[プロレス観戦記]DDT「KING OF DDT FUKUOKA 2014」福岡さいとぴあ大会(14.6.14 土)

DDT「KING OF DDT FUKUOKA 2014」福岡さいとぴあ大会観戦記(2014.6.14 土 さいとぴあ博多)

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イントロダクション

今年から今まで博多ほぼ一択(たまに北九州や熊本および鹿児島)だった九州ツアーを、博多を減らしてその分を振り分け始めたDDT。

木曜には福岡市のお隣大牟田(相島勇人の地元凱旋大会)で試合をして、2日後に博多。正直大牟田をやらなかったら、さいとぴあは超満員になっていたであろう。

実際新日は博多周辺のツアーを切って、国際センター一択にして満員を続けている。

だが、攻めのDDTは「ついで」というスタイルを嫌う。しかも大牟田はRoad to Ryogoku in OMUTA〜ドラマティック・ドリーム・炭坑節〜という地方大会バージョン、博多はKING OF DDT FUKUOKA 2014トーナメント一回戦をもってきた。

いつものDDTなら大牟田。シングルの多い勝ち負けにこだわった内容を楽しみたいなら博多。2日続けても違うものが見られるし、片方だけでもいい。この辺のきめの細かさはさすがとしかいいようがない。

TVがついてスターレーン単独2連戦をやってるドラゲーとの興業戦争(開始時間が全くの真裏でかぶっていた)というおまけまでついて、繁華街からは程遠いさいとぴあは苦戦も考えられた。

ましてや今回は単独開催でもある。発表は290人(満員)となっていたが、やはり昨年のさいとぴあよりは一割近く席が最初からなかったし、空席もDDTにしては結構あった。

最終的にはほぼ満員になったが、出足は苦戦していた感じもした。しかし、リングレンタルを華☆激に依頼するなどしてコストダウンを徹底したおかげで、おそらくだが赤はでてないのではないだろうか?ましてや翌日が大阪とあって、選手が身一つで移動できるのも大きい。

選手負担の軽減とコストカットを同時進行させている大社長の手腕には毎回敬服する。

オープニング

試合前はGMとマイクアナによる見どころ紹介のあと、「IN TO THE LIGHT」にのってKING OF DDT 2014の選手入場式が行われた。

リングにあがるのではなく、ステージに一列に並ぶ演出はかつてのPRIDE何かをほうふつとさせる。やはり「闘い」のにおいがする感じがした。

そしてトーナメントを争う全16選手が北側ステージに揃うと竹下が選手宣誓。「我々選手一同は、両国のメインを目指し、プロレスラー精神のっとり闘うことを誓います! 平成26年4月14日…6月14日、選手代表、竹下幸之介!」となぜか日付を間違う。

ネタではないみたいだったけど、つい「なんかあるの?」と思ってしまった^^

▼オープニングマッチ KING OF DDTトーナメント一回戦第一試合 30分一本勝負

◯アントーニオ本多 vs ヤス・ウラノ●
10分52秒 卍固め※本多が二回戦進出。

第1試合はアントーニオ本多vsヤス・ウラノのトーナメント1回戦。

この試合はグラウンドに活路を見出すであろうヤスの先手をとってアントンがグラウンドをしかけていったところがミソ。

普段だとマイク要員になることが多いアントンだが、久しぶりに試合だけで勝負したアントンがみられたのはもうけもんだった。

場外にでたアントンは追ってきたヤスをエプロンに叩きつけてリングに戻し、ニーオンザベリーのキャメルクラッチで苦しめる。

カウンターの回転エビ固めをクリアしたアントンはスリーパー。このスリーパーが結構執拗で、なんとかこれを凌いだヤスにテーズプレスからナックルを見舞い、エルボードロップで試合を決めに来た。一回は逆転を許したが、バイオニックエルボーからダイビング・フィストドロップで二度目の勝負を決めにきた。

ヤスは剣山で迎撃。なかなかしっぽを掴ませない。この曲者同士の裏の駆け引きがすさまじい。やっぱできる選手同士の試合は見応えがありすぎる!

