プロレスリング華☆激こども夢応援プロジェクト「交通遺児支援チャリティープロレス」
(2023年1月14日(土)さいとぴあ多目的ホール)
イントロダクション
2023年一発目の観戦。実は一月に人間ドックとがん検診が重なってしまい、両方あわせて四万円の出費が確定していた。
無収入の身の上で、この出費は非常に痛い。それゆえに一円単位で切り詰めないと生活が成り立たないほど追い詰められていた。
それでもやっぱりプロレスはみたい。悩みに悩んだ結果、華☆激とがむしゃらプロレスに絞り、出費を最小限に抑えてきた。
今回、いつものさざんびあではなく、さいとぴあ開催なのは知っていたため、交通費も込みで計算してもかなりカツカツな生活を強いられることは分かっていた。
でも、その生活すらプロレスを見るためなら耐えられる。それがプロレスファンというものなのである。
下関→さいとぴあ
あいにくの空模様の中、鍼治療すませてから、新幹線に乗って博多行き。小雨程度という予報なんで、傘は持たずに出た。
さいとびあは、福岡の市街地からはかなり離れているため、プチ旅行と言っていい。
困難な現実と向き合い続けていると、どうしてもしんどくなるから、こうした移動も含めての非日常が大切なのである。
九大学研都市前につくと、やはり小雨。しばし隣のイオンで暇つぶししてから、さいとぴあへ。
さいとぴあは、2021年4月以来約二年ぶり。割と来ていなかった事に驚く。
オープニング
2023年も変わらず前説は、アステカ&タコス☆キッドのふたり。
いきなり「出囃子がほしい」と言い出して、MC Shujiさんが流した曲にいちゃもんつけ出すクレーマーのおっさん2人。
小川聡志プロデュース興行なんで、前説から小川いじりも全開。
ただし、今回は第一試合で2人は対戦するのだが、その割にはルーティンであるダンゴが食いたくて、時間を気にし始めるアステカ。
17時になると全選手入場式。今回プロデュースする小川聡志が、代表して挨拶し、大会はスタートした。
第一試合:15分一本勝負
アステカ&×トゥルエノゲレーロvs○タコス☆キッド&HANAOKA
ゲレーロがメキシコにいた時には、これという接点がなかったというHANAOKA。
まさか、帰国して、年1で闘うことになるとは、ゲレーロもHANAOKAも思ってもいなかっただろう。
縁は異なもの奇なるものである。
全選手入場式では、ベテラン対若手というコンセプトであるという説明だった。
この対戦カードは、年齢的にいうならアステカ&タコス(ゲレーロ&HANAOKA)になる。
プロレスのキャリアでいうと、デビューの遅かったタコスとゲレーロが組んでもいいのだが、バランス的にはこれでいいのだろう。
やはり、本場メキシコを体験しているHANAOKAとゲレーロは、やたら手が合う。
そして、2人とも本当に楽しそうなのである。
もちろん、アステカもタコスも芸達者なんで、難なくこの流れには乗っていける。
試合自体は大変白熱しており、あわや時間切れか?と思われたが、終盤にタコスがフィッシャーマンズ・スープレックス・ホールドで、ゲレーロから勝利。
欲を言えば今度はHANAOKAとゲレーロのチームもみてみたい。今のところルードに転向してないゲレーロの新しい一面が、HANAOKAによって引き出されるかもしれないから。
第二試合:20分一本勝負
×ヒロ田北&KENZOvs竹村豪氏&○スカルリーパーA-ji
FTO参戦時にシングル対決したKENZOと田北が、今度はチームを結成。
相手は曲者・竹村とA-jiだけに、一筋縄ではいきそうにない。
ゴングを待たずに、田北は1人でA-jiに突っかかっていく。
ダークサイドにいながら、上の2人を食ってやろうという気概は、この日みた若手の中では抜きん出ていた。
しかし、そもそもヒール志向がないKENZOは、乱闘には加わらず、竹村と正攻法の勝負に挑むが、政治家とプロレスラーは嘘つきなんで、まんまと竹村&A-jiの術中にハマってしまった。
個人的には、体格的にも田北とKENZOは組んでも面白いと感じていたが、やや前のめりになっている田北と、そこまでガツガツしてないKENZOとの温度差は明白だった。
もともとそれほど信頼関係がないせいか、一度の誤爆で案の定、若手コンビは仲間割れ。
最後は、田北がA-jiのマスクを剥がす反則暴走で、A-ji組が白星をあげた。
