万国びっくり映画鑑賞記・ドーベルマン刑事
2016/10/18
09年1月15日観賞。
新宿で女性の焼死体が出てきた。新宿警察署は連続殺人放火魔の仕業で、被害者を沖縄県石垣島出身の玉城まゆみと断定して、元暴走族の三迫長栄を逮捕する。しかし、まゆみの母親からの捜索願で、東京にやって来た沖縄県警の刑事で加納錠治は、新宿警察署捜査陣の考えに疑問を抱いていた。“病める”大都会・東京に、芸能界で成功を夢見る新人歌手とその背後にいるヤクザたちが事件に絡み、加納は大胆な捜査で犯人を追い詰めていく。(あらすじはwikipediaより)
ご存知初期少年ジャンプを支えた大ヒットマンガの映画化...と、思ってはいけない。なんでも原作漫画の前日譚にあたるのが本作らしいのだが…。
まず冒頭からサニー千葉演じるところの加納刑事(ドーベルマン刑事)はなぜか沖縄から黒豚を抱いて現れる。どうもこの黒豚は愛玩用らしい。黒豚をペットにするというのは、作品制作当時としてはかなり珍しいはずだ。
この加納刑事はとにかくステレオタイプの沖縄キャラで、沖縄の方言丸出しだし、とにかく外見のワイルドさからはかなりかけ離れている。当然、原作にありがちな、腹にダイナマイト抱え込んだりするシーンもなく、「○○、なん、でぇーーーっ!」なんて台詞回しは口にしない。
おまけに当初は「ターザン刑事」とよばれ、どうにか「ドーベルマン刑事」と呼ばれるようになるのが後半にさしかかってから。しかも「沖縄限定」でそう呼ばれているらしい。
ラスト近くの松方弘樹対千葉真一の拳銃戦は、どっかのやくざ映画とみまごうばかりの大迫力。このあたりはさすが深作欣二!
そして、失意にまみれた?加納は黒豚と共に去っていく…というわけで人は死んでも黒豚は死んでない。ここまで黒豚に固執する意味は?
とにかく前日譚と言われても、この映画の加納がどうなったら原作のキャラみたいに、ワイルドに変化していくのかは、本編では一切語られていないので、原作を知ってみていると「???」しかでてこない。
サニー千葉というキャスティングはなかなかドーベルマン刑事っぽいワイルドさは感じられるし、悪くない配役なんだけど、なぜ原作を改変してまでこの作品を作ったのか、意図がまるで読めないのだ。
たぶん当時少年読者だったときにこれみていたら絶対トラウマになっていたなあ。原作好きだったし。
ちなみにこれを最初にみたのは、NHK-BS2が最初。今でも覚えているが、「101回目のプロポーズ」の最終回だけみて、あまりにつまんなくて、なんかないかなと思ってチャンネル変えていたらこれに遭遇した。
当時は放送禁止用語はすべて消されていたので、所々わからないところもあったのだが、今回のWOWOW版は完全放送。確かにカットするのも頷ける作品だったが...
まあひとことでいって、巨匠.深作欣二監督が「宇宙からのメッセージ」と並んでなんかの気の迷いで作ったとしか思えない映画だった。
気の迷いと言えば、この映画を2度もみている私も相当物好きではあるが(笑)