ナックルの打ち合いからツームストーン・パイルドライバーの体勢に入るヤスは、劣勢をなんとか挽回しようと必死。いつもならどっか余裕をもっているヤスが珍しく必死になっていたのだが、これも察知したアントンがかわして瞬時に卍固めに切り返す。

グイグイ絞るとヤスはロープを目の前にしながらギブアップ!あの手が届きそうで届かない位置で決められたのは悔しかったろうなあ。

これでアントンが1回戦を突破という結果に。しかしこのトーナメントの先に両国のメインがまってるとあっては皆必死だったんだろう。

そして実はマイクが無くてもDDTは面白いということをわからしめた試合だったと思う。

エンタメ色はあくまでこうした基本がベースにあってできるものであって、そういうことができないからかわりにマイクパフォに頼っているわけではないということ。改めていわずともDDTのファンなら承知の上ではあったろうけど、それを改めて満天下に知らしめた意義のある一戦だったと思う。

▼第二試合 KING OF DDTトーナメント一回戦第二試合 30分一本勝負

◯入江茂弘 vs 高尾蒼馬●
9分10秒 エビ固め ※ビーストボンバー。入江が二回戦進出決定、二回戦第一試合がアントーニオ本多vs入江茂弘となる。

第2試合は入江茂弘vs高尾蒼馬のトーナメント1回戦。

同門ドリフ同士の闘い。大牟田ではこの一戦を前に二人が改めて友情を確認した上で正々堂々ぶつかりあうと約束したそうだが、まさにその通りのすがすがしい内容。

フィンガーロックの力比べで高尾を押し倒す入江にブリッジで対抗する高尾は入江に体を落とされても耐えていく。

この辺が体重差を感じさせない高尾はカウンターのドロップキック、さらに四つん這いの入江にスライディングキックを発射し、セカンドロープとサードロープの間をすり抜けて場外弾と攻撃を畳み掛けた。

軽量級の高尾に対して入江は重いエルボーで反撃し、フェースロック。ロープ際で倒れる高尾を踏みつけると、ボディースラム、ボディープレス、WARスペシャルと波状攻撃できついおかえしをしていく。

徐々に体格差が勝敗を左右し始めると思いきや、その場跳びスイングDDTで高尾も再度反撃。

シュバインは失敗したが、逆にブレーンバスターで投げかえしていくが、ここで入江は体格差にものをいわせたコーナースプラッシュで流れを変えると、垂直落下式ブレーンバスターで追い打ち。高尾もカウンターの延髄斬りからトラースキックを決めてなんとか星を戻そうと必死。

だが、ダメージが蓄積されていた高尾は最後の最後ビーストボンバー狙いを二度読み切ってかわしながら、三度目をもろに食らってしまって万事休す。入江が勝ち上がり、トーナメント2回戦でアントンとの対決が決定したのだった。

正直入江に穴らしい穴がなかったのは残念だった。

ライバル同士というより高尾善戦したなという感じにみえたんだが、この結果は本人も不本意だろう。今年は全日でも他団体でもいろいろチャンスをもらいながら、石井と入江の陰になってる高尾。ここらで奮起してもらいたいところなんだが・・・・

▼第三試合 KING OF DDTトーナメント一回戦第三試合 30分一本勝負

●ケニー・オメガ vs 松永智充◯
11分41秒 エビ固め ※ダイビング・ボディーアタックを切り返す。松永が二回戦進出。

二試合目は正直意外性はないよな、と読んでいたので波乱があるとしたらここかなと読んでいた第3試合はケニー・オメガvs松永智充のトーナメント1回戦。

ケニーがドロップキックからスリーパー、フェースロックで優位に試合を進めていく。もともとこの試合は松ちゃんが志願してケニー戦を組んでもらった経緯があるので、変態團とかでみせる松永の姿はない。松永は向かってきたケニーにカウンターのヒザ蹴り。

間髪入れずにパイルドライバーでケニーを真っ逆さまに叩きつけるとあっという間に形勢逆転。

このチャンスとみるや厳しい攻撃を畳み掛けるあたりはさすがのひとこと。ここで動きの鈍くなったケニーに左腕殺しの一点集中を展開していく。

この執拗でしかもバリエーションが豊富な腕殺しにケニーが苦悶の声をあげる。さすがディック東郷の遺伝子をもつ男だけのことはある。

他団体なら「格が違う」で一蹴されがちなカードで、しかも全選手を通してもエース格のケニーの価値を考えたら、松永の善戦は健闘レベルで終わっても不思議ではない。

が、松永は電車道からダブルアーム・スープレックスでケニーを投げバックドロップ・ホールド。勢いに乗る松ちゃんは逆「STOP!」で突きだした腕を取ってアームブリーカー。

しかしケニーも痛めた腕をかばうことなくタイガードライバーをフランケンシュタイナーで切り返し、ダイビング・ボディーアタックへ移行。真正面からこれを受けた松永万事休すかと思われた次の瞬間なんとその反動で丸め込みに切り返して、3カウント。松っちゃん大逆転勝利!

