[映画鑑賞記] 映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-
18年1月12日鑑賞。
高校最後の年を迎えた富樫勇太はいまだ中二病の小鳥遊六花との共同生活を続けていた。ある日、六花の姉の十花が、家族で移住するため六花をイタリアに連れていくと宣言。二人を心配する丹生谷森夏たちに駆け落ちをけしかけられた勇太は、六花と一緒に日本中を逃げ回る。(あらすじはYahoo映画より)
忘れ難い黒歴史
前回の映画「小鳥遊六花・改〜劇場版 中二病でも恋がしたい!〜」は、一期と二期を繋ぐ役割の作品とはいえ、甚だしくぶつ切りな再編集に意味のわからないストーリーで、シリーズの心証を地に貶めた印象がわたしにはある。
「小鳥遊六花・改〜劇場版 中二病でも恋がしたい!〜」の鑑賞時、所用のついでとはいえ、わざわざ新幹線使って博多まで行ってみたのだ。しかも高い劇場代に高いパンフ買わされて、内容がはっきりいってゴミ。いくら私がクソ映画愛好家でも凹むのだ。しかも帰り道、財布を落とすという失態つきで、わたしには「色んな意味」で忘れがたい作品になっている。
だから、「映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-」が4年ぶりの完全新作で、かつ北九州でも公開があると知りながら、かなり観に行くのを躊躇していた。それでも観に行こうと決意したのは、やはり私はク◯でもなんでも、「中二病でも恋がしたい!」というアニメシリーズが好きだからだし、だまされてもお金を出してしまう浅はかなアニメファンだからに他ならない。
正直スケジュール的にカツカツで、体調的にもあまりおもわしくない上に、折からの寒波で道路は凍結。幸い昼過ぎには普通に通行できたけど(レイトショーなんか選んでいたら多分帰りが地獄だっただろう)、平日にも関わらずメンズデーのせいか結構人がいた。両隣に人が座るのはいやなので、わざとはずして購入したのに、あとから来た客が真となりの席を買っていて正直鬱陶しかった。そういう環境下で映画を鑑賞することになったのだが・・・・
恋の逃避行
さて、肝心の本編はどうだったかというと・・・・
正直、完敗でした!見事な完結篇であり、これぞ「中二病」という展開!そして映画ならではのスケール感や、ロケーションも含めてファンにはたまらない映画だったと思う。おしむらくは二期の後でなく、一期のあとにこれを作っていてくれていたなら、小鳥遊六花・改などという黒歴史をおがまずに済んだものを・・・・
ちょっとだけネタバレすると、実は二期みなくても意味が通じる映画だったので、テレビ版一期さえみていれば、TAKE ON ME!の内容にはついていけると私は思っている。七宮ちゃんの活躍も映画ではかなりのウェイトを占めているので、二期が全くの蛇足であるとは言わないが、やっぱりなくてもよかったかなと思う。
でも、一期→小鳥遊六花・改→二期とみてきたファンにはたまらないシーンやキャラクターの登場もあるので、全く無駄というわけではない。それにしてもなかなか関西圏から出たがらない京アニ作品らしからぬ、ロードムービーっぽいつくりは意外といえば意外だった。パンフによると石原監督が以前よりやってみたかった題材らしく、こうしたアメリカンニューシネマ的な絵作りと、中二病の世界を合体させるアイディアはなかなかよかったと思う。
実際、二期の終了から4年も間隔があいているのだけど、とてもそんなに間が開いているとは思えないくらいに、キャストもスタッフも愛情込めて中二病の世界をきちんと描き切っていた。そのあたりはさすが腐っても京アニ!ラスト近くで流れる一期OPの「Sparkling Daydream」は正直流すタイミングといい完璧すぎて涙が出てしまった。
まあ、強いて注文を出すとしたら、一曲くらいBlack Raison d'êtreの歌う曲がほしかったなあということくらいかな。でもZAQさんのかき下ろしたOPもEDも素晴らしいものなので、音楽的なものについては文句はない。
OPでみせた「意外な試み」
細かいことで言うと、ほかの京アニアニメとのコラボも試みていたみたいで、エンドロールまでみるコラボ作品が確認できるのだけど、正直私には「うさぎ山商店街」以外はわからかった。もし二回目以降をみる機会があるのであれば、もう一回探してみたいと思う。
あと、面白かったのは、OPのショートムービーで「撮影OKタイム」を設けていたこと。30年前のように「映画泥棒」なる概念がなかった時代は皆がカメラを構えてパシャパシャ撮っていたものだったが(笑)、その時代を知らないであろうお客さんたちは「え、そんなのあるの?」という感じで、慌ててしまったスマホを取り出しておっかなびっくりで撮影していた。SNSで広めてもらおうという試みとしてはなかなか面白かったし、ちゃんと本編にもつながっていたので、お遊び的でありつつ、「観客参加型」のアニメとしても面白いことをしていたなあという印象を持った。
中にはそれでも罪悪感があって撮影できなかった人もいたみたいだけど、劇場でみたいい記念にはなると思う。プロレスリングDDTでもスマホ撮影のみ動画OKという新ルールを打ち出しているし、 私はこうしたアイディアは大いに評価したいと思う。もちろん作品によってこういうことができるものとそうでないものがあるのは、百も承知の上だけど。
とはいえ、小鳥遊六花・改で中二病に失望したことがある(私だって実はそうだ!)人には「TAKE ON ME!こそ、真の劇場版・中二病でも恋したい!である!!!」と声を大にしていいたい。そのくらいのクオリティがある映画でもあるし、「人の恋愛ざたなどごみ箱に捨てて燃やしてしまえ!」と普段なら言うであろうこの私が、勇太と六花の逃避行にハラハラドキドキキュンキュンしてしまったのだから、十分もとをとったと自信をもっていえると思う。素晴らしい映画でした!