しかし、こうした因縁を積み重ねていけば、いずれ田北もFTOの将来を任せられるようになるかもしれない。
今は時期尚早だったかもしれないが、また機会があれば、KENZOとのタッグも見てみたい。
この第二試合終了後、休憩。
第三試合:30分一本勝負
コスモ☆ソルジャー&○新泉浩司vs岡崎恭也&●メジロキッド
昨年から華☆激に復帰したコスモは、新泉と組んで、FTOの猛牛鳥人コンビを迎え撃つ。
いつのまにか「受けて立つ側」に新泉がいるのも感慨深い。
高齢化が進む九州のプロレスシーンにも、新しい波が押し寄せてきているのかもしれない。
コスモと新泉が純粋にタッグを組んだ記憶は、そんなにないのだが、いざ始動してみれば、キャリアと経験で長らくチームを組んできたような雰囲気を醸し出す。
一方、猛牛鳥人コンビはチームではあるのだが、メジロが長らくローンバトルになり、度々岡崎がカットに入る。
観ていて気になったのは、新泉が得意の蹴りを出さずに試合をしていたこと。脚を負傷している可能性もあるが、エルボーは決して手打ちにはなっていなかった。
いずれにせよ、主武器を封じたまま戦っていたのは事実であり、猛牛鳥人コンビが、新泉とコスモの本気を引き出せなかったという意味では、課題が残ってしまった。
最後は新泉こだわりのエメラルドフロウジョンで、メジロが3カウントをきいてしまったが、この2人には試合中でもっとガツガツいってもよかったように思う。
人数の関係かしばらく王座戦が組まれていない博多タッグとかも、狙ってみるのもいいだろう。
メインイベント:60分一本勝負
博多ライトヘビー級選手権試合
❲王者❳○小川聡志vs●神崎ユウキ❲挑戦者)
メインは9月に新泉の挑戦を辛くも退けた小川が、昨年MAKAIより華☆激預かりになった神崎が初挑戦。
デビューが遅かった分、小川の全盛期は間違いなく「今」なのだが、他団体なら第一線を退く年齢でもある。
だが、神崎にしたら一世一代の大チャンス。一度はプロレスを諦めた経験もある苦労人だけに、一気に団体の頂点に駆け上がりたいところ。
試合前から、タイトル獲る意気込みがすごかった神崎だが、既に3回の防衛を重ねている小川は、グラウンドでも収支余裕をみせる。
ブラジリアン柔術をベースにさまざまな格闘技を練習している小川は、年齢からは考えられない異様なコンディションを誇る。
しかし、やはり打ち合いになるとどうしても電池切れになりかかる。こればかりは気力だけでカバーし切れるものではない。
若い神崎はそこを突いて、いやらしくせめればまだ勝機はあったと思う。
ところが、悲しいかな神崎もベビーフェイスであり、なりふり構わずに行くより、どうしても見栄えの良い方に流れてしまう。
最初に「山笠タイム」を小川に決めさせなかったのは、神崎も勝機だとみていたのだろう。
しつこい丸め込みでチャンピオンを追い詰めたが、あと一つ決め手にかける。
こうなると、なりふり構わないおじさんは息を吹き返してしまうのだ。
再び神崎を担ぎ上げた小川は、そのままYAMAKASAで粘る神崎を退けて、四度目の王座防衛。
試合後、若手に奮起を促しチャレンジを求めた小川。しかし、伝統的に華☆激はベテランが元気すぎるために、なかなか序列が変わらない。
そこが問題でもあるのだが、出て行ったメンバーも含めて、次世代を任せられる若手がいそうでいないのも現実。
まあ、それはメジャー団体でもおんなじなんで、2023年はこの閉塞感打破をテーマにしてほしい。
とりあえず、他団体頼みにはなるが、岡崎や田北、あるいはがむしゃらメンバーでもいいので、噛みついてもらえたら、少しは景色が変わるかもしれない。
後記
さいとびあはかなり遠方にあるため、あまり長居ができず、とりあえず大会終わりで、駅から地下鉄→新幹線に乗り換え、車内で観戦記を書きつつ、車を置いている小倉まで。
さいとぴあ観戦は、こうした時間が取れるので、写真さえセレクトできたら、観戦記を比較的早く仕上げられる。
要は家でやるか車内でやるかの違いだけだが。
とりあえず2023年最初の大会では、新しい風景は見られなかった。見慣れた風景は安心感があるけど、それだけでは未来がみえてこない。
老害サイドの私だって、刺激がほしいのである。
さて、2023年のプロレス界。
新時代の扉が開くのか、はたまた、変わり映えしない景色が続くのか…?