[アニメ感想] 2019年夏アニメ完走分感想文彼方のアストラ
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、
9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。
宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、
予想外の事態とは……!?「マンガ大賞2019」大賞を受賞!
『SKET DANCE』の篠原健太が描く大人気SFサバイバルストーリーが
待望のTVアニメ化決定!(あらすじは公式HPより)
どきどきしながら・・・
まず、序盤を見ていて連想したのはかのSFジュブナイルの大傑作「11人いる!」。誰しもがあの萩尾望都御大の名作を想像した人は多かっただろう。私ももちろんその一人である。ただし、彼方のアストラは回が進むにつれて、だんだん違う方向に向いていくので、そのあたりの心配はないと思う。
演出も全体通して素晴らしかった。正直どきどきしながら続きを楽しみにしていた。
最終回まで見た感想は、思った以上に色々な要素を詰め込んだストーリーで、しかも最後まで飽きなかったということ。
話自体は重くなってもおかしくないのに、徹底して明るい雰囲気にしていたので楽しかった。これは原作からして意図してやっているのだろう。
メンバーもだんだんと前向きになり、自身を肯定し「自分」になっていくのが納得できる形で描かれているのがその証拠。ただ、全員が若い割にはなぜかとても達観しているのが、ひっかかるといったらひっかかるかもしれない。
割り切った結果
それゆえ、人間関係がスムーズに行きすぎてるかな?と思う箇所もあったけど、回を重ねるごとに明かされる状況と家庭環境などを考慮すると無理もないだろう。何より原作者が「彼方のアストラ」を暗い鬱屈した物語にしたくなかったのだろう。そういう強い意思みたいなものを物語からは感じ取ることができた。
SF的にどーのこーのいわれている惑星探査に関しては、サバイバルの厳しさよりも惑星の特徴やそこでの行動を通して、キャラクターの魅力を描き出すことを重視していた感じで、これはこれで成功していると思う。
SFサバイバルはあくまでもギミックという感じにしたのは、割り切った結果だと思われるし、その方が「彼方のアストラ」にあう感じがする。何より青少年が命懸けで潜り抜けた冒険の先にあるのが不幸なラストだと、まるで冨野アニメみたいだし、そういうのをジャンプが載せるとも思えない。
物足りない点も・・・
ただ、最終回は一時間もとったわりに、最後の方は割とあっさりめで、それぞれ自分のオリジナルである親との対話シーンが(ウルガーだけあったが)なく、家に帰ってからどんなふうに決着をつけていったのか?が画面ではわからなかったところが、少しもやっとはした。もはや想像で補うしかないのだが、そこだけはちょっと物足りない感じがした。
とはいえ、SFというより少年少女向け密室ミステリーとしてみるとかなり上質な作品ではある。できたら一気見してもいいかもしれない。ただし一話と最終回は一時間スペシャルなんで、実質14話だと思ってみていただきたい。