『GAMSHARA NEXT REVOLUTION』~新旧世代闘争勃発~ 観戦記(2014年2月23日(日) 於:北九州パレス)
イントロダクション
2月の観戦はこれだけ。
授業スケジュールと観戦日程が合わなくて全日のジュニアトーナメントの決勝とドラゲーは行けず。
でもそのおかげでがむしゃらの方には行けた。この奇跡だけは感謝せずにはいられない。
ハウスイベント5年連続皆勤は継続中だし、このままいけるところまで行きたいなと思う。
さて世代闘争というのはプロ団体でもよくやっている手で、ユニット同士の抗争が息詰まると利用されるギミックではある。
であるが、元祖である新日本(ニューリーダー対ナウリーダー)にしても、他団体のそれにしても一時的なもので長続きしたためしはない。
そもそも時代を変えたいという思いでは一致しているものの、その利害関係だけでまとまった結束というものはもろく崩れやすい。
なんでこの抗争も次のステージに移る前の過渡期の光景と思っていいのではないかと思う。
しかし、時代が変わる前にこの日の北九州パレスは大変なことになっていた。だいたい駐車場はそんなに広い方ではないので地元の方などは交通機関を使われることが多いのだが(まあ会場でアルコール入れる方は特に運転はご法度だし)なんせ地味に片道一時間かけて会場入りする私のような人間にとっては車は生命線である。
ところが会場につくなり入り口は大渋滞・・・・。30分待ってやっと中に入ることができた。余裕もって3時にきておいてよかった。
実はこの日パレスは大会終わってなお、結構な数の車がとまっていた。
色んなイベントや習い事があるのはしっていたけど、ここまで手狭な事態が頻発するようだと、北九州市には本当なんとかしてほしいよなあと心から思った。まあそれをいうと海峡メッセだってあまり偉そうなこといえる施設ではないんだけど・・・・
で、さらに私も気温変化で急性胃腸炎になって倒れた今月、がむしゃら選手も例外ではなかったようで、実際に試合した人間も含め、結構な人間が体調不良になっていた。
その上ダブルメインに出場予定のYASUもインフルエンザでダウン。この試合当日も昼は14度近くあって、打ち上げ終了時には4度近くまで気温が下がっていたので、これはやはり個人の体調管理が及ぶ範囲の問題ではないなと痛感した。
やっぱ体冷やさないことは第一条件だなと。加えてこの時期の寒暖差は決してなめてはいけない。ましてや来月の勝山公園大会は紫川沿いにあり、3月末でもへたしたら底冷えがすることだってある。皆さんのご自愛をくれぐれもお願いしたいところである。
オープニング
前説はBEE那須と急成長めざましいレッドシューズ古賀両レフェリーにダイナマイト九州。微妙な空気になったけど^^まあこれはいつも通り。
アニスピガールズのライブはロウきゅーぶ!の一期OP「SHOOT」。これってfripsideの八木沼さんの曲なんでついつい「とある化学の超電磁砲」系の曲に聞こえてしまうんだけど、まあ名曲だからいいか。間奏のラップはどうするのかと思ってたらしっかり飛ばしていた^^
今回はここからドン・タッカーがドバイから飛行機で二時間かけて?登場。急いで搭乗したせいかジャケットを忘れていた^^;
で、新世代軍ユニットが登場して決意表明すると、ベテラン軍が西城秀樹の「ヤングマン」に乗って登場。ヒール組はしぶっていたけど、DEAZELとGERONIMOはなぜか途中からノリノリで踊りだした。
このノリが嫌いではないKAGが思わず混ざりそうになってあわててメンバーから止められる珍場面も勃発。鉄生と陽樹の仲は相変わらずだし、どうなることやら・・・・
第一試合▼“ニコラス今中ジョリー”スランプ脱出チャレンジマッチ(20分1本勝負)
●ニコラス今中ジョリーvs○久保希望(14分00秒)
いきなりだが、この日のベストバウトはこの試合。
実はニコラス今中ジョリーは愛されている。もちろん厳しい目で周囲が見るのは彼がダメだからではなく、できるはずの人が能力を発揮しきれてないもどかしさを感じるが故、そしてそのことに当の本人がなかなか気づけない故でもある。
周囲と本人の認識のずれ。それがニコラスのスランプの正体でもある。
本人はきれいな技を多く出して見せることがお客さんのためだと盲信している部分があるように思えるんだが、実は当のお客はそんなことは求めてはない。
