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[映画鑑賞記] 劇場版シティーハンター・新宿プライベートアイズ

裏社会ナンバーワンの腕をもつシティーハンター冴羽獠は、普段は新宿に事務所を構え、相棒の槇村香と様々な依頼を受けている。

そこに、何者かに襲われたモデル・進藤亜衣がボディーガードを依頼にやってきた。
美女の依頼を快諾した獠だが、撮影スタジオで更衣室を覗いたり、もっこり全開のやりたい放題…。

亜衣がキャンペーンモデルを務めるIT企業の社長・御国真司は、なんと香の幼馴染。
撮影現場で久々に香と再会した御国は彼女をデートに誘う。

しかし、獠は香に無関心で亜衣にスケベ心丸出し…。
一方、海坊主と美樹は傭兵が新宿に集結する、という情報を入手した。そして、傭兵達は何故か亜衣を狙うのだった…

敵の正体を探る冴子が直面する巨大な陰謀!
来日する大物武器商人・ヴィンス・イングラードと最新兵器――

御国の登場により、すれ違う獠と香。
シティーハンターは亜衣と新宿を護りぬくことができるのか!?(あらすじは公式HPより)

見事なオッさんホイホイ

アニメ版シティーハンターの、なんと23年ぶりになる完全新作!それも往年のスタッフ・キャストが総結集したのが、本作「新宿プライベートアイズ」である。

ところが、公開初日は思った以上に観客がたくさんいて、それにびびった私は同日公開になる「幼女戦記」を選択した。これはこれで間違いではなかったのだが、そのおかげでシティーハンターは一週遅れで鑑賞することになった。

というわけで、満を持して観に行ったのだが、見終わった感想としては「見事なオッさんホイホイだな」ということがまず浮かんだ。敢えて現代を舞台に、原作連載時の新宿ではなく、21世紀の新宿を丁寧に描きあげているのだが、その中にあっても、冴羽獠はじめとする登場人物が全く色あせていない!これはおそるべき事である。

特にオリジナルキャストを揃えた場合、どうしても経年劣化という問題が立ちふさがるのだが、ほとんどのキャストの方が、その難問をクリアしていたのは、驚嘆に値するとおもう。中でも御歳72にして、主人公・冴羽獠を演じる神谷明さんの若々しい声といったらどうだ!

確かに音響が良い分、よく聞くとやはり全盛期よりは落ちている印象があるけど、神谷さん自身が最もアブラの乗り切っていた40代の演技を、70代で再現されている努力には、脱帽するほかない。

80年代と、21世紀の橋渡し

そして、これだけの錚々たる顔ぶれが混じる中でゲスト声優として、進藤亜衣役を演じ切った飯豊まりえさんの演技にも唸らされた。聞けば声優初挑戦という事だが、プロの声優でなくても、上手い人は上手いんだなあ、という印象が残った。

なんといっても、この映画の前にアニメ版シティーハンターが作られたのは、1999年(テレビスペシャル「シティーハンター 緊急生中継!? 凶悪犯冴羽獠の最期」)。

1998年生まれの飯豊さんは当時まだ一歳!しかも、テレビシリーズで端役を多くこなして来た山寺宏一さん(御国真司役)が、駆け出しの若手だったころである。こう考えると時の流れの重みを痛感させられるものである。

飯豊さんの起用は、単なる話題造りのみならず、シティーハンターが放送されていた80年代と、21世紀になった現代の橋渡しもしていた、と私は思う。もちろん彼女が演じた亜衣が、文字通りストーリーのキーにもなっていたし、それを熱演で支えたのだから、飯豊まりえという役者、本当に恐ろしい20代である。

そして何よりオッさんホイホイだったのが、数々の名曲を世に出したシティーハンターの主題歌・挿入歌のうち、人気の高い楽曲が全て網羅されて使われていたこと!詳しくは書けないけど、この場面にあった選曲の仕事はまさに神の領域である。

個人的な「泣きポイント」

笑ったのは、放送当時から物議を醸し出していた、小室哲哉さんが自ら歌唱している「RUNNING TO HORIZON」。これがまた効果的に使われていて、思わず「上手い音響アレンジしてるなあ」と感心してしまった(笑)

なんせ小室さんご本人がネタにするくらい「微妙な音程」の歌である「RUNNING TO HORIZON」を格好良く劇場で聞けるなんて、ある意味奇跡に等しいとさえ思うのだ。これもいい仕事しているなあと感嘆したところだった。

そして、個人的な「泣きポイント」は意外にも「City Hunter ~愛よ消えないで~」!不覚にも私としては完全に油断していたタイミングで流れてきた。この初代オープニングを飾った小比類巻かほるさんの歌は、ともするとGET WILDの人気に隠れがちなんだけど、名曲には違いない。今回それを痛切に感じされられた。これには一本とられたなあ。

楽曲に関しては、公開前からすでにエンディングがTMネットワークの「GET WILD」になることは発表済み。しか新録音ではなく当時の音源をそのまま使うことになっていて、実はその時点で結構ハードルが上がっていたのが、エンディングだったのである。

「GET WILD」がエンディングの一択になったことに関しては意義はなかったのだが、なんせシティーハンターの楽曲はどれもこれも名曲ぞろい。なかでも同じTMネットワークが手掛けた「STILL LOVE HER (失われた風景)」も根強い人気を誇っており、果たしてこの2曲がどう使われるのか?ファンも注目していただろうと想像していた。

これぞ、シティーハンター

で、劇中でこの2曲がどう使われていたかは、ネタバレになるので伏せておくが、個人的にはテレビシリーズだと、大滝裕子さんの「MR.PRIVATE EYE」からの「GET WILD」が無双だと思っていて、「GET WILD」のあのイントロを印象付けるために、わざとエンディング手前にはBGMを流さないという演出は、テレビ版放送当時から「ややあざとい」と感じていた少数派でもある。

特に今回は副題で「新宿プライベートアイズ」というタイトルがついているので、「私的無双のエンディング」を期待していたのだが、残念ながらそれはなし。

でも、劇場版でしかできないエンディングだったので、そんなに不満があるわけでもない、というのは偽らざる気持ちである。実際、サントラ購入を本気で考えるくらい(テレビ版のサントラも放送当時買ってもっているのだが・・・)音楽に関しては文句のつけようがなかった。

というか、作中で徹頭徹尾「これぞ、シティーハンター」という内容を見せられては、文句の言いようがないというのが正直なところ。エンディングに関しての私の注文は、ともすれば難癖レベルでしかない。現代にもシティーハンターは古びず、しっかりと今という時間の中で息づいていた。これは本当にすごいことだと私は思う。

「劇場版シティーハンター・新宿プライベートアイズ」が、決して懐古厨を満足させるためだけの作品でないことは、初動の興行収入が示していよう。今後とも23年といわず、短いスパンで新作を見てみたいと願わずにはいられない作品だった。





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