がむしゃらプロレスLOC tyhoon 観戦記(11・2・20:於:北九州パレス)
イントロダクション
1時過ぎに無事北九パレスに到着。ここは公共施設で他にも体育施設などがあって日曜の利用者は特に多い。で今回の興業、実は事前発表がほとんど何もないというきわめて異例の大会となった。なにせヒールユニットLOCが牛耳ってしまい、全くのシークレット状態。
カードすらろくに発表されず、1月の時点でチケットだけ刷り上がっていて内容は徹底的に箝口令がしかれていたので、全然なにするのかわからないという、ある意味面白い大会になった。
すでに会場内では列ができていた。今回もメディコ5号さんと2人で見ることになったがなにせこの後九プロもある。地方では珍しい興業のダブルヘッダーである。それだけにいつも通りの進行だと時間内に収まらないわけで、よく見るとコミッショナーも秘書のダイアナさんもジャージ姿!(これは後々理由が明かされる)
会場はいつもの作りなんだがBGMがハードロックオンリーで、なんかいつもと雰囲気が違う。そうそうこの日はいつものDVD班とは別にNHKの取材カメラも入っていて超豪華!まるでどっかのTVマッチのような様相を呈していた。
オープニング
そしてオープニングはなんとがむしゃら運営班による奇妙なダンス!しかもLOCメンバーに無理やり連れだされ、音楽にのってノリノリで踊りを披露!ジャージ姿はこのためだったのだ!しかし無理やりやらされていた割にはみんな結構うまかった^^
で、さすがに中で一番目立ってたコミッショナーが「やってられるか」とばかりにダンスを打ち切ってしまったが、ほかのメンツは「LOC怖いし」と消極的。そこに「威風堂々」が流れ、スモークの中、今回の大会ポスターでど真ん中にいたLOCのドン・タッカーが入場。
ただいつもだと「なんじゃそのブーイング?」となるところを、自分のユニット主催なもので「ようこそいらっしゃいました」とまずは丁寧なあいさつ^^観客もわかってきてるので今回は大歓声。そのあとLOCだけの入場式で、いつものメンバーに加え、髑髏マスクの2名が続いて入ってきた。
ドンによるメンバー紹介ののち、早くも最初のサプライズが。「こいつらしらねんだけど?」とドンがリーダー・マスクドPTのに聞くと「新メンバー」だという。一人は某マスクマンにとても良く似た選手だったが、もう一人はなんとがむスターズにいたダークネス・ニッキー!!
まあがむスターズもかなり唐突にできたユニットだったし、しょっちゅうメンバー交代もしてたんで、別にこれは大して驚かなかったが続いて矛先をドンに向けたPTはいきなり「11月23日、俺たち全員がベルトとった時あんたなにしてた?」と詰問。実はゲストの大谷としゃべっててドンが出番を忘れていたのだが、それが気に入らないPTは「ベルトも総取りしたしもうあんたには用はない!」とボスを追放宣言!勝手に帰ってしまった!
なんと孤立無援のドンに救いの手を差し伸べたのはかつて同じLOCにいたがむスターズ・リーダーのスミス!「一緒にやりましょうよ」という連合軍の誘いに最初は固辞するドン。しかし会場はベビーターンを歓迎していた。それで心が動いたのかドン、ついに正規軍復帰!!まさかの大物加入で湧きかえる連合軍。連合軍一人ひとりにゲキを飛ばすドン。でTA-KIにだけ「結婚おめでとう!」で会場も大盛り上がり。
しかし興業自体は依然LOCが実権握ったまま。事態は何も変わってなかった。悪夢の興業はここからスタートしたのだ!!