に会場も大興奮。何度も勝利のポーズをとって観客の声援にこたえる松っちゃんは確かにいつもの便利屋の顔をかなぐり捨てていた。ここまで自分を追い込んで勝ったんだから万感の思いがあったんだろうなあ。

▼第四試合 KING OF DDTトーナメント一回戦第四試合 30分一本勝負

●MIKAMI vs KUDO◯
2分25秒 片エビ固め ※バックスピンキック。KUDOが二回戦進出、二回戦第二試合が松永智充vsKUDOとなる。

なんといっても注目はこれ!旗揚げメンバーのMIKAMIと艱難辛苦をともにしたベテランKUDOの一騎打ち。

これは地方ではそうそうお目にはかかれない。KUDOが入場して紙テープが投げ込まれる中、MIKAMIが速攻で奇襲。

ゴングが鳴らされるとスク~ルボ~イ。さらにミッキーブーメランから450°スプラッシュで一気に畳み掛けた。スライディング式スク~ルボ~イ、さらにはデュランダルからドラゴン・スープレックスで固めるもカウント2。

それでもコーナーに登ったMIKAMIは追ってきたKUDOをキャッチすると雪崩式デュランダルまで決める強引さ。

短期勝負ねらいはあきらかだったが、普段のMIKAMIらしさである、間合いとか、リズムが若干くるっていた感じがした。

ここまでカウント2で返させると奇襲の意味が薄らいでくるからだ。そして極めつけはKUDOのバズソーキックがMIKAMIの顔面にクリーンヒット!

さらにダメ押しのバックスピンキック。完全に意識が飛んだMIKAMIをKUDOが押さえ込んで勝利し、2回戦での松永戦が決定した。

いや、MIKAMIの執念は理解できたが、やや勝負を急ぎすぎたかな?あと、地味なようで結構表舞台にいるKUDOと現れては消え、どっちかというとサポートに回りやすいMIKAMIの立ち位置の差もみえたかも。もし勝利を狙うなら速攻よりもラダーで来てほしかった気もした。

▼第五試合 10人タッグマッチ 30分一本勝負

◯HARASHIMA&彰人&相島勇人&アズールドラゴン&中澤マイケルvs高木三四郎&大石真翔&遠藤哲哉&伊橋剛太●&ばってん×ぶらぶら
9分37秒 体固め
※蒼魔刀

要するにこの日トーナメントからあぶれたものが全員ぶち込まれた10人タッグ。

こういうカードが組めるのはDDTという団体の体力を証明していると思う。高木、大石、遠藤、伊橋がリングインすると続いてHARASHIMA軍が入場する。

ここでマイクを持った大社長は「俺達のチームの博多の生んだあのスーパースターが、どうしてもピンで入場したいって言い出したんだ。今日は別入場です。ピンで入場です」と説明。

するとばってんが入場というタイミングで、HARASHIMA軍が奇襲。

両軍入り乱れてぶつかり合う中、試合開始のゴングが鳴らされる。場外戦の中、ばってんはリングサイドのお客さんにアピールしながら練り歩き、ようやくリングインするも、その背後を彰人とマイケルに攻撃されてしまった。

あっという間に出番を失ったばってんを尻目に大社長は得意の?ルチャ殺法でマイケルを苦しめる。

しかし、ばってんと伊橋を両腕ラリアットでなぎ倒すと、アルティメット・ベノムアームに移行。

ばってんがこらえるとマイケルは空いている腕でさらにアンダータイツを取り出し装着。ダブルで狙っていく。

ばってんがその腕をクロスしてばってんポーズ。するとばってんポーズを解除した反動で両サイドからアシストせんとした大社長と遠藤にアルティメット・ベノムアームがそれぞれ被弾!さらにばってん、救出せんとした大石もアルティメット・ベノムアームの餌食に!