ずれの最大のポイントはここになると思う。いくらきれいな技がたくさん決まってもそこに技を出す意味や、気持ちが入ってないと、感動はできない。
「ああ、すごかったね」で終わり。それが今までのニコラスの試合だった。
しかし、今回のニコラスは何か期するものがあったんだろう。顔つきが今までと違う。
そして、タイツも昔着用していた黒のものに戻していた。実はもうこれだけでお客には「今日のニコラスはやってくれるのではないか?」という期待感を持たせられる。
事実私の中の期待値もぐーんと高まった。そしてそれはたぶん対戦した久保の中にも思うところがあったんだと思う。ニコラスの引き出しのすべてをあけていく方向で試合は進んでいった。ニコラスの蹴り自体は誰彼相手でも思いっきり蹴り飛ばすので対戦相手からも嫌がられる。
しかし相手はプロ。しかも久保自ら「蹴ってこい!」と背中を突き出す。この燃えるシチュエーションにのらなければレスラーではない!
はたして試合は大白熱。もちろん我慢大会ではないのでラリーだけではなく、久保の方にはニコラスのすべての引き出しを開けさせた上で勝つという強い信念がみられたし、二コラスもいつもの邪心が感じられない、無心さがあった。
決してプロレスに詳しい方ではないニコラスがまさかの奥の手、キャトルミューティレーションを出してきたときはさすがに驚いた。
ポイズン澤田ジュリーが引退したのち、この技を使っているのはアイスリボンのくるみだけ(だと思う)という事情など無論知るべくもないだろう。
しかしここで確実に今まで開かなかったニコラスの新たな引き出しがあいた!これは特筆すべきことである。そしてそれは確実に久保を苦しめていた。
まさにニコラス今中ジョリーが殻を破った瞬間だったと思う。
そして誰が見ても電池切れ寸前だったにも関わらず、二コラスは最後まで勝負を捨てずに食らいついていった。
それが大ニコラスコールを生んだ。そこには、かつて大谷に死ぬ気で食らいついて大感動を生んだ久保がその魂をニコラスに伝授しようとしてるように思えて、涙が出そうになった。
ここがニコラスが愛されているといえる所以でもある。
最後こそ力尽きたけど、5年間私がみてきて間違いなくこの試合は、ニコラスのベストバウトになったと思う。
であるがゆえに最後に苦言を一つ。久保から受け継いだ魂のメッセージはとても尊いもの。
それだからこそ昨年のように2月の対林戦というベストバウトから、だだすべっていくようなことをしたらこの試合の感動も台ナシになる。
ニコラス今中ジョリーが本当に復活するためには今後の失速は許されない。そのことを肝に銘じて今後も闘って行って欲しいし、気持ちの伝わるレスリングを我々に届けていって欲しい。
第二試合▼新旧世代闘争タッグマッチ(30分1本勝負)
TA-KI&●ジェロニモ&DEAZELvs○陽樹&ジャンボ原&竹ちゃんマン(9分47秒)
YASU欠場を受けて竹ちゃんマンが代理で入った形でカード変更があったこの試合、新世代対現世代(旧という言葉はどうも好きではないので勝手にいいかえたけど^^)に現タッグ王者が分かれて立つ。
最大のウィークポイントはここだった。
だがTA-KIはこのカードに納得がいかず、竹ちゃんマンを試合前に潰したと宣言。
かくしてタッグマッチになってスタートしたのだが、当然現世代は全員がクレージークレバーなんで、TA-KIの介入はもう誰しもが予想した通り。
しかも陽樹と原はタッグベルトで抗争した因縁のある間柄。タッグプレーはしてるものの、腹に一物もっているがゆえに連携もうまくいかない。
しかし誰よりも天下取りに執心する陽樹の気合は並はずれたものになっていた。3対2でただでさえ窮地にたっているのに、そのピンチをことごとく脱していく。
やはりこの中では上背もダントツで、いわばスーパーヘビーになる陽樹は、間違いなく次世代の逸材。そのことは疑いようがなかった。こうなってくると当初は疑心暗鬼ぎみだった原にも信頼感が芽生えてくる。
後半の陽樹の怒涛の攻撃はやはりジャンボのサポートによる効果が大だったと思う。
現世代のキャリアとうまさを勢いで跳ね返した新世代が卵パワーで気合の入ったGERONIMOを圧倒。
むしろコンディションはいい方だったにも関わらず負けてしまったというのは本人的にも痛恨だっただろう。
かくして第一の扉は破られた。果たして新時代の風景はあらわれるのか?