第一試合
尾原毅・林祥弘 対 ジャンボ原・野本一輝
本当の流れでは昨年8月にタッグ挑戦者決定リーグ戦で優勝した尾原がこの日、LOCベルト狙いに出られるはずだった・・・のだが、まあ当然のように嫌がらせカード^^なんで連合軍同士の試合に。しかも普段タッグ組んでいる林・野本組が戦うというのはある意味お客目線ですればお得なカード。
同期生ライバルといいつつ直接対決は公式戦ではなかったと思うので、この二人の絡みは面白そうだなあと思っていた。
まあやっぱりというか、パートナー同士がバチバチ意識しあういい緊張感の中で試合が進んだのは凄い事。デビュー1年でもう中核的存在の林と野本は伸び盛りらしい攻防でお客をわかせる。ただ、ジャンボはいかんせん尾原の鋭い蹴りと関節技に対してはまだ未体験ゾーンという感じで完全に足殺しの標的になってしまい、たっては蹴られ寝ては関節技で悲鳴をあげさせられるという苦しい立ち位置になってしまった。
おかげでスミスに爪痕を残したジャンピングニーもあたりが不十分。グラウンドではもう少し暴れるかどうにかしてディフェンスしないとこれから上で闘っていくのは厳しいと思う。
野本・林に関して言えば、お客さんが頭にはいったという事を理解こそできているがまだ。そう思いながら、そんなに余裕はというか。そういう事でいうなら尾原の安定感だけがちょっと突出した試合だったかなと今振り返れば思える。試合はジャンボが執拗な足殺しの前についにギブアップ。
第二試合 1対6ハンディキャップマッチ
スミス 対 TA―KI・ダイナマイト九州・アリマティ・黒棒ライダー・オーズ・X1・X2
露骨な嫌がらせカード第2弾は前王者スミスがつかれん程度一本勝負の中に放り込まれた。しかもご丁寧に相方のTA-KIが敵になるというこちらも同士打ちカード。
まあプレミア度は高いし、もともと柔軟性のある二人ではあるし、リング上では前説以外では見せない「軟」の部分も見られるという事で一見嫌がらせ風で実はお客さん目線では面白いというカード。だいたい選手が嫌がる組合わせはお客が一番喜ぶというケースはプロレスでは決して少なくはない。
今回黒棒はよりによって今放送中のオーズをまんまぱくって(テーマ曲までオーズ!)出てきたから子供たち大喜び。でもマスクの出来自体はよすぎて著作権的にかなり危ない(もちろん無許可)黒棒オーズに味方のTA-KIが「怒られるぞ!」と突っ込む。
そしてさらに人数が足りない分、ダイナマイト九州がXを呼び込むとなんと「怒りの獣神」が流れた!ライガー仙台で新日やってるのにまさか?でもでてきたのはこの日試合のないグレートフランケン・・・と思ったらそのあとに来たのはどう見ても本物より横幅の大きな全身タイツのライガー登場!!なんと彼の名は獣神サンダー・がむイガー!
なんかとてもよくにてる人を知ってるんだがそれはスミスも気が付いたらしく、さかんに正体をばらそうとするがかたくなに固辞するがむイガー。後でがむイガーと話したら「呼吸が出来なくて死にそうでした。ライガーさんの凄さがわかりました」といってたけど^^
試合はさらに一般のお客を6人目としていったんリングにあげて、人数だけ揃えてセコンド席で参加という形でスタート。
先発はTA-KIとスミス。いきなり本気モードでやらないといけない組み合わせだが、やはりこちらも気心がわかってるゆえに全力ファイト。見応えある攻防。しかしあまりに個性が滅茶苦茶な6人が相手では精神的にスミスがやや疲れ気味^^
ところがどっちかという自分たちと領域が被りそうながむスターズを快く思っていなかった?疲れん程度メンバーETCはTA-KIのタッチを明らかにわざと受け付けない。
しばらくはあきらめて孤軍奮闘するTA-KIもどさくさにまぎれてがむの二人をボコるETCに三行半をつき付け、急遽がむスターズ2人(スミス・TA-KI組)対ETCという顔合わせに!
これは一人でコーナーに戻って「エアータッチ」していたスミスがほっとした感じ。でも出番が少なくなったわけでもやりにくさがなくなったわけでもなく^^がむイガーの特大掌底^^や何が出てくるかわからないETCのやりたい放題な試合になってしまった。
最後こそなんとかとってがむスターズがかろうじて面目は保ったがこれは普通に試合するより疲れたと思うぞ!疲れん程度一本勝負なのに^^
第三試合
YASU 対 SUPER GAMROCK(ガムロック)
ピンチの時には必ず現れるスーパーレスラーガムロック!当然中身は現役のプロであるあの人。しかしだいたい社会人団体という事でプロに敬意を払って一線を引くのがふつうのがむしゃらなんだが、やはり普通の興業ではないので、デビュー2戦目のYASUには厳しい相手になってしまった。しかも合同興業なんでこの試合が自動的にセミファイナル!!