ここは結構見せ場だった。いつものDDTが凝縮された感じだったし。ここでタッチを受けたHARASHIMAはコーナー最上段からカンフーキックでばってんをふっ飛ばす。

ここで入れ替わった伊橋に相島がブレーンバスターで投げると、すかさずHARASHIMAがスワンダイブ式ボディープレス。

彰人が大石をジャーマンで蹴散らし、アズールもプランチャでアシストという好連携!ここで孤立した伊橋にHARASHIMAが蒼魔刀を決めて勝利!

試合後、HARASHIMAがマイクを取って「いよいよKO-D、このベルトを狙うトーナメントが始まりまして、1回戦をさっそくやってます。誰が勝ち上がっても自分は絶対そいつに勝って両国のメインをカッコよく締めたいと思います。次の福岡大会も絶対にベルトを巻いてきたいと思います。両国大会、誰がトーナメントを勝ち上がっても絶対にこの僕は勝ってやるさー!次の福岡大会もベルトを巻いてきてやるさー!そしてその試合でももちろん勝ってやるさー!(なんでかって!? それは鍛えているからだー!」で前半戦を締めた。

いつもは目立つ地元勢もばってん以外は大牟田で目立つ場面があったので今回は乱戦要員だったかな?

▼第六試合 KING OF DDTトーナメント一回戦第五試合 30分一本勝負

◯飯伏幸太 vs 石井慧介●
7分53秒 エビ固め
※シットダウン・ラストライド。飯伏が二回戦進出。

ここは波乱がないかなと予想していた。

全日のアジアタッグ王者の石井のエルボーにIWGPジュニア現王者飯伏はミドルキックで応戦。

場外エスケープした石井に飯伏は「来いよ!」と珍しく声を荒げる。

こんなに感情をあらわにする飯伏も珍しい。いらついているというより石井の奮起を促している感じがした。

その石井はエプロン越しのエルボーからロープを挟んでのショルダーネックブリーカー。

さらにエプロンを走り込んでのフロント・ハイキックと攻め込み、リングに戻った飯伏にヘッドシザースを決めるなど序盤は石井ペースになったが、これはむしろ飯伏が望んだ展開。もし石井が自分のペースにしたかったら序盤で挑発された時点でなんとか畳み掛けた方が良かったかもしれない。

後頭部へのラリアットからタイガー・スープレックス・ホールド、顔面フロント・ハイキックと石井もここで攻撃を加えていくが、飯伏もエルボーで応戦してエルボー合戦へ。

石井がここからカンガルーキック。飯伏もすぐさまオーバーヘッドキックを見舞うが、石井も延髄斬りで対抗。飯伏もショートレンジ・ラリアットを振るうと続いてラリアットを決めてシットダウン・ラストライドの体勢にいくが、石井もここは踏ん張って高角度ダブルアームDDTに切り返したが、両者ダブルダウン。

意地と意地の応酬になった。先に起き上がってコーナーに登った石井を蘇生した飯伏も追いかけるが、これをかわした石井が雪崩式タイガー・スープレックス!だがこの荒業は逆に命取りになった気がした。なぜならここからの飯伏は、過去まともにくらうことなくほぼ着地に成功しているからだ。

続くニールキックをかわしてハイキックをズバリヒット。これで石井がかえせないとみるや、シットダウン・ラストライドをさく裂させ、石井の息の根をとめた。

やっぱりというか飯伏の牙城は2団体所属になっても相変わらず高い。疲れとかもあるんだろうけど、ここ一番の大勝負では絶対に負けない。石井もいいところまでいったけど、この試合に関しては飯伏の懐の中で泳がされていた感もなくはない。

▼第七試合 KING OF DDTトーナメント一回戦第六試合 30分一本勝負

◯マサ高梨 vs 男色ディーノ●
9分38秒 エビ固め
※タカタニック。高梨が二回戦進出、二回戦第三試合が飯伏幸太vsマサ高梨となる。

例によって男性客を漁っている男色先生を高梨が襲撃して場外戦で試合開始。

カウントが進む中、ディーノが場外ブレーンバスターからリングに戻ろうとするが、高梨が脚を引っ張ってリング下へと落として、先にキャンバスへ。

カウント19でディーノは生還する。このあたりは曲者同士。リングアウトのにおいをぷんぷんさせながらいいタイミングで裏切ってくれる。

プロレスの正攻法でない部分をみた気がした。リングにあがってからは男色殺法全開に。ホモイェで高梨を止めたディーノは男色クロー、さらに生男色クローと畳み掛け、ナイトメアへ。コーナーに登るディーノだったが、高梨にロープを揺らされてしまうと、揺れの反動でロープ中央までつたってからトップロープに股間を痛打。

