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[映画鑑賞記] マジンガーZ INFINITY

18年1月19日鑑賞。

永井豪が1972年に「週刊少年ジャンプ」で連載した漫画を原作に、巨大ロボットにパイロットが乗り込んで戦うという搭乗型巨大ロボットの元祖となったアニメ「マジンガーZ」を、30年以上の時を経て劇場アニメ化。72~74年に放送されたテレビアニメから10年後の世界を舞台に、主人公・兜甲児とマジンガーZの新たな戦いを描く。かつてスーパーロボットのマジンガーZを操り、悪の科学者Dr.ヘル率いる地下帝国の野望から人類を救った兜甲児は、あれから10年がたち、いまは祖父や父のように科学者の道を歩み始めていた。そんな折、富士山の地中深くに謎の巨大構造物と生命反応が確認され、時を同じくして機械獣やDr.ヘルが再び姿を現す。声優は、兜甲児役に森久保祥太郎、弓さやか役に茅野愛衣、劇場版オリジナルキャラクターのリサ役に上坂すみれ。また、テレビアニメ版で兜甲児と弓さやかを演じた石丸博也、松島みのりも出演。主題歌もテレビアニメ版の水木一郎が再登板した。(解説は映画.comより)

マジンガーのおもひでぽろぽろ

マジンガーZの実に45年ぶりとなる新作劇場版作品。「マジンガーZ対デビルマン」や、「マジンガーZ対暗黒大将軍」に胸躍らせた「東映まんがまつりチルドレン」でもあり、テレビマガジンのマジンガーズクラブにも加入していた私が行かないわけにはいかない映画である。

とかいいながら、実は裏番組の日テレ版ドラえもんを見ていた私はマジンガーZの冒頭部分をリアルタイムではみていない。…という内容をツイートしたら、 鑑賞後、infinityの助監督である、なかの☆陽さんにリツイートされていた(笑)たまに有名人にリツイートされると、小心者の私は嬉しいやら恥ずかしいやらで、複雑な気分になる。

だが、好事魔多しとはこのこと!なぜか入場者プレゼントはあるのに、パンフは売り切れ!北九州で、マジンガーZは二館で上映されているのに、両方とも売り切れ!そりゃないわ!楽しみにしてきたのに!公開から一週間たってないのに…。

とまあ、出鼻は挫かれたものの、冒頭から機械獣の大群とグレートマジンガーが闘う図を見せられては心踊らずにはいられない。新生マジンガーはオールCGといいつつ、実に動きがセルチックで、これが長年CGと格闘してきた東映の技術力なんだなと思い知らせれた。

余談だが、ジブリ映画にもなった「おもひでぽろぽろ」の作画を手掛けた刀根夕子さんは、アニメーター時代に、マジンガーZを描いていたそうで、なかなか上手く描けなかったという話を、自作の中で披露している。昭和40年代にあの線の多さは確かにアニメーター泣かせだったのかもしれない。そう思うと隔世の感がある。

自分が選び取った世界

物語の基本構造である多元宇宙理論=パラレルワールドは、最近東映が実写、アニメ問わずやたら好んで使っている設定だが、おかげで兜甲児が研究者の道に進みながら、変な円盤に乗って円盤獣にやられては、グレンダイザーに助けられる未来をみなくて済んだという意味では、パラレルワールド様々である。

フランスやイランの人には申し訳ないが、私のヒーローである兜甲児をぞんざいに扱ったグレンダイザーはどうしても許せない作品なのである。だからこそ、今回、グレートを脇に追いやってでも、マジンガーZが主役を勝ち得たことがうれしくてならないのだ。

多少ネタバレになるかもしれないが、多くの選択肢の中で選び取った世界の一つを、飽きたからといって一からつくりなおそうとするドクターヘルと、こん畜生と思うことがあっても、この世界を肯定しようとする兜甲児は同じ軸にいるようで違う。マジンガーインフィニティの上で激闘を繰り広げるヘルと甲児は、構図的には同一線上にいながら、見ているものが全然違う。単に善悪二元では語ることができない複雑な世の中だからこそ、ドクターヘルの「世界征服」を現代の言葉で置き換えたことは、この映画を作った最も意義深いことだと思う。

単なるノスタルジック映画ではなく、きちんと現代に通用するテーマにおきかえたからこそ、45年ぶりに復活した価値があるのだと思う。そうでないと、いわば「ガンダム以前」の「旧世代ロボットアニメ」にくくられるマジンガーZを現代によみがえらせる意味がない。実際、マジンガーの量産型ロボット「イチナナ式」に兜シローが乗っていたり、マジンガールズが乗り込む「ビューナスA軍団」など、ガンダム以降のアイディア(そもそもマジンガーZの時代には「量産型」という発想自体がなかった)も活用されている。

譲れなかった一線、だけど・・・

強いて不満を述べるとすると、再生された機械獣が再登場すると雑魚キャラに格下げになってしまうのが、往年の活躍を知るものとしては少々悲しかったりする。そもそも最後の見どころとして第三の魔神「インフィニティ」が出る以上、彼らが前座に甘んじるのは仕方ないところではあるのだが、個人的には永井豪さんがロボットの形を借りて毎週繰り広げていた「ロボットプロレス」の味わいがもう少し欲しかったかな。そういう意味で言うと、マジンガーZ INFINITYは、脱ロボットプロレスという図式になっており、これは劇場という公開方法と照らし合わせてもやむをえないともいえる。


要するに、9歳のころから今に至るまで、一貫してマジンガーZを愛し続けてきた私にも譲れない一線があるように、かつて東映まんがまつりに足を運んだであろう同年代の一人一人に、こだわりのマジンガーがあるはず。そのすべてに応えるのは不可能だとしても、マジンガーZ INFINITYは、できるだけその想いを形にしようと頑張ってくれた。その気持ちだけでも十分うれしいと私は思っている。










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