[アニメソング] アニメ的音楽徒然草 W-infinity
2017/11/04
今回は2000年10月よりテレビ東京系で放送された「GEAR戦士電童」のオープニングテーマ曲である「W-infinity」をご紹介します。W-infinityは今のようにワンクールごとにオープニングがかわることもなく、最後まで使われていました。オープニングが半年くらいで変わるケースは80年代から見られた傾向ですが「GEAR戦士電童」は2000年代の作品としては珍しいケースといえるでしょうね。
歌っているのは、90年代末から2000年代初頭にアニソン界を席巻していた歌姫・三重野瞳さんが、プリンス・影山ヒロノブさん(この時代はまだ「長老」とは呼ばれていなかったと記憶しています)の黄金コンビです。
ある意味2000年代初頭の最強タッグと呼ぶにふさわしい組み合わせでした。因みに、CDや歌詞サイトなどでの名義は「三重野瞳 with 影山ヒロノブ」となっています。この時代の三重野瞳さんの勢いを私は感じずにはいられませんね。
ちなみに、三重野瞳さんは、94年のデビューから、このW-infinity発売の2000年10月まで、実に14枚のシングル、6枚のアルバムを発表していますから、90年代を代表するアニソン歌手と呼んで間違いないと私は思います。
三重野瞳さんは歌手時代から作詞家としても活躍されていましたが、活躍のフィールドをアニメ脚本にまで広げ、今や「赤尾でこ」名義で、「荒川アンダーザブリッジ」シリーズや、「ノラガミ」「えとたま」などのシリーズ構成や、数々の人気作品を担当。いまや押しも押されぬアニメ脚本家としての地位も確立しています。アニメ界ではかなり変わり種とも言える「転身」ですね。
さて、本編のGEAR戦士電童についても触れておきましょう。新世紀GPXサイバーフォーミュラで人気を博した福田己津央監督はじめ、サイバーフォーミュラに参加したスタッフが結集して作られたGEAR戦士電童は、このあと作られる「機動戦士ガンダムSEED」シリーズにつながる作品とも言えます。
GEAR戦士電童は、ガンダムに比べると低年齢層をターゲットにしていますが、個人的には97年まで放送されていた「美少女戦士セーラームーン」のイメージがまだ色濃い時代に、三石琴乃さんを、主人公のひとり草薙北斗の母親にして、GEAR服司令官である、ベガこと草薙織江役に起用したことに大変驚いた記憶があります。
なんせつい数年前まで「月に向かっておしおきよ」と言っていた声優さんが母親役ですからね。そりゃびっくりもしますし、感慨深いものを感じたわけです。
しかし、三石さんはこのベガ役を転機にガンダムSEEDでは、女性艦長マリュー・ラミアス役で、脱ヒロインを果たします。だからこそ、後にセーラームーンcrystalで再び、月野うさぎ役に起用された際は逆に違和感を感じたほどでした。
GEAR戦士電童では、ベガのモチーフに使われたと思われる「ラ・セーヌの星」のシモーヌなどをはじめ、過去のサンライズ作品に出てきた名称やキャラクターがオマージュとして登場しています。
時代的には大人気作であるサイバーフォーミュラシリーズと、ガンダムSEEDシリーズに挟まれているせいか、今ひとつ評価されていない感じがする「GEAR戦士電童」ですが、私的には前後二作のシリーズよりも、GEAR戦士電童の方がお気に入りであるため、今回取り上げてみたわけなのです。