ジョン・ウーからコーナーに登った高梨にディーノは男色ヴィーナスからカリクビクラズム、リップロックを食らい、防戦一方になる高梨。

が続く男色ドライバーを回避してソバットを決めたあと、地方では決まり手になることが珍しタカタニック狙いにいくが、ここは決まらない。

ところが高梨もソバットから自身のタイツを広げて掟破りの男色ドライバー狙いにいく。もうなりふり構っていられない高梨は、タイツにディーノの頭部を差し込むことに成功。

だがこれをジャックナイフ式エビ固めで切り返すディーノ。

が、高梨はすぐさま二回目のタカタニック。やっぱ自分の技でやられたくはない選手心理を逆手にとって、タカタニックで決めてやろうという作戦にディーノがまんまとのってしまった感があった。

序盤にみせたチキンウィングアームロックのような厳しい攻めは有効にみえたので、あの流れを男色先生が持続させられていたら、どうなったかわからなかったろうなと思った。

あとはトーナメントにかける執念というか、両国大会が当たり前になった昨今、ちょっと最初の頃に比べると、男色先生のモチベーションが下がった感じがしたのも気になった。逆に高梨はここで目立てないと当分出番が来ない分必死だったし、そこらへんが明暗をわけたかもしれない。

▼セミファイナル KING OF DDTトーナメント一回戦第七試合 30分一本勝負

●坂口征夫 vs 木高イサミ◯
10分7秒 片エビ固め
※勇脚・斬。木高が二回戦進出。

坂口には申しわけないが、ここはどうしてもイサミを応援したかった。

実のところヤンキーキャラというより「あきらめの悪い」部分にひかれている私としては、坂口の明らかに喰らったら痛い蹴りや、関節技に対して、イサミがどう「諦めない」かを注目してみていた。

イサミのエルボーと坂口のミドルキックの応酬は一歩も引かない意地の張り合い。

坂口が腕十字狙いにいくや、これをかわしたイサミも足関節を取りにいき、リバース・インディアンデスロックから鎌固めへとグラウンドでも意地の張り合いに。

再びスタンドになるとイサミは串刺しエルボーを決め、場外からコーナー下にもたれかかる坂口へスライディングキック。

だがコーナーに登るイサミを追撃した坂口は、最上段にイサミをうつ伏せにセットした状態で強烈なランニング・ニーをかち上げる。

坂口のPKをかわしたイサミがロケットパンチを放ち、再び打撃の応酬に。これを嫌って場外エスケープした坂口にイサミがトペ・スイシーダを狙うが、坂口はハイキックでイサミを迎撃。

リング下に落ちたイサミへエプロンからのPK。

さらにリングに戻してPKを決め勝負に出た。とどめとスリーパーを狙う坂口をイサミがバックドロップで叩きつけ勇脚を決める。

この辺のあきらめの悪さはさすがイサミ!実は勇脚系の技は普段イサミとはあまり絡まない(ユニオンとDDTだし)坂口が案外警戒していそうで、慣れてない技だったような気がする。

もちろん警戒はしていたと思うけど、坂口の予想をこえるタイミングのずらし方で決めてきたイサミが一枚上手だった。

続いて勇脚・斬を狙うイサミに坂口はコブラクラッチへ。だがイサミは坂口の腹部に飛び込むように頭突きを放つ。

実は会場中に響くくらいすごい音がしたのだが、この頭突きという格闘系にはない技を織り込んでくるあたり、イサミのクレバーさも感じられた。なぜなら頭突きで坂口の攻めのリズムが明らかに狂ったからだ。だからパンチのラリーにいっても坂口の方が付き合わされている感じがしたし、なんとか自分のスタイルに戻そうと、坂口が首相撲でヒザを突き上げ、ブレーンバスターをかえされて、追撃のハイキックでイサミを追い詰めたが、ダウンしかかりへたり込むイサミはここから坂口に再度頭突きを見舞っていく。