前回かなり厳しめの事を書いたが、やはり相手が相手だけに、YASUにとっては自分の課題をクリアするとか、そういう次元では試合はできない。とにかく自分の習ったあるもの全部を出し切らないととてもじゃないが秒殺されてもおかしくない。でもガムロック自身がおそらく秒殺するタイプの選手ではないのでついていくだけでもやっとといったところではないかというのが見ているこっちの私見。
ただ高みにいる選手と戦ってつぶされるというのは新人には大切な試練でもある。そういう意味では全力でぶつかっていったYASUは立派だったが一切格下扱いせずあろうことか場外でマットなしでYASUを叩き落としたガムロックのプロ根性には敬服した。まるで去年の大谷が乗り移ったかのようにYASUを完全に叩き潰していった。
さすがに一発一発が違いすぎてどうにもなるまいと思っていたがやはりそこは驚異の新人。期待されるだけの事はあったのだ!
しかし壁というにはプロアマ問わずガムロックという相手はとてつもなく高い壁だった。正直知名度除けばどこに出しても恥ずかしくない実力者なんだから、当然といえば当然。正直秒殺はないにしてもどこまで持つのかこちらも不安ではあったが、予想以上にYASUは粘ったと思う。だからガムロックも容赦なく叩き潰したんだと思う。最後はほぼしゃちほこに近い逆エビでついにヤス陥落。
気が付けば10分オーバー。プロ相手によく戦ったと思う。しかし息も上がってないガムロックはさらにYASUに気合の張り手。これでプロの格をみせつけたというよりプロレスの先輩としてのエールという感じで解釈したが、あながち間違っていないと思う。それだけ期待されてるってことは幸せじゃないか!!
第四試合
ジェロニモ&ブルート健介 対 DEIZEL(ディーゼル)&マスクドPT
なんとメインはLOC同士の直接対決。しかもレフェリーはLOC専属のビー那須。これは今はやりの無気力相撲でもやらかす気か?しかしあにはからんや、意外にも正攻法で
4人は闘い始めた。まあ11月に「このメンバーでベルトまわしあう」と宣言した以上、別に仲間だからといって手加減はしないのだ。
これは意外な展開。場外でも全く手加減なし。要は連合軍の存在価値自体を消し去って、自分たちこそメインを務めるにふさわしいのだというアピールをしたかったのかもしれない。なかなか見られないブル健対PTや対ディーゼルといった攻防は新鮮ではあったしこのまま続けてもらっても悪くないかなあ・・・と思い始めたらやはり、連合軍が黙ってはなかった!
「お前らの試合はつまらん!」と口をはさんだのは正規軍リーダー尾原。まあいうほどつまんなくはなかったのだが^^むしろ無気力よりたちの悪い嫌がらせともとれる全力ファイトにいてもたってもいられなかった感がアリアリ。
しかしPTもそれは連合軍つぶしのいい言質を相手から引き出せたので好都合と思ったのだろう。勢力拡大したLOC全員対連合軍代表6人のキャプテンフォールマッチを逆提案。オーバー・ザ・トップロープありでキャプテンが負けもしくは、失格になったら試合終了という事で急遽、連合はスミス・TA-KI・尾原・林・野本にセミでのダメージも癒えないYASUが志願参戦。キャプテンは連合軍が尾原、LOCがジェロニモでここから6対6の総力戦が始まった!
第5試合 [キャプテンフォールマッチ・6対6]
がむスターズ・正規軍連合(SMITH&TA-KI&尾原&林&野本&YASU) 対 LOC(PT&ブルート健介&DEIZEL&ジェロニモ&NIKKY&KAZUKI)
という事で、新しい戦いがスタート。がそこはヒールとてがむしゃらの一員。悪くても手は抜かないのだ。むしろ真っ向勝負を見せつけて連合軍を焦らせたという意味ではここまでLOCの勝ちといってもおかしくない。
しかしその全力ファイトのつけは思わぬ形で襲いかかってしまった。まず新加入の二人はそこそこ戦力になったものの中盤にさしかかったあたりでディーゼルが膝を負傷!本人いわく「閃光魔術でやってしまった」らしいのだが自らのシャイニングウィザードで墓穴を掘るとは本人も予想外だったんだろう。
無表情なディーゼルが苦悶の表情で膝をアイシングしていたが、これは思わぬ大誤算だっただろう。で、ディーゼルの動きがとまったあたりから脱落者が出始める。いったんはパワーでTA-KIの記憶を飛ばしたほどの攻撃を見せたブルート健介、そしてあろうことか現王者のマスクドPTが脱落。
