[アニメ感想] 2018年春アニメ完走分感想文 ヒナまつり
2018/07/04
若手ヤクザの新田の部屋に、突如として現れた楕円形の物体。その物体には超能力者であるヒナがくるまれていた。新田は超能力を恐れヒナを家から追い出すことが出来ず、ヒナはそのまま住み着いてしまう。しかし、ずぼらで何も出来ないヒナについつい新田は世話を焼き、同時にヒナは自分の超能力を利用しようとしない新田を信頼していく。
そんな中、新田の所属する暴力団の組長が襲われ、新田は若頭に相手の暴力団に1人で殴り込めと命じられる。新田がどう一人で乗り込むか考えていると、ヒナが自ら協力を申し出る。新田はその申し出を断ろうとしたが、ヒナは従わず敵の暴力団事務所に乗り込み壊滅させた。このことに恩を感じた新田は正式にヒナと一緒に暮らすことになり、常識知らずの超能力者ヒナと、それに振り回されるヤクザの新田と周囲の人々のドタバタした結果オーライな日常が繰り広げられていく。
そんな日常の中、ヒナを始末しようと追う、もう1人の超能力者の少女アンズが現れた。アンズはヒナとの決闘の後、和解し元の世界に戻ろうとしたが、元の世界に戻る転送装置が壊れてしまい、彼女もまたドタバタした日常に巻き込まれていくことになる。(あらすじはwikipediaより)
仕事以上の「愛」
ある日突然現れた超能力少女と、ヤクザの若頭との、ちょっとホノボノするハートフルコメディ。2人の会話劇が原作でもキモになっているそうだが、アニメも結構忠実に再現しているらしい。原作未読の私でも、初見で十分に楽しめた。
セリフによる軽妙なやりとりも作品の魅力だが、実はキャストによるアドリブはほぼなく、スタッフサイドの演出に忠実に行われた結果だそうだ。
主役であるヒナと新田の声優さんは新人さんが起用されているが、単なるコストの問題ではなく、こうした演出意図によるものだとしたら、大したモノだと思う。ディレクションも綿密に行われたというが、同時に現場で起こる化学反応も大事にしてきたのだろう。
要するに絵からも声からも「やらされている感」が一切感じられない。仕事という物以上の「愛」にあふれた作品になっていたのは、たぶんそこなんだろう。
「中毒曲」のエンディング
とにかくスタッフ・キャストの「ヒナまつり」愛がすごすぎて、それが画面からひしひしと伝わってくる。こういうアニメかというのは、ありそうでなかなかない。幸せなことだと思う。
その幸せ感が結局単なるコメディではなく、どこか感動してしまう様子になっているのではないかと私は思っている。それを象徴しているのが、新田が歌っているキャラクターソングであり、エンディングでもある「鮭とイクラと893と娘」だったのではないか。
一聴するとムード歌謡のようであり、演歌っぽくも聞こえるのだが、歌詞の内容はんまんま「ヒナまつり」だし、あたかも新田が格好つけて歌っているかのようにも聞こえてくるから、これも一種の「中毒曲」といってもいいだろう。
SF色も薄めで、仁義系のバイオレンス色もそんなにない。でも面白いというのは、近年なかなかないタイプの作品ではないだろうか?今期の中では、間違いなく佳作だった。ぜひ、二期以降のアニメ化にも期待したい。