[プロレスラー] プロレススーパー仕事人列伝③鶴見五郎編.1

[プロレスラー] プロレススーパー仕事人列伝
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栄養管理ができていた

前回のトニー・セントクレアー編が比較的好評でしたので、しばらく仕事人シリーズを続けたいとおもいます。今回は鶴見五郎編です。

鶴見さんは東海大学理工学部出身という変わった出自をお持ちですが、変わっているのはそれだけではりません。2016年現在をもってなお、アマレス部のない東海大で、場所を変えながら学業とともにレスリングに打ち込んでいたという風変りにもほどがある経歴の持ち主です。

風変りなのはそこにとどまらず、ビリーライレージム(蛇の穴)で修業したのち、メキシコに転戦し、ドクトルワグナーのもつNWAライトヘビー級王座を奪取するも、ウェイトオーバーではく奪される(そもそも挑戦したかどうかも定かではない)という珍現象を起こしています。

メキシコでは現地の水や食料が口に合わず、ウェイトダウンするレスラーが多い中、増量して帰ってきた鶴見さんはかなり変わった部類に入るともいえるでしょう。ちなみにメキシコ遠征で体重を落とさなかったのは、鶴見さんが食事をほぼ自炊でまかない、栄養管理ができていたからです。

終始国際愛を貫いた

また国際プロレス後期には日本人初のヒール軍団「独立愚連隊」を率いて大暴れしました。この裏には経費削減に悩む国際プロレスが外国人レスラーに払うギャラをおさえるために、ヒール役に鶴見さんが悪役に転じた理由がありました。

このように鶴見さんは引退するまで終始国際愛を貫いた選手でした。後期の鶴見さんは蛇の穴で培ったランカシャーレスリングや、アマレスの素地がありながら、奇抜な発想やチープなアイディアを次々とリング上に持ち込んで、ある意味見世物小屋のようなプロレスを展開してましたが、鶴見さんを師と仰ぐ高木三四郎選手や佐々木貴選手によって、その奇想天外なアイディアマンのDNAはしっかり受け継がれています。

いぶし銀のような存在

国際プロレスの放送が全くなかった山口県で、私が鶴見さんを知ったのは全日本時代からになります。

当時の鶴見さんは主に外国人サイドにつく悪役という形で、主にやられ役を引き受けていました。試合で出す技も主に、殴る(裏拳含む)、蹴る、ごくたまにスープレックスといった感じで目立つ技も使っていませんでした。

実はその実力を高く評価していたジャイアント馬場さんからは、何度も入団の誘いを受けていたそうです。諸事情により頑なに鶴見さんは固辞していましたが、所属選手でもめったにテレビにはでないのに、たびたび上の方で起用されている鶴見さんの仕事ぶりは地味だけど、きらっとした光をときた放ついぶし銀のような存在でした。

馬場さんが試合をみていた

実はその殴る、蹴るしかできないと思われていた鶴見さんの実力を思い知らされる出来事に私は遭遇しています。それは89年の全日本北九州大会。ノーテレビのこの地方大会で、鶴見さんは第三試合で、あのジョー・マレンコとシングルマッチでぶつかりました。

マレンコ道場の優等生にしてカール・ゴッチにも目をかけられていたジョーと、蛇の穴出身の鶴見さんの攻防は、その時代に世間を震撼させていた第二次UWFをもしのぐグラウンドレスリングの攻防を披露していきました。

正直全日でこのようなレスリング、レスリングした攻防をみられるとは思っていなかったので私も大興奮しました。ちなみに私の席から対角線上にグッズ売り場があって、そこから馬場さんがこの試合をみていたことも覚えています。

観戦歴の中でもベスト3

正直、刀を抜いた鶴見さんはしびれるくらいに格好良かったし、あの藤原組長とも好勝負を展開したジョーがきりきり舞いさせられたのですから、鶴見さんの無双ぶりがおわかりいただけるのではないかと思うのです。しかし試合はテクニカルな攻防からジョーがスタンドでアキレス腱固めを決めて勝利しました。

いや、正直こんな試合を生で見ようとは想像だにしてませんでした。ちなみに今でもこの鶴見対ジョーの試合は数ある私の観戦歴の中でもベスト3に入れています。そのくらいインパクトもあった試合だったのです。

技術を後世に伝えてない

ただ、鶴見さんがランカシャーの蛇の穴で培った技術を生で見たのはこれが最初で最後でした

。おそらく当時の選手にありがちだった「こういうやりとりは道場の練習でするもの」という美学が鶴見さんにもあったのかもしれません。

その割には道場やジムでもその技術を後世に伝えようとはあまりしてないのも、なんか鶴見さんらしいですね。

とはいえ、私はテレビではその後ちょいちょい鶴見さんがこの刀を抜いているシーンをみることになります。

全日を退団して、SWSに移籍後はラッシャー木村さんの国際時代の必殺技だった裏足四の字固めと共に、主に新日本出身レスラーをそのテクニックで大いに苦しめていったからでした。

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