しかし、ダンボールのベルトに対してHIROYAもシドニーも「いらない!」とそっけない。
試合は、同じユニット同士になったHIROYAとシドニーが大型選手同士の迫力あるぶつかり合いで、見応え十分。なんとか割って入ろうとする九州だが、なかなか間に入れない。
しまいにはレフェリーやセコンドみたいになってしまうが、隙あらばフォールを狙いにくるので、油断も隙もない。
そして入場時からもっていた紙袋からハンバーガーを取り出して、シドニーを買収しにかかる。ファーストフード大好きなシドニーは、同じユニットのHIROYAをうらぎり猛攻をしかける。爆発力という点ではまだ可能性を秘めているシドニーは、豪快なのど輪でHIROYAをノックアウト。そのまま九州も蹴散らして見事新王者に!
買収作戦もむなしくベルトもとられた九州は、踏んだり蹴ったり。逆に最初はいらないと言っていたはずのシドニーは、嬉しそうにベルトを首にかけて退場していった。
▼CHACHAバトル2~リキ・ライタ 1ランク上のおっさんへの道(30分1本勝負)
②×リキ・ライタ vs ○七海健大
(8分39秒)
二月の赤煉瓦大会でジョロキアにボコボコにされた挙句、後輩のHIROYAにユニット加入不合格まで通知されたリキ・ライタ。
だが、プロレスはどんな形でも注目を集めたもの勝ちなところがある。波は確実にリキ・ライタにきているのも確か。あとは本人がその波に乗れるかどうかだけの問題。
さて、ワンランク上のおっさんを目指すリキ・ライタは相変わらず上から目線で、健大にドリームチューバー入り、そしてなぜかインターコンチの挑戦まで要求。当然受け入れるわけがなく、試合は進んでいくが、前回の反省を踏まえて、リキがドラゴンスクリューを使った足殺しにいき、健大の足を止めようとする。
しかし、4の字にいくタイミングが早すぎて、十分なダメージをくらってない健大は終始余裕。なぜか健大登場と共に降り出した雨に向かって、試合中にツッコミ入れるくらい、相手は眼中になかった。
ただし、雨男のパワーは強烈で、その雨脚のせいでお客さんが避難してしまい、一時的に無観客試合になってしまった。測ったように降り出すタイミングといい、まさに雨男の面目躍如!
一方、せっかくいい流れがきていたリキの勢いも、天まで味方につけた?七海健大の雨男パワーには通じるはずもなく、結局八分程度で健大が余裕のボストンクラブで完勝。スーパノヴァすら封印しても勝てるというところをみせて「格の違い」を満天下に見せつけた。
テーマ曲も戻して勢いにのる健大の2020年は好スタートをきった。反面「試合が始まったとたんに降り出して、終わったとたんに止む」という、嘘みたいな雨男ぶりに、リキ・ライタは存在すらかき消されてしまった。本人には気の毒だが波に乗り損ねてしまったとしかいいようがない。
試合後、再び雨に毒づきながらヒール時代に磨いたマイクでリキ・ライタをいじる余裕ぶり。盤石のインターコンチ王者を脅かす存在は出てくるだろうか?
▼CHACHAバトル3~スペシャルタッグマッチ~(30分1本勝負)
③MIKIHISA & ×グレートカグラ vs 鉄生 & ○陽樹
(10分03秒)
松江だんだんプロレスから久々参戦のグレートカグラ。相変わらず年齢を感じさせない小気味いいファイトと老獪なインサイドワークを魅せてくれた。
だが、いかんせん相手は今1番勢いがあるRe:ZARDの2人である。どういう形にせよ、一旦覚悟を決めてユニット組んだからには、簡単に決裂できない。なぜなら、組んでは喧嘩別れというのを嫌というほど、2人は繰り返してきた前科か山ほどあるからだ。
当然対戦相手は、それがRe:ZARDの弱点だと思っているし、見ている我々だってそう簡単にこの2人が仲直りするとは思っていない。
しかし、侮ってはならないのが、2人のプロレスに対する熱い想いである。ここの部分で初めて2人が証明できたからRe:ZARDが生まれたと私は思っている。別にユニットは仲良しこよしでなくても機能するのは、プロレスの歴史を振り返ればわかること。
はからずも、カグラが2人の同士討ちを誘い、一気に不穏なムードが漂ったが、これは2人の作戦。散々やらかしてきた空中分解を武器にしたことは、Re:ZARDにとってはとても大きなエポックメイキングだったと思う。
結局、インサイドワークでかく乱したカグラを陽樹がパワーで撃破。以前、時限爆弾は抱えているものの、当分Re:ZARDには死角が見当たらない。この勢いを止めるのはどのユニットになっていくだろう?ますます楽しみになってきた。
★2部★
昼飯済ませて、席に戻ると幕間にライブをやっていた。先にも書いたとおり、チャチャタウン の三月イベントカレンダーには、確かにコロナにより、イベントが二つ飛んでいたので、推察するに振り替えられたら、日程がバッティングしたということだろう。
通常リングがなければ良いステージなんだけど、これは少し気の毒だった。しかしそこは百戦錬磨のパフォーマー。しっかりプロレスと繋げて見事な演奏を披露していた。
オープニング
2部の前説は先程激闘を繰り広げたばかりのHIROYAとシドニーがつとめた。歳も近くて、スケールもでかい2人は立っているだけで絵になる。
ところで、一部でおきた七海健大の冗談みたいな雨男ぶりと同様、この2部でもちょっとした奇跡がおきていた。それは、アニソンパートで、じゅんさんが「甲賀忍法帖」を披露していたときのこと。
