[プロレス用語辞典](ア行)X(エックス)
やむを得ずエックス表記
X(エックス)は、プロレス興行において出場選手が未定、または当日発表の際に用いられる表記方法になります。
実際の所、様々なトラブルや水面下の交渉がうまくいかなった場合、やむを得ずエックス表記にする場合が多いようです。
X=出落ち
まあ、中にはかつての高野拳磁選手のように自ら「エックスで〜す!」と名乗って現れるケースもありますが、これは例外でしょう。
最近の定番では、X=出落ち、もしくは予想通りというケースが多々見られ、エックスの価値は必ずしも高いわけではありません。
サラッと裏切る
しかし、そうしたスレた見方をサラッと裏切るのもプロレスを提供する側の腕の腕の見せ所になります。
こうした好例のひとつで私が目撃したのが2010年に博多スターレーンで開催されたDDTのレスリングとんこつ2010です。
当日オファーのX
この日は、DDT正規軍(高木三四郎&中澤マイケル)対ヤゴウ公国の対抗戦が組まれていたのですが、当日飛行機の遅延で、ヤゴウ公国総帥のヤゴウ・アズナブル選手の到着が遅れていました。
さすがに当日オファーしてきてもらえる選手はいない…と思われたのですが、これに応えて登場したのが、九州の有名人・プロレスリング華☆激のアステカ選手でした。
エンタメプロレスに疑問
なぜ、アステカ選手の登場が意外だったのか?
それはアステカ選手が普段からDDTのようなエンタメ色の強いプロレスに疑問を持っており、「台本に頼らない、格闘競技・スポーツとしてのプロレスをしたい」と発言していたためです。
余計な一言
本人曰く「困った時はお互い様」らしいのですが、試合後よせばいいのにマイクで「俺はDDTのプロレスが嫌いだ!!」ととんでもないことを言い出して、会場を凍り付かせたのは今でもはっきり覚えています。
アステカ選手は、一言余計なことさえ言わなければいい人なんですが(笑)エックスとしての登場以上にこのマイクが記憶に残ってしまいました。
大人の対応
ちなみに、DDTと華☆激はその後、対抗戦やったり、リングレンタルしたりで、なんだかんだと交流はあるみたいです。
一時はどうなることかと思いましたが、DDT側が大人の対応をしたことでことなきを得た、というお話でした。
NOAHのX
最近の例だとプロレスリングNOAHがエックス表記をよく使いますが、使い方がうまいですね。
ドラゲーのEitaの登場にはびっくりしましたし、杉浦軍の相談役として現れた藤原組長にも驚かされました。
エックスの続き
もっとも、出落ちで終わっては意味がないので、その先の続きをお客さんに見せられてこそ、エックスの役割はあると私は考えています。
ですから、エックスとして登場する選手は、それなりに高い技量と知名度や実績が必要なんで、出落ちにもならなかったらエックスにする意味すらないわけですね。