万国びっくり映画鑑賞記・少林寺 VS 忍者
2017/07/13
15年1月1日鑑賞。
中国拳法の達人アトウは、父親が日本から連れてきた娘ユミと恋に落ち、結婚する。幸せな結婚生活が送れると思いきや、ユミは朝から空手や柔道の稽古を始める。何とか中国拳法を習わせようとするアトウだが、ユミは日本の武道こそ最高と主張する。犬も喰わない夫婦喧嘩がいつしか日中武道対抗戦へとエスカレートしていく。(あらすじはYahoo映画より)
物語は日中の国際結婚をした夫婦の喧嘩がエスカレートしていく話で、日本人の娘を嫁にもらった主人公(リュー・チャーフィー =ゴードン・リュー)は毎朝武道の空手や柔道の稽古を始める新婚の妻が悩みの種。この水野結花さん演じる奥さんは、鎖鎌や手裏剣や刀などまで日本から取り寄せてどんどんエスカレート(税関どうやって通ったんだ???)。しまいには庭の壁や彫刻を稽古で破壊しはじめる・・・・。 中国の武術家の主人公とは、日中のどちらが強いかで意見が合わず奥さんは日本に帰ってしまう。
奥さんのご実家の方は、日本武道がバカにされたということで、日本武道の達人7人を送ることに。この達人たち、剣道、柔道、空手、意味不明の拳法、日本武道の最高峰である忍術を得意とする。このメンツが倉田保昭(忍者)、八名信夫(槍術)、空手、柔道、刀、ブルース・リーもどき、といった面々で、これら日本の武術家達がメンツをかけて主人公を倒す為に香港にやってくる・・・とただの夫婦喧嘩がいつの間にか両国の意地とプライドをかけた格闘技戦争になっていく・・・
どこからどう見てもツッコミどころが満載すぎて、いちいち文句を言っていたらきりがないタイプの作品。
途中、酔拳までマスターしてしまう主人公リュー・チャーフィーは足技をそれほど使わないし、スタント的な動きができないようなので、酔拳もジャッキーに比べるとイマイチパッとしない。
リュー・チャーフィー(ゴードン・リュー)はwikipediaによると
1955年に生まれ、幼い時から劉湛に師事した(しかし実際はラウ・カーリョンの指導を受けていた)。1971年に中学を卒業後、昼間は仕事をし、夜は劉湛の指導を受けた。
1973年、リュー・チャーフィーはラウ・カーリョン製作の映画『殺出重圍』に出演し、映画界に入った。その後、彼の紹介で張徹監督の率いる台湾の映画会社長弓電影公司に参加。しかしこのころ張徹監督はデビッド・チャン、ティ・ロンなど花形俳優を擁していたため、しばらくは重要な役どころが巡ってこなかった。1976年、彼は長弓電影公司での契約を終えて香港に戻り、義兄ラウ・カーリョンの監督する『ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳』で重要な役どころを演じるが、成功には至らなかった。1978年、『少林寺三十六房』にてようやくカンフースターの仲間入りを果たす。
この映画は大成功を収め、この年の香港十大映画にノミネートされたのみならず、外国でも上映され、この映画により、彼のスキンヘッドと仏僧のイメージは世界中に広まった。
1980年代、カンフー映画ブームの衰退とショウ・ブラザーズの消滅により、彼はアクション映画で悪役を演じたり、テレビへと転身した。2003年、彼はクエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』シリーズに出演し、パート1では悪役を、パート2では白眉の和尚役を演じている。
そうである。
ちなみに2011年9月、脳梗塞の発作を起こし、その際に階段から転倒した時の怪我がもとで、下半身不随になり、現在では車椅子での生活を余儀なくされているらしい。往年のスターがこうした晩年を過ごしているのはなんとかう淋しい気がする。
1979年といったらそのジャッキーやサモハンの「笑拳」やら「猿拳」が公開されていたんで、酔拳という目の付け所はいいんだけど、実態はただの夫婦喧嘩が発端のカンフー映画だし・・・・しかも誰も死なないというすごいスポーツマンシップな戦いになっているのは、斬新すぎる。
ラストは忍者の倉田保昭さん登場。ここで倉田さんの蟹形拳とリュウの鶴拳の対決に。しかし蟹拳はほぼ横歩きだし、真剣な戦いなのにどこか笑える。でも、さすがジャパニーズドラゴン倉田保昭!キレが半端ない!蟹ですら格好良く演じてしまうのは世界広しといえども倉田さん以上の方はいないと思う。考えてみたら敵役でもカンフー使いという役柄が多い倉田先生の忍者役というのはかなり珍しいかもしれない。
しかし一日一試合という既定の割には倉田戦は数試合やっていたような・・・・あと、夜中の12時すぎたら翌日扱いという名目で深夜まで時間を待って戦いを挑んだ柔道家・・・卑怯なんだか、律儀なんだかよくわからない。付属の予告編をみると柔道家は黒帯になってるんだけど、巻いている帯はオレンジだし、柔道という割には投げしか出さないというのも妙。この柔道家に対して胴着を脱いで、自分の体にオイルつけて投げられなくするリューの作戦は、どっかの総合格闘技で実際みたような・・・・まあ理にはかなってるんだよな。基本こっちは果し合いなんだし。卑怯もへったくれもない。
意外とブルースリーもどきがちゃんとしていて片手にヌンチャク、片手にトンファーという変則二刀流でこんなの日本にいるのか?と思ったけど、リュー・チャーフィーが使う三節棍との対決はそれなりにみてられているので、不思議っちゃ不思議。多分この映画の中で一番まともな対決がこれだと思う。リューのアクションで買えるとしたらこの三節棍のアクションにつきるだろう。これは正直うなるレベル。他は特にアレだけど・・・・
でも少林寺っていうけど、リューの技は実際少林拳ベースの中華拳法と考えたほうがいいみたいだし、基本カンフーにあわせた殺陣なんでどうしても日本サイドの分が悪いのは仕方ない。むしろ香港映画でも反日が主流の時代の中にあって倉田さんが、公正明大な役柄でかつ日本語と広東語を駆使して出演している貴重な作品でもある。ただ、日本人妻と倉田さんの会話までなぜ広東語なのかは意味不明。しかも会話してる場所日本だし・・・・
なお、余談だが劇中のリュー・チャーフィーの頭髪がなんか変だと思ったらやっぱヅラだったらしい。そこばかり気にしてると本編がみられないけど(笑)