プロレス的音楽徒然草 AMERICAN HEARTBEAT
AWA王座に挑戦した
今回はジャンボ鶴田さんがAWAチャンピオン時代、1984年に2度挑戦したジム・ブランゼル選手の入場テーマ曲である、サバイバーの「AMERICAN HEARTBEAT」をご紹介します。
ジム・ブランゼル選手は、80年代ドロップキックの名手として知られ、グレッグ・ガニアとのタッグチーム「ハイフライヤーズ」で活躍したベビーフェイスのプロレスラーでした。アメリカでは「ハイフライヤーズ」のほかに、WWF入り後にブライアン・ブレアー選手と組んだ「キラービーズ」と言ったチームで活躍したせいか、タッグ屋のイメージが強い選手でもあります。
「Eye of the Tiger」に収録
さて、そんなジム・ブランゼル選手のシングルでの数少ない実績?がAWA世界王座への挑戦だったわけですが、その入場テーマ曲「AMERICAN HEARTBEAT」は、1982年発売になったサバイバーのアルバム「Eye of the Tiger」に収録されています。
タイトル曲の「Eye of the Tiger」は言わずと知れた、映画「ロッキー3」の主題歌であり、シルベスタ・スタローン自らサバイバーに作曲依頼した楽曲であり、サバイバーにとっても代表的なヒットアルバムになりました。
プロレス絡みとしては、ロッキー3に出演したハルク・ホーガンをはじめ、剛竜馬、あるいは全日本登場時のケリー・フォン・エリックらの選手たちが入場テーマ曲として使用しました。
意外な人がカバー
AMERICAN HEARTBEATは、Eye of the Tigerに続くシングルカット盤でもあります。80年代当時は日本で洋楽カバーブームがおきており、様々な方が洋楽ヒットチューンをカバーしていますが、AMERICAN HEARTBEATも調べてみたら意外な方がカバーしていました。その方とは俳優の風間杜夫さん。風間さんは当時堀ちえみさん主演のドラマ「スチュワーデス物語」の鬼教官役として人気を博しておりました。
私は残念ながらリアルタイム世代であるにも関わらず、スチュワーデス物語を見たことがなかったのですが、このドラマもまた主題歌が「「ホワット・ア・フィーリング」という映画「フラッシュダンス」のテーマ曲カバーでした。この「スチュワーデス物語」の挿入歌なのが、風間杜夫さんがカバーした「AMERICAN HEARTBEAT」(日本版タイトルは「100℃でHEARTBEAT」)だったのです。
スチュワーデス物語
「100℃でHEARTBEAT」は、風間杜夫さんの歌手としての代表作として取り上げられていたのですが、本作劇中では、訓練生一同がこの曲に合わせて踊るシーンがあり、当時の「スチュワーデス物語」が世間に与えていた影響力の物凄さが伺えます。
さて、そんなブームから30余年。スチュワーデス物語未見のおっさんが今更ながらこの記事を書くために、「100℃でHEARTBEAT」を聴いてみました。代表作というわりには、配信もCD音源もなかったため、youtubeにしかなかったんですが…。
サバイバーの風味は・・・
・・・・・ものの見事にサバイバーの風味が消されて、「フラッシュダンス」寄りの曲になってますね。ここから「Eye of the Tiger」のイメージばカケラも湧いてきそうにありません。
もしあなたが気になるのであれば、動画が削除されないうちにご確認いただく事をお勧めします(笑)
実況に詞が被らないように
さて、話をジム・ブランゼル選手に戻しましょう。ブランゼル選手が日本でAWA世界王座に挑戦した1984年というのは、まだ「スチュワーデス物語」ブームが冷めやらぬ時代でした。
当時、私は難視聴地域に住んでいたせいで、全日本プロレス中継が見られなかったので、鶴田対ブランゼルを見たのは、かなり後になってからになるのですが、84年というのは、放送形態がモノラルからステレオに移行する過渡期で、実況に歌詞が被らないよう、歌詞部分を再編集した入場テーマ曲が、まだ普通に流されていました。
再編集されていない
しかし、AMERICAN HEARTBEATに関しては普通にオリジナル版がそのまま入場テーマ曲として使用されていたのです。まあ、前奏が短いとか再編集がしにくいなどの事情も考えられますが、80年代の全日本では極めて珍しいケースでした。
鶴田対ブランゼルも、スチュワーデス物語もリアルタイム世代でありながら、リアルタイム体験できなかった私としては、入場時にこの曲が流れてきた時に、テレビの前の視聴者の反応までは知る由もありません。
やや不遇な扱い
AMERICAN HEARTBEATの爽やかな曲調は、ベビーフェイスのジム・ブランゼル選手にはとても似合う選曲ではありましたが、スチュワーデス物語や風間杜夫さんと絡めてしまうと、ちょっと残念な感じもします。
多分全日本プロレス中継のスタッフもそこまで考えて選曲はしていなかったのでしょうが、同じサバイバーの「Eye of the Tiger」と比較した場合、「AMERICAN HEARTBEAT」はやや不遇な扱いを受けているな、と私は思わざるを得ないのです。