試合後、現世代についたTA-KIは「お前の思う通りになると思うなよ」と陽樹に絶縁を宣言。
かくしてタッグ王者は空中分解。果たしてタッグベルトの行方は・・・・????
第三試合▼がむプロおまけ試合プロ混じりの8人タッグマッチ(30分1本勝負)
ガムコツくん&ブラック☆スティック&●門司港戦隊レトロンガー&阿蘇山vsダイナマイト九州&蝶野GAM洋&パンチくん&○藤田ミノル(14分00秒)
といったところで箸休めなこの試合。まるで一試合を闘い抜いたかのように朦朧としたレトロンガーと表情は読めないけどなんかテンパって忘れ物が多いパンチくんの二人が妙におかしかった。なぜか赤い三角コーンをかぶって阿蘇山の真似をしてるパンチくんに本物が後からはいってきて軽くびびらされる一幕があったかと思ったらその阿蘇山が蝶野に対戦要求したり、序盤から試合はカオス。
しかしレトロンガーや普段より疲れてる方がかえってとほほな感じが増して、今までにない味を出していたし、忘れ物が多かったパンチくんもそのミスをチャンスに変えるアドリブ力で試合を盛り上げた。レトロンガーの靴が地味に脱げるなど、笑いの神様も好意的だったし^^もともとプロレスにもヒーローにもそんなに造詣が深くないというマイナスポイントを全部プラスに転じられる能力があるんだから、やっぱできる人なんだよね。中身の人は。
蝶野も前回の汚名を返上すべく三人がかりでSTFを決めたり、黒のカステラとしての存在感は増していたと思う。本人的にはガムロの方がまだいいみたいだけど、この金はかけてるのにちっともゴージャスな感じがしないクオリティーはぜひまたみてみたい^^というか黒のカステラがどう進化していくのかも見守りたいところである^^
さてこの試合のあと、帰りかけていた藤田に鉄生とPTが現れ、鉄生が再戦要求をつきつける。何度でもやりたいという鉄生を軽くスル―した藤田に今度はボスのPTが鉄生をさしおいてしっかり対戦アピール。これを受け止めた藤田は快諾。かくして尊敬すべき藤田ミノルとの対戦権はマスクドPTがかっさらった。これが後の試合に影響を及ぼそうとは・・・・
ここで休憩。かねてより発案のあった震災復興プロレスを宮城県までがむしゃらプロレスが実際にいって試合をすることが決定との報が。日時も10月19日日曜と発表。これはすごい!東日本にがむしゃらプロレスが初進出!3年前から積極的に支援を続けてきたがむしゃらの一つの集大成になりそうな気がする。
第四試合▼ダブルメインイベントpart1 新旧世代闘争タッグマッチ(60分1本勝負)
KAG大塚&○鉄生vs●NIKKY&マスクド・PT(13分53秒)
で、公式戦では初となるPT対鉄生。昨年の道場開きで試験的に組まれたカードがこうしてメインの一角を担うまでになったことは確かにすばらしい。あれから一年でPTの牙城に迫るまでになった鉄生もまた新時代を背負ってたつ逸材には違いない。
しかし、現世代の代表格としてPTはすでに鉄生に心理戦を仕掛けていた。そう、藤田戦をかっさらったのは、「お前らに世代交代なんかさせないぞ」という意思表示でもあったのだ。だから激しい打撃戦の応酬に付き合いながら、心理的にたたみこんでいくPTはかつての同僚でもあったNIKKYを本当に手足代わりに(おかげでNIKKYのダメージは倍化していたが・・・)新世代を翻弄。
ところがここに一枚噛んできたのがKAGだった。同じユニットのNIKKYには動きを読まれてるきらいがあったものの、対戦経験がそんなにないPTに対しては体の小ささを逆に武器にして果敢にPTを攻め込んでいく。柔よく剛を制すあたりに今年のKAGはさらに化けそうな予感を感じさせた。