さらに三発目の頭突きを食らわせると、ハーフダウンになった坂口に勇脚・斬がずばり決まり、イサミが辛勝!だが、これはやはりイサミの作戦勝ちだったと思う。やっぱ最後に頼るのが、ベースにある格闘技だった坂口と、最後までプロレスを駆使し尽くしたイサミとの差が出た試合だったろう。

プロレス頭ではサラブレッドの坂口も悪くはないんだけどね。

▼メインイベント KING OF DDTトーナメント一回戦第八試合 30分一本勝負

◯竹下幸之介 vs 佐々木大輔●
17分16秒 片エビ固め
※タッチダウン。竹下が二回戦進出、二回戦第四試合が木高イサミvs竹下幸之介となる。

たぶん記憶に間違いがなければこの2人のシングルは初だったと思う。

序盤はその感触を確かめるようにじっくりとした攻防で、佐々木ペースになりかかったところに竹下のドロップキックがさく裂。

しかし向かってきた竹下に対して、トップロープを下げて場外戦へと誘い込んだ佐々木は、竹下にお株を取られ場外戦でイスに座らされせてランニング・ビッグブーツをいくらってしまう。

リングに戻された佐々木は竹下をロープに固定すると左脚にスライディングキック。ここまでは竹下もよかったが、形勢を逆転させた佐々木は場外へ転落した竹下を掴まえて鉄柱に左脚をぶつけて、逆転。

さらに左脚にダイビング・ヒットマンエルボーを決め移転集中へ。執拗な佐々木の四の字攻撃から逃れたい竹下は強引にブルーサンダーで叩きつけてペースを取り戻し、ハーフハッチ、ジャベリンキックと猛攻を開始。

一点集中が効果を発揮する前に竹下が流れをこじ開けて、若さで強引に試合を引きずり戻した印象が強かった。

だが、ここで引けない佐々木はエルボーの打ち合いからドロップキック、さらに竹下をトップロープに引っ掛けて顔面への低空ドロップキックをヒットさせると、朦朧とする竹下にエビ固めの洗礼。さらにクロス・フェースロックで捕獲するなど佐々木もなかなか揺るがない。

なんとかエスケープした竹下は後頭部へのドロップキックからジャーマンへ。これをクリアした佐々木は体勢を入れ替えて十字架固め。さらに佐々木のコルバタ狙いを途中で止めた竹下。背後に着地した佐々木にローリング・ラリアットがきれいにきまった。

このディスカスパンチばりの強烈な一発は竹下の新しい個性といっていいかもしれない。ここから必殺技のタッチダウンにつないで、難敵佐々木から勝利。最後の2回戦組み合わせはこの試合を場外で観戦していたイサミvs竹下となった。

試合後、竹下がマイクをもつ。「佐々木さん、ありがとうございました! 今年のKING OF DDTトーナメント、僕が優勝します。僕が今、一番強いということを証明してみせます。イサミさん、明日楽しみですね。絶対、僕が両国のメインに立ちますので楽しみにしてください! ありがとうございました!」

この結果、トーナメント2回戦の組み合わせが決定。アントンvs入江、松永vsKUDO、飯伏vs高梨、イサミvs竹下が6・15大阪でおこなわれることになり、GMのいざないで二回戦進出者がリングイン。それぞれが思いのたけをマイクでなく、握手やにらみ合いなどで表現していった。

正直竹下対イサミは両国で実現しててもおかしくないカードだとおもっちたので、ひとつ結果を出すためとはいえ、先に大阪でおしげもなく実現させてしまうあたりにDDTの思い切りのよさを感じた。

決して攻めの姿勢は崩さない、そして、連戦でありながら、出てくる色合いをすべて変えるという試みは大変だったとは思うけど、ストロングなトーナメントもバラエティな地方スタイルも色んなやり方で見せられる強みが今のDDTにはある。やっぱ大したもんだよなあと思わざるを得ない。

ただ熱戦の余韻に水を差した試合後のばってんアナウンスは本当余計だった。しかも芸人なのにカミカミだったし・・・・

後記

次回DDT福岡大会は9.6土。場所は同じさいとぴあで、なんと東京女子とのダブル興行!

まさか東京女子が、アイスリボンや、ましてやユニオンより先に福岡にくるとは!9.6はもうスケジュールあけました!

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