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[映画鑑賞記] ゴジラ・ザ・キング・オブ・モンスターズ

日本が生んだ怪獣王ゴジラをハリウッドが映画化した「GODZILLA ゴジラ」(2014)のシリーズ第2作。前作から5年後の世界を舞台に、モスラ、ラドン、キングギドラなど続々と復活する神話時代の怪獣たちとゴジラが、世界の覇権をかけて戦いを繰り広げる。また、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようと、未確認生物特務機関「モナーク」に属する人々が奮闘する姿を描く。「X-MEN:アポカリプス」「スーパーマン リターンズ」などで原案や脚本を担当してきたマイケル・ドハティが、脚本を手がけたほか自らメガホンもとった。前作から引き続き、芹沢猪四郎博士役を演じた渡辺謙が出演するほか、カイル・チャンドラー、ベラ・ファーミガ、サリー・ホーキンス、チャン・ツィイー、大人気ドラマ「ストレンジャー・シングス」のミリー・ボビー・ブラウンらが共演。(解説は映画comより)

気持ちはわかるんだけど

ゴジラ生誕65周年記念作にして、レジェンダリーの二作目になるのが「ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ(Godzilla: King of the Monsters)である。

私は、どうしてもゴジラ映画に関しては俯瞰で見る事が難しいため、以下に書くことは全て主観になる。元々映画鑑賞記は私の主観そのものではあるんだが、他の映画作品がより客観的であろうとする姿勢を、ゴジラ映画は完全に放棄して見るようにしているため、わざとそうしている。

ちなみに、私の主観でいうとファーストゴジラとシン・ゴジラは別格として、昭和なら三大怪獣地球最大の決戦、平成ならすゴジラファイナルウォーズをベストである、と考えている。

そんな私がレジェンダリーゴジラをどうみているか?一言で言うと「気持ちはわかるんだけど、これじゃない」ということになる。もちろんレジェンダリーゴジラが、本家を崇拝しており、ハンパないリスペクトがあるのは、重々承知している。が、それでもレジェンダリーゴジラは「これじゃない」のだ。2014年版を混ぜると話がややこしくなるので、今回のキングオブモンスターズに限って、私が感じた問題点を上げていこう。

①核問題が環境問題にすり替えられている
②CGがリアルすぎる
③怪獣同士がいうほどプロレスしてない

バックボーンは怨念

①はレジェンダリーゴジラ最大の欠点になると私は思っていて、2014年版もそうだったのだが、核と環境は問題としてはニアイコールであってイコールではない。第二次大戦での核投下、そして第五福竜丸事件を経て、誕生したゴジラは戦争や核に対する「怨念」がバックボーンにあるはず。

確かに監督はじめレジェンダリースタッフはそれを「頭では理解している」。しかし、腹の底から理解はできない。母親がベトナム人であるマイケル・ドハディ監督は、アジアにルーツはある。しかし、核に対する捉え方はやはりアメリカ人のそれだとしかいいようがない。

確かに環境問題は現代の社会において重要な問題ではある。それは否定しない。だが、怨念が絡むかどうかはまた別な問題。本来ゴジラとは怨念が具現化したもので、大自然の代表とは少し趣が異なる。レジェンダリーゴジラは、人間に審判を下す神のような存在だが、東宝ゴジラは大自然の脅威でありながら、核の犠牲者という哀しみも背景にある。それが大きな違いだと私は思っている。

②はあまりにリアルに寄せすぎたせいで、キングギドラの鳴き声までがリアルに変わらざるを得なかったところ。やはりキングギドラはあの甲高い金属的で効果音のような声が馴染むので、リアルドラゴンのようにされてしまうと違和感がハンパない。

しかもリアル感を出そうとしているせいか、怪獣バトルのシーンはどれも暗い!怪獣登場シーンは、すべて夜とか嵐とかで、怪獣のディテールはさっぱりわからないというありさま。これではカタルシスも得にくいのだ。このあたりもアメリカ人と日本人の感覚の違いなのかもしれない。

だから、ゴジラキングオブモンスターズは、非常によくできたVFX作品ではあるのだが、特撮作品のもつなんとも言えない味わいまで消してしまっているのだ。これはアニメ版ゴジラにも言えることだが、いきすぎた3D作品は結局作品の空気感もぶち壊してしまいかねない。ある種のフェイクを混ぜることが、レジェンダリーゴジラには必要だと私は感じている。

やはり違和感が・・・

③は、私がプロレスファンだから気になる部分なんだが、怪獣同士が争っている場所に人間が割り込んで行く場面が、キングオブモンスターズでは多々見られた。それが視覚的に邪魔で仕方ない。

本物のプロレスを見ていればわかるが、リングの上には基本プロレスラーとレフェリーしかいない。試合中に度々観客が介入してきたら、ほかのお客さんから大ブーイングだろう。詳しくはネタバレになるから書かないが、キングオブモンスターズでは怪獣プロレスの途中で、人間にカメラが移る場面が多々あって、それが怪獣プロレスを楽しみたい私にはノイズにしかならなかったという事なのである。言いがかりに近いかもしれないが、怪獣が闘っているのに足元をちょろちょろされるのは、どうも納得がいかない。

最初にも述べたように、レジェンダリーゴジラにはオリジナルゴジラに対する敬意がハンパない。わざわざ伊福部昭さんのゴジラのテーマと、古関裕而さんのモスラのテーマが取り込まれて使用されているし、チャン・ツィイーが演じたチャン博士が双子設定なのも、インファント島の小美人由来だし、その気持ちは痛いくらいわかるのだ。

だが、今回のゴジラキングオブモンスターズではそれが裏目に出たとしか言いようがない。シン・ゴジラでは音楽を新録音しながら、結局オリジナル音源を使用した経緯があるけど、オリジナルスコアと今回用意された楽曲とが微妙にハレーションをおこしているのだ。確かに耳馴染んだフレーズが聞こえてくるのはテンションがあがるんだけど、あまりに緻密でリアルなレジェンダリーゴジラとは違和感しか生まなかった気がする。

とにかく出来はいいのに、なぜかこれじゃない感がまとわりついて、私にはやはり違和感しか感じられなかった。ゴジラが世界標準になるにあたり、これは今後も永遠に付いて回る問題なんだろうなあ。

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