だが、やっぱ新世代は1人1人が闘っている感じがした。そこらへんが急造チーム同士とはいえ、意志疎通ができてないもろさみたいなものを感じてしまったのも事実。まあでも変に馴れ合うよりはずっと面白い展開ではあるんだけど。
第五試合▼ダブルメインイベントpart2 新旧世代闘争タッグマッチ(60分1本勝負)
●TOSSHI&七海健大vsL.O.C.キッド&○SMITH(20分09秒)
さてメインはチャンピオン同士のタッグ。10年間で一度組んだ位という超レアタッグである。しかもヒールとベビーの両方を経験したチャンピオンチームの牙城はそう簡単には崩せないかなと思った。確かに気合の入りっぷりでは新世代に分があったけど、やっぱ勝てそうな気がしないのだ。と思っていたら意外な組み合わせがまさかの展開を呼ぶことに!
だいたいヘビー対ジュニアという図式だとヘビーがジュニアの技を受け切って余力で叩き潰すという展開が定石なのだが、TOSSHIはそれを許さなかった。いや、本当は健大の方にスミスへの意地をもっとみせて欲しかったのだが、そもそもタッグ屋としての才能がいい方にも悪い方にも出てしまう健大の資質をTOSSHIはうまく利用しつつ、キッドをまず分断、そして孤立したスミスを2対2で攻めあげると健大のサポートももらいつつ徹底した足殺しでチャンピオンの顔を苦悶させていく。あわやギブアップ負けか?と思わせるほど執拗で徹底していたTOSSHIの足殺しはスミスの得意技のエクスプロイダーの威力も半減させてしまった。これは大金星といっていいだろう。
明るく楽しいプロレスがしたくてベビーターンしたスミスにとってヒール殺法はいわば封印した過去。おっとり刀で救援に来たキッドのラダーを使って攻撃することはチャンピオンとしては屈辱だったかもしれない。しかしなりふりかまわないほどに追い込まれていたスミスはラダーにも手を出して、ジュニアのTOSSHIを叩き潰しにきた。ここまでチャンピオンを本気にさせたという意味ではTOSSHIもしてやったりだっただろう。最後こそコーナーからのダイビングエルボードロップで3カウントをきいてしまったが、今日みた限り新世代で無差別シングルのベルトに1番近いのはTOSSHIなんじゃないかという気がしてきた。最後こそ名指しはしなかったが、薄氷の勝利だったことは、いつも余裕で興業をしめるスミスが終始疲れた表情を隠さなかったことでも証明できよう。
いや~、でもそれでも本気出したチャンピオンというのはなかなか手ごわい。追い込んだだけではベルトには手が届かないんだなというのが現実ではあった。戦績でいえば勢いをみせた新世代もメインの結果では正直失速しなかねない感じもした。すべてはこれからだなということかな?次は3月のイベントでスミスは仕事の都合で一日しかでないし、ジュニアのトーナメントには「でるかどうかわからない」と言い放ったし、ここでチャンピオンを逃がしちゃうと後々まで禍根を残しそう。藤田ミノルをめぐる争いも加えて混沌さを増した2014年のがむしゃらプロレス。どうなっていくうんでしょうかねえ?
ちなみに打ち上げ後の帰宅時にも工事渋滞にはまって結構帰りは遅くなってしまった。この日は渋滞に縁がある一日だったんだろうなあ。でも試合の心地よい余韻にひたっていられたのでイライラすることもなく無事帰りつけた。やっぱプロレスは面白い!