プロレス的音楽徒然草 ザ・ファイト
もとは映画のサントラ
今回はシルベスター・スタローン主演の映画「オーバー・ザ・トップ」のサントラ盤より「ザ・ファイト」をご紹介します。この映画は放浪のコンボイ・トラッカー、リンカーン・ホークがかねてから熱望していた世界アーム・レスリング選手権への出場を決め、息子への思いをぶつけるように、世界の強豪たちと死闘を繰り広げる物語です。
私の記憶ではスタローンはプロレスラー役を演じてはいないはずなのですが、スタローン主演作品のサントラはプロレスラーの入場テーマには親和性が高いようで、ロッキー4のサントラ盤などはほぼプロレスラーの入場テーマ曲集にもなっています。有名なロッキーのテーマももちろん入場曲として使われています。
「Winner Takes It All」も
この「オーバー・ザ・トップ」からは「Winner Takes It All」がスコットノートン選手のテーマに、表題の「ザ・ファイト」は「獄門鬼」マサ斎藤選手のテーマに使用されています。
カバーと原曲両方がテーマ曲に
で、マサ斎藤選手といえば昭和39年の東京五輪アマレス代表にして、日本人2人目のAWA世界チャンピオン(第37代)でもあります。このAWA世界王座は、初代のパット・オコーナーからはじまり、バーン・ガニア、ニック・ボックウィンクルといったそうそうたる面々が名を連ねていて、現役選手でも(歴代王者に対しての)信奉者が多いことで知られています。ちなみに日本人ではジャンボ鶴田選手が第30代王者として初戴冠しています。
「カバーなら」
で、AWA王者の信奉者であるDDTの高梨将弘選手は、「マサ高梨」時代に、テーマ曲としてマサ斎藤さんと同じ「ザ・ファイト」を使わないかと打診された時、「恐れ多い」と一度は断っています。
しかし、結果的には「カバーなら」ということで、新日本プロレス「超戦士の闘争」に収録されているカバー版(プロレステーマ曲集には著作権の関係で、かつてはオリジナル版が収録されることのほうが稀でした)を使用することになったのです。
したがってこの場合のカバーは若干「粗悪品」の意味合いもあったりします)の「ザ・ファイト」が、マサ高梨選手のテーマ曲となりました。
比較的入手可能な楽曲で
カバーと原曲の両方が入場テーマとして使われた例は、ニック・ボックウィンクル選手の「プロレス・イン・ハワイ」がありますが、これは原曲が入手困難なため、カバーが使用された(カバー版はYUJI KITO選手=W-1が使用)のではないかとおもわれます。
ただ、「ザ・ファイト」のように今でも比較的入手可能な楽曲で、こうしたケースは珍しいのではないかと思います。
「 In This Country」も
余談ですが、この「オーバー・ザ・トップ」のサントラには、F1中継のエンディング曲にも使用された「 In This Country」も収録されています。プロレスだけでなく、他スポーツでもこうした使われ方をしているというのもまた面白いですね。
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