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[心理×びっくり映画] 万国びっくり映画鑑賞記・ナチス・イン・センター・オブ・ジ・アース

2016/10/18

南極のクィーン・モード・ランドの永久凍土を掘削調査を行っていた2人の調査員が行方不明になるという事故が発生する。南極基地の監視官で生物学者でもあるレイスタッド博士は、調査員を探す為に捜索隊とともに掘削現場に向かうが、現場で『何者かが引きずられたような跡』を発見。原因を突き止めるために後を追った彼らは、その先で遥か地底へと続く巨大な洞窟へと到着する。

彼らは、仲間を救うために謎の洞窟へと侵入する事となるが、その場所で彼らが見たものは、巨大な地底の空洞世界『アガルタ』と『ナチスの軍服を着た謎の集団』の姿だった…

「センター・オブ・ジ・アース」と「アイアンスカイ」の設定をパクってくっ付けてた、これぞパクリと言う感じのストーリーは、簡単に言うと「地底世界に逃げ延びたナチスが、こっそり秘密基地を作ってヒットラーをサイボーグ化して復活させてました」といった内容。設定だけ聞くと物凄く奇想天外で面白そう・・・・まさに万国びっくり映画の匂いがプンプン。

しかし、特に序盤から中盤にかけての爽快感の無さがおびただしい。中途半端に出来のいい特殊造形やCGのせいでとんでもなくグロなシーンがこれでもかと続いてくるので、正直辟易してくる。たとえばナチスの科学者が捕虜にした人間の皮を剥いだり、脳みそを引きずり出したりするような場面が連続して描かれて、序盤はさながらホラー映画の様相。ナチスの異常性や残酷さを描きたいのだとしても、あまりにグロ描写に力が入りすぎていて主題が伝わらないという困った事態に・・・・

で、その要因は特殊メイクにとどまらない。戦犯は一にも二にも微妙なストーリー。こちらも盛り上げ方がなんともいえない微妙さ加減。さしたる伏線も無く急展開する場当たり的なお話に加えて、緊迫感の無いアクションシーンと、メリハリに欠けるスペクタクルシーンが、お金かかっているのに明らかに使い方を間違っているようにしかみえないので、本当に頭を抱えてしまう。

終盤に登場するナチスの巨大UFOが出現したり、ヒットラーが頭以外ロボ化して登場したりして、やっと面白い展開になりかかるが、ラストの戦闘も殆ど山場も無くナチのUFOはあわれ撃墜!いや、ここまでやるならもっとUFOをトンデモ兵器にして現代兵器を片っ端から粉砕してほしかったなあ。「センター・オブ・ジ・アース」という表題ほどには、世界を股にかけてもいない。だいたい南極の一部でしか戦いも展開しないし。

ラストで撃ち落とされてしまうUFOの造形は、また低予算の割にはよくできていて、多分ここと前半の特殊メイクに予算をつぎ込んでしまったのか?映像が全体的にショボくてナチスの基地が秘密基地というより、どこかの廃倉庫にしか見えなかったり、何千人も居るように描写されているナチスの兵士が「常に4人ぐらい」しか画面に登場しないとか(しかも全員なぜかガスマスクをかぶっているので、だれがだれかは全くわからない。余計ショッカーの戦闘員みたいになっている)、とにかく世界を制覇しようという意気込みの割にはチープすぎるのだ。

とはいえ、ほとんどお笑いメカと化した総統の無駄にすごい能力は一見の価値があるだろう。特に胸から発射されるビームで戦闘機を地上から撃ち落としたり、考えられないくらいの敏捷性だったり、このメカ総統の活躍がある意味、この映画の一番の見せ場かも。前半がグロ&スプラッタなのに、後半は苦笑いになってしまうのも、このメカ総統が中途半端な愛嬌をもっているせいかもしれない。

よくよく考えてみると、復活した幹部が人間体を保っているのに、総統だけこんな中途半端な戦闘マシーンにしてしまっている時点で、敬意があるのやらないのやらかなり疑わしいし、なんか人体使ってお遊びしたいだけの科学者によってナチスも総統も実は手玉に取られていたのではないか?と勘繰りたくなるが、そうでも考えないとメカ総統にしてまでヒットラーを復活させたメリットがないしなあ。

まあまじめに考えるとバカをみるという点ではB級映画なんだけど、見終わっても爽快感も失笑もえられない類の一番困ったタイプの作品かもしれない。

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