[映画鑑賞記] Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow
2018/10/28
呪いの元凶である魔獣ウルガルムを打ち倒し、アーラム村の子供たちを救ったスバルたち。やっと訪れた平穏も束の間、スバルは誰にも知られてはならない、とある極秘ミッションに挑んでいた。しかし変装していたにも関わらず、すぐにペトラを始め、村の子供たちに正体がバレてしまうスバル。開始5秒でバレてしまったミッションとは、エミリアとのデートコースの下見で……。(あらすじは公式HPより)
一見さんはテレビシリーズを観てから
元々「Re:ゼロから始める異世界生活(リゼロ)」 の新作はOVAという触れ込みで作られており、劇場公開はその後に決まった。まあ、OVA黎明期からこうしたケースは割とある。メガゾーン23のパート1なんかは広島の映画館で見た記憶もあるし。
リゼロのテレビシリーズは割ときれいに終わった印象があるので、新作作るなら番外編的な作品になるだろうという予想はしていた。あるいは噂される二期への繋ぎになるか。
一番見たくないのは最初の劇場版中二病でも恋がしたい!(小鳥遊六花・改)みたいな本当にどうでもいい番外編(しかも総集編だし)というのが最も腑に落ちないケースになる。
最低限完全新作であり、できれば劇場版なりOVAなりでストーリーが完結していることが望ましい。劇場版魔法少女まどか☆マギカは総集編二本と、新作一本という形で、初心者向けの対応をしていたが、リゼロの場合は単体での上映。となると一見さんはとりあえずテレビシリーズを観てから劇場に行くのがベストな選択になるだろう。
予想以上に「何もおきなかった」
さて、待望の新作である「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」であるが、テレビシリーズもある程度の高いクオリティで作られていたので、アラらしいアラはないだろうという予想もしていた。
だが、「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」では、正直私は寝落ちしてしまった。テレビシリーズがなかなかハードなストーリーだったんで、たまには箸休め的なほんわかしたお話も悪くはないんだろうけど、それ以上でもそれ以下でもないため、結果的に寝落ちする羽目になったのだ。
まあ、覚えている範囲で「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」のよかった点を挙げると、ラム&レム姉妹がテレビ版に増してあざと可愛い扱いでほぼ正ヒロインとして描かれていた点くらい。特にレムがスバルにぞっこんなのが実に素晴らしい。
パンフを読むと、リゼロでお馴染みの「死に戻り」は、スタッフの精神的負担が大きいので、OVAは楽しくするというのは、既定路線であったらしい。原作でも映画のエピソードはえがかれているそうだが、テレビシリーズでは尺の都合上泣く泣くカットせざるを得なかったらしい。とはいえ、こうした日常パートは死に戻りというハードな側面と対比になっているため、全くいらないかといえばそうではない。
大スクリーンでみる作品としては
しかし、「死に戻り」とセットなら生きるエピソードでも、それを単体で作品にするというだけでは、映画としては弱い。OVAとしてはテレビシリーズの補完としての役割は果たしているが、大スクリーンでみる作品としては、物足らなくなるのも仕方ないのだ。
「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」を見終わって、適材適所という言葉がこれほど刺さるとは思わなかった。しかも駄作とは認定しにくい出来だったのも余計にモヤモヤ感を強めてしまった。
ちなみにリゼロのOVAは二本あるそうで、二部はエミリアの過去語りが中心に描かれるそうだ。多分劇場アニメとしては微妙になるだろうが、テレビシリーズを見ていた層に対しては刺さる作品にはなるだろう。
「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」は、なまじ丁寧に作られた番外編なんで、レムもしくはラムを愛でるためだけなら、これ以上の映画はないとおもう。しかし、テレビシリーズと同様のスリリングな展開を映画に望む層には「見ない方がいい」としか言いようがない。
「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」は劇場版という過度な期待はせずに、あくまでOVAなんだ、という前提さえ崩さなければ、大禍ないだろう。寝落ちするかどうかは保証しないけど、私としては、テレビシリーズから派生した作品には得てしてこういう事が起こりがちになるのは仕方ないという結論に至って、自分を納得させた。