確かにBEE那須の阿部四郎ばりの高速カウントや超スローカウントで救われていた部分はあったもののそのBEE那須がまさかの戦線離脱で、バッチコイレフェリーにチェンジせざるを得なかったのも大誤算だったろう。
悪い事をするという意味ではもう少しあくどく極めてもよかったかなあと思うが、まあ真っ向勝負という形で一気に制圧にきたのがこんな形で裏目にでてしまうとはやっぱプロレスって予定調和では収まりきれないんだよなあ。
で、形勢はいつの間にか数でも押してる連合軍の行け行けムードに。時間も20分を超えてしまった。これで1日2試合というハンディはお互いになくなってしまった。
こうなると旗色の悪いLOCはジェロニモが一人奮起。TA-KIの背中に渾身のボックス攻撃!破片がこっちに飛んできてTA-KIの背中が破片で真っ黒になるほど思い切りやってたもんだらこれでなんとかメンツだけは保てたがそのジェロニモですらさすがにヘビー二人を欠いた、しかも新加入二人をひっっぱりながら、試合するのは酷な感じになってきた。
また連合軍も野本や林の驚異的粘りで互角以上に渡り合って百戦錬磨のジェロニモを相手に試合を作っていったのは連合軍的には明るい材料だったろう。イマイチ存在感がなかっただけにアピールポイントで自己主張できたのは収穫といえる。でないと、LOCやほかのユニットばっかり勢力拡大して肝心の正規軍がぼやけてしまったんじゃなんにもならないし、対立概念自体が薄まってしまう。LOCにしてもがむしゃら制圧が目的であるにせよ敵がいなければ自分たちで本当に回していき続けるとやっぱ本音では苦しいはずなのだ。
だからこの興業、実は裏テーマに正規軍の存在感の復活をアピールするという狙いもあったのかもしれない。結果的に敵に本当に塩を送ってしまったLOCはまたスミスから「いいひと」よばわりされかねないが^^それでも敵がいるから燃えられるわけで、まあ口惜しみでも「お前らがだらしないから俺たちが火つけてやったんだ!有難く思え!」くらいはいっていいと思う。
試合はあわや30分目前。長オシオシでついにジェロニモが力尽き、負けを喫したがタイトル移動は一つもないわけでこれは連合軍にしてみれば「勝ってなお得るものなし」。団結し数ではLOCを上回ったものの依然勢力分布では分が悪い。
それは締めをマイクの苦手な林が功労者という事で任されたときにもいっていたが、この戦い依然終わりではない。多少の雪辱を果たしたに過ぎない。
最後こそハッピーエンドになったがまだ課題は多い。ただ若さという事では正規軍には未知数の希望がある。彼らにはこれを糧に立ちはだかる壁を勢いで打ち破ってほしい。
後記
で試合終了後は連合が率先でお見送り。スミスさんに第二試合のエアータッチの話をしたら「いやあの相手にどうやって間を埋めようか必死でした」と笑顔で、でもかなり消耗した感じで答えてくれた^^
ライダー大好きTA-KIさんも子供さん相手に「本当はオーズとは戦いたくなかったんだよ」といっていたが、半分本音かもしれない。まあ偽オーズでもオーズはオーズだし^^
ベビーもヒールも2試合という激闘でくたくたなのにこの後の九州プロレスも観戦、そのあと撤収がある。みんな大変なんだよなあ。でも頑張ってまたいい試合を見せてほしい。プロ抜き(まあ一人いたけど)でここまでできるんだからやっぱ大したものだと思う。
まあ気づきとしては、最初入場した時にBGMだけでなくちょっとおどろおどろしいライティングとかにしていた方がヒール興業っぽかったかな?もとにしたnWOタイフーンだってリングを黒くしたり結構違う雰囲気作りをしてたし。もともとがむしゃらはリングが黒だし、LOCのイメージカラーである紫にするには予算的にも時間的にも厳しかったかもしれないがそこはもうひとつなんかあったらなおよかったかも。
安くてチープでもなんか方法はあったかなあと。今具体的になにをすれば?とは思いつかないがまあ今後もしヒール興業が実現した折にはまた違った演出を期待したい。
あとは素人をリングに挙げる際、下足禁にしてほしいというのはかいたけど、女性客をああしてリングインさせるときは階段上る前に靴は脱がせてあげてほしかった。
高いヒールの靴で金属製の階段を手すりなしで登らせたのは見ていて「すべらない?大丈夫?こけちゃうんじゃないかあ?」って思ったし。あとでちゃんと脱がせてはいたんで気が付いたとは思うけど、万が一ということも考えるとやっぱ気を付けるに越したことはないから。
やっぱ試合直後ではまだスイッチが抜け切れていないのか、ヒール軍団はちょっと近寄りがたかったが、この後の九州プロレスの準備のためいったん外に出て順番を待つことになった。