[映画鑑賞記] 冴えない彼女の育てかた Fine
ある春の日、安芸倫也は桜舞う坂道で運命的に出会った少女・加藤恵をメインヒロインにした同人ゲームを制作することを思いつく。美術部に所属していながら、同人イラストレーターとして活動する澤村・スペンサー・英梨々と、学年一位の優等生でありながら、ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、blessing softwareを結成。やっとのことで一作目を発表した──。
英梨々と詩羽は大作ゲーム『フィールズ・クロニクル』を開発するために、人気クリエイターの紅坂朱音のもとへ。blessing software代表の倫也はサークル活動を継続し、副代表の恵とともに新作の開発を開始した。イラストレーターに後輩・波島出海を起用、プロデューサーを出海の兄・伊織へ依頼し、氷堂美智留と彼女のバンドicy tailとともに新作の開発を進めるが……。(あらすじは公式HPより)
「予習」なしにみてしまうと
冴えカノ完結篇にして待望の映画化。待望とは書いたけど、テレビの続きが映画でしか見られないというのは、やはりもやもやするものがある。ましてや二期が結構もやっとした感じで終わっていたので、余計に。
そもそも「冴えない彼女の育て方♭」をみたのもずいぶん前なんで、「予習」なしに本編をみてしまうとキャラクターの相関性とかをかなり忘れてしまっていた。
映画がはじまってしばらくはクエスチョンマークだらけになってしまったので、整理するのに時間を食ったけど、思い出せたらそこからは楽しんでみることができた。
やっぱ、この作品の肝は「冴えない彼女」という新しいヒロイン像が秀逸であることに尽きると思う。その魅力は余すところなく発揮されていたので、正直あれだけめんどくさい女である加藤恵に思わず惚れそうになってしまった。これはわかっていてもしてやられたところ。
だけど、ラブコメっていうのはその面倒くささが美味しいわけで、そこに潔いくらい全振りしてきた「冴えない彼女の育てかた Fine」の狙いは間違ってはいなかったと思う。
加藤恵の可愛さは群を抜いて
テレビシリーズ計2クールで、唯一目立った才能が無い普通の女の子でありながら、抑えてきた感情のインパクトある露出によって存在感を示したメインヒロイン加藤恵。
だが、「冴えない彼女の育てかた Fine」での加藤恵の可愛さは群を抜いており、ここまで徹底したあざとい可愛さは見事としか言いようがない。まさに主人公・倫也が力説する「オタクにとっての理想的なヒロイン」そのものである。
私が萌えて悶えて魅せられる「恋する女の子キャラ」を描き上げる為に構築されたといってもいい出来栄えには、わかっていても「騙されてしまう」!これはもはや逆らえない!悔しいけれど逆らえないのだ!
ただ、ひとつだけいいたいことがあるとしたら、加藤恵推しの人以外はもしかしたら微妙になるかもしれないなあというところ。特に恵梨々と詩羽を推している人にはもしかしたらつらい物語かもしれない。
そう思えるくらい本当に声優さんたちが絵に負けじと渾身の演技で応えているのが、素晴らしい相乗効果を生んでいる。
全く付け入る隙はなかった
「冴えない彼女の育てかた」って変な話、実写でやっても(キャスト次第では)できなくもないかなと、テレビシリーズ見ているときは思っていた。
ぶっちゃけノイタミナだし、アニメ化⇔実写化という事例はたくさんある枠だし。でもこの映画を見た今だから思う。「冴えカノの実写化は無理!」だと。
加藤恵については散々書いてきたけど、実はほかのメンバーも同じくらいかそれ以上に魅力的に描いているのが、「冴えない彼女の育てかた Fine」なのである。そして、「Fine」というくらいだから「続編も無理」な作品になってもいる。
本当は私、ラブコメ苦手だし、見終わったらなんか突っ込んでやろうと思っていたんだけど、全く付け入る隙はなかった。
「冴えない彼女の育てかた」は、この映画のために原作もテレビシリーズもあったのだとしか思えない。もし冴えカノの真の完結がみたいなら、悔しいけど劇場に足を運ぶしかないのだ、というのが見終わった後の結論だった。
恐れ入りました・・・・。