プロレス的音楽徒然草 God Bird Change
最も優れたギタリスト
今回は、ジュニアのいぶし銀として、ブロンド・アウトローズやレイジングスタッフなどで活躍された保永昇男さんの入場テーマ曲である、アル・ディ・メオラさんの「God Bird Change」をご紹介します。
アル・ディ・メオラ(Al de Meola )さんはアメリカは、1954年、ニュージャージー州・ジャージーシティ生まれのジャズ・フュージョンギタリストです。
エルヴィス・プレスリー、ベンチャーズ、ビートルズに刺激を受けてギターを始め1974年にチック・コリア率いる「リターン・トゥ・フォーエヴァー」に、1976年の解散まで在籍。
ギタープレイヤーマガジン誌の読者投票で四回も「最も優れたジャズギタリスト」に選ばれているギタリストです。
まるでロボットアニメ?
アル・ディ・メオラさんは初期作品の頃から地中海文化やフラメンコなどにみられるアコースティックなジャンルを探求し始めていたそうで、他のロックギタリストにもジャズギタリストにも同様に大きな影響を与えたんだそうです。
「God Bird Change」というタイトルだけ見るとまるで、さるロボットアニメのBGMのようですが、それとは全く関係ありません。
「God Bird Change」は、1982年発売の5枚目のアルバム「Electric Rendezvous」(エレクトリック・ランデヴー)の一曲目に収録されています。
保永さんの出世試合
さて、保永昇男さんの出世試合といえば、なんといっても1991年にトップ・オブ・ザ・スーパージュニアでライガーを破り優勝した試合になるでしょう。
この決勝は、ジュニアの歴史に残る名勝負として未だに語り継がれています。ちなみに、この試合は、IWGPジュニアヘビー級王座決定戦を兼ねており、保永さんは同王座に初戴冠しています。
保永さんの代名詞
当時実力的にも絶頂期だった獣神サンダー・ライガーを仕留めたクロスアーム・スープレックス・ホールドは、保永さんの知名度と共にメジャーになっていった技だったのです。
当然ながら「God Bird Change」も、保永さんのテーマ曲として定着していきました。今では保永昇男さんといえばこの曲が連想できる方は多いと思います。
ちなみに、クロスアーム・スープレックス・ホールドとは、相手の背後から右手で相手の左腕を左手で相手の右腕を、それぞれ掴み、掴んだ両腕を相手の胸の前で交差させて放つ、ジャーマン・スープレックス・ホールドの派生技です。
実は真似ていた
2019年12月1日放送分のラジオ日本「真夜中のハーリー&レイス」にゲスト出演された保永さんは「あれは、テレビをみていたら、女子プロレスで豊田真奈美さんが使っていたのをみて、真似た」と、衝撃の告白をしています。
豊田真奈美さんの代名詞はジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスですけど、こちらは相手の腕を前で交差させて、後ろからその両手を掴みながら股の間に頭を入れ、肩車をしそのまま後ろに倒れてブリッジをしフォールを奪う技です。
想い出とともによみがえる
ちなみに保永さんは豊田真奈美さんにはお会いしたことがないそうですが、保永さんの場合、単に相手の腕をクロスするだけで、ジャパニーズオーシャンサイクロンとは異なる技ですから、継承うんぬんの議論には至らなかったでしょうね。
デスバレーボムもそうですが、女子プロ発の技がいつのまにか男子に使われていたという例はまま見られます。
保永さんの場合は単に盗んだというより、アレンジして使用しているといったほうが正解なんで、おそらく告白されても論争にはならなかったと思われます。
想い出と共に
ちなみに、ウルティモ・ドラゴン選手が使用している「アステカスープレックス」はクロスアームスープレックスホールドと同種の技で、ほかには高岩竜一、ツバサ、空牙、大石真翔、大和ヒロシ、竹下幸之介と言った選手が使い手として知られています。
最後になりますが、前述の「真夜中のハーリー&レイス」では、パーソナリティの清野茂樹アナが大のプロレス入場テーマ曲マニアということもあり、保永昇男さんの入場テーマ曲として「God Bird Change」が流されました。
聞いていて、私も90年代のジュニア時代の試合が蘇ってきてうれしかったですね。テーマ曲が流れると、想い出と共に名勝負が脳裏に浮かび上がってくるのです。