あれだけ今にも降らんとしていた雲から日の光がさし始めたのだ。古いがむしゃらプロレスファンならご存知、甲賀忍法帖は林祥弘の入場テーマ曲である。その甲賀忍法帖の歌声を聞いた林選手が、天国から見かねて晴れ間を用意してくれたのかもしれない。
単なる気象現象というなら、七海健大の雨男も根拠はない。だが、人の想いは時に科学を乗り越えていくんだな、と思わずにはいられなかった。七海健大と林祥弘は、209年11月デビューの同期でもある。まさかこんな奇跡が一部・二部ともにおきるとは…
▼CHACHAバトル4~ダイナマイト九州が様々な事に対して鑑みる試合~(20分1本勝負)
①×ダイナマイト九州 vs ○X(Xはトゥルエノ・ゲレーロ)
(11分43秒)
仕事の関係で、2部からの参加になったゲレーロは、つい三十分前に対戦カードをきいたという。
しかし、策を弄した割にベルトまでとられた九州はご機嫌ななめ。普段みられないゲロQ対決なんだが、たまに吹かせる先輩風で、すでに臨戦態勢に。
ところがこの日の九州は、なぜか策を弄すれば空回り、正面突破を挑めば返り討ちと全くいいところがない。まあ、九州にしてみたらおいしい場面ばかりだし、プロレス教室のなかった子どもたちも喜んでいたので、本人の意思とは無関係に、結果良かったという事にしておこう。
ゲレーロにしてみたらメイン一試合のはずが、いきなり二試合に増えて、本人もマイクで言っていたように、休憩が一試合しかない以上、あまり九州の見せ場ばかりは作れない。
頃合いをみての飛びつき前方回転エビ固めがビシッと決まり、ゲロQ対決を制して、まず一勝。手足の長さを有効に活かしたこの技は、なにげにゲレーロがヘビー級殺しで時折見せる技である。
結局、戦績的には散々だった九州だが、ダイナマイト級ベルトの奪還は密かに狙っている可能性大。まあ、普段から水しか飲んでないシドニーが、レイパロマみたいな隙を作らないことを祈りたい。
▼CHACHAバトル5~多国籍タッグマッチ(30分1本勝負)
②×リキ・ライタ & シドニー・昌太・スティーブンス vs MIKIHISA & ○グレートカグラ
(7分20秒)
よく考えたら、昨年リキ・ライタとシドニーは名前の「汰」をかけて対戦し、リキ・ライタが敗北して、漢字ごと奪われてしまった。あの時もリキ・ライタには、追い風が吹いていたのだが、ワンランク上に上がれなかったのは、本人の責任でしかない。
とはいえ、チャンスはそうそう巡ってくるものではない。今のリキ・ライタとシドニーを比較したら、カグラとMIKIHISAがどちらをターゲットにするかは一目瞭然。少なくともカグラのコンディションをみていたら、カグラより若いはずのリキ・ライタが年齢を言い訳にはできない。
一方MIKIHISAとカグラはともに元・gWo繋がりでもあるし、タッグという意味でもオーソリティなんで、キャリアの浅いシドニーとリキ・ライタには不利な試合だったと思う。
まあ、鉄生と陽樹が仲間割れすると見せかけて、カグラを騙したように、リキもできないと見せかけて、実はできるとこを見せられたら、十分に相手の隙はつけるんだけど、それをやるにはまだ修行が必要なようだ。
試合は第一部同様、リキ・ライタがつかまり、カグラのドラゴンスリーパーからのクロスフェイスロックで勝利。カグラにはプロレスは若さだけじゃなく、いろんな武器を使って勝負できるんだ、ということを見せてもらえた。
▼CHACHAバトル6メインイベント~スペシャル6人タッグマッチ(60分1本勝負)
③HIROYA & トゥルエノ・ゲレーロ & ○七海健大 vs ×YASU & 鉄生 & 陽樹
(17分20秒)
仕事の都合上なかなか本戦に出られないYASUが今年初試合。陽樹&鉄生と組んだとはいえ、それが即Re:ZARD入りということではないようだ。
だがYASUとは、もともと組んだり戦ったりしている鉄生と陽樹にしても、試合はやりやすかったのだろう。第一部で先制されたRe:ZARD側は、今度はドリームチューバーの先手を打って、奇襲攻撃。
場外ではLCR分裂のきっかけになった鉄生と健大が激しくやりあう。陽樹はHIROYAに、YASUはゲレーロに、と示し合わせたように、ターゲットを選定。
リングに戻ると、中盤からこの日二試合目となるゲレーロがヘビー級2人に集中砲火を浴びてローンバトルに。Re:ZARDの狙い目も実に的確。
だが、一度は袂を分かったとはいえ、もともと組んだり戦ったりしていたのは、ドリームチューバーも同じこと。むしろ今までになかった荒っぽさを健大が持ち込んだ事で、結果的にRe:ZARDがドリームチューバーの新しい一面を引き出してしまった。
最後はローンバトルになったYASUを回復させる間もなく、ゲレーロとHIROYAのタッグ王者コンビが襲撃。最後は健大のスーパーノヴァが炸裂してドリームチューバーが一矢報いる形になった。
後記
ラストのラタタダンスにはシドニーも混じってハッピーエンド。次にステージ上のライブが控えていたので、余韻が楽しめなかったのは残念だったが、結果的には素晴らしいイベントになった。イベント開催には勇気がいったとは思うが、チャチャタウン とがむしゃらプロレスの全ての皆さんに感謝したい。ありがとうございました!楽しかったです。