[プロレス観戦記] DRAGON GATE福岡国際センターTHE FINAL GATE~

DRAGON GATE@福岡国際センターTHE FINAL GATE(2015年12月27日:福岡国際センター)

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イントロダクション

一年以上前に約束していた講座とドラゲー最終戦が今年はバッティング。だが、正直CIMA対鷹木というのは、昨年の鷹木対ハルクに比べるとカード的に引きが弱い。やはり団体の未来を占う戦いに比べると、今年のカードだと、現王者敗北なら時計の針が逆向きになりかねないわけで、あまり魅力的とは言い難かった。

とはいえ、38歳でもすでにロートル扱いされるドラゲーでは、CIMAの晴れ姿を見るラストチャンスとも考えられた。やはりキャリアの全てをみてきた選手には思い入れもある。と言う訳で、講座には出て終了後に観戦と言う予定を早くから決めていた。

後でお会いした方々の話を総合すると、昨年に比べるとやはり長いと言うのが第一印象にあったらしい。近年新日でもコンパクトにまとめる傾向があるから、17時スタートの4時間というのはやや長いかもしれない。そして全体的に昨年の大会のほうが評価が高かったあと会場の微妙な空気とCIMAの長いマイクには注文が入っていたことをまずいっておこう。

で、19時過ぎに到着して、ちょうどこれから試合がはじまるタイミングでセミファイナルから観戦できた。

会場入りして気づいたのだが、スタンド席は埋まっているのに、場所場所でお客の温度差が違いすぎる。盛り上がり方がまばらなのだ。とてもこれからセミファイナルがはじまる雰囲気ではない。実は事前に入っていた友人たちから「招待券もった引き換えの列がすごい」という情報を得ていた。

その時点で嫌な予感はしていたんだけど・・・・その招待券で来た層の中に、かなりの確率で一見さんがいたと思われる。なんか一部のノリにおいてけぼりになっている感じにもとれた。どこで盛り上がっていいのかわかってないのだ。

そのくせ堂々と目の前を横切られたりしてかなり鬱陶しかったので、少し迷って一番沸いていた東側3階に移動し、そこで観戦することにした。

セミファイナル◎オープン・ザ・トライアングルゲート選手権試合・6人タッグ4WAYマッチ◎

《王者組》吉野正人&戸澤陽&T-Hawkvs《挑戦者組》望月成晃&ドラゴン・キッド&ビッグR清水vs《挑戦者組》堀口元気H.A.Gee.Mee!!&斎藤“ジミー”了&ジミー・ススムvs《挑戦者組》サイバー・コング&谷嵜なおき&問題龍

○ジミーススム(19分46秒 ジャンボの勝ち!固め)×ビッグR清水○斎藤“ジミー”了

(22分4秒 斎了ロケット)

×問題龍○戸澤陽

(26分25秒 パッケージ・ジャーマンスープレックス・ホールド)

×斎藤“ジミー”了
(モンスターエキスプレスが防衛)

メイン以外は特にカードチェックもしていなかったのだが、6人タッグ王座戦で4WAYはやはり人数多すぎる。バトルロイヤルみたいに淘汰されるのではなく、勝ち残り戦と言うのも見ている側からすると、ややこしい。

ドラゲーをずっとみてきた側からするとユニット抗争の総決算とも取れるが、そうでないと、どこに誰がいるのかわからないし、どこが勝てば覇権がとれるとかいう流れもわからない。

せめてスクリーンでそのあたりを紹介くらいはしてほしいと思う。ドラゲーはスクリーン使う割にユニット抗争の流れはマイクですら説明するのが稀なのが不親切だなあ、と前から思っていたので、今回みたいに招待客とおぼしきお客さんが多いビッグマッチでは、そのくらいの配慮はしてほしい。

でないと、いくら放映権収入があっても、チケット収入には繋がらないし、テレビが撤退しても、最後に助けてくれるのはチケット代払うお客の口コミがものをいうことを考えたら、できない工夫ではないと思う。

特にドラゲーの場合、どんなカード組んでも一定レベルの試合内容を提供してしまうので、試合内容についてはもはやいじりようがない。しかもそこそこ選手層も厚いため、コンディションの悪い選手を休ませられる余裕もあるし、あとはそのあたりが改善されると、何回でも観に行けるけど、今のままだと招待券があれば行こうかな、的な感じになるので、そこは改善しないともったいない。

試合的には清水とサイバーのパワー対決がやはり異彩を放っていたが、真っ先に清水がやられてディアハート敗退。なんかドラゲーのユニットでは一番宙ぶらりんな感じになっている感じがした。

そのサイバーもいつの間にか敗退し、気がついたらジミーズ対モンスターエキスプレスの対決に。国際センターでも北体育館でも変わらないゴムぱっちんはもはや定番通り越しているけど、やると沸くんだよなあ。

結果的にはモンスターエキスプレスの防衛という順当な結果になったけど、ミレニアルズがなくなって、各先輩の下にそれぞれがついている現状は何となく後退してるような印象をうける。

世代闘争はメインになりにくいからあまりそれが目立つのは好ましいとは思わない。だからか、今のユニットにはどれも魅力を感じにくい。というよりクレージーMAXを超えるユニットが依然現れないのはやはり問題なんだよなあ。

メイン ◎オープン・ザ・ドリームゲート選手権試合◎

《王者》

○鷹木信悟(27分56秒 ラストファルコンリー)×CIMA《挑戦者》
(王者鷹木の防衛)

ドラゲーの場合、特に30代後半からベテランの部類にカテゴライズされているのに、私としては特に違和感を感じる。確かにこういうファイトスタイルで長く闘い続けるのは難しいだろう。しかし、他団体と比較するわけではないが、一般的にプロレスラーのピークは30代で迎えて40くらいから緩やかに落ちていくことを考えると、やっぱり30代後半でベテランだ、ゴミだと言われているいる現状はあまり気持ちのよいものではない。

それと、CIMAの場合、世に出たのがクレージーMAXとしてなんで、あの時点のイメージが鮮烈だとどうしてもシングルプレイヤーとしての活躍が連想しにくい。当時はマグナムTOKYOというスーパーシングルプレイヤーがいたせいで、CIMAはユニットのスターという感じがしてならない。

おそらくドラゲーからCIMAを知ったファンと闘龍門JAPANから見ているファンとに決定的な差があるとしたらそこだと思う。三度シングル王者になり、防衛記録すら打ち立てているCIMAは確かにシングルプレイヤーとしても素晴らしいのだが、やはりどっか物足らない。

対する鷹木には長らくユニットの影がちらついていたが、どちらかというと、ユニットには所属していても、団体からは個人売りされてきた。だからCIMAのように色がつく前にシングルプレイヤーというイメージが先行している感じがする。

ベテラン対 現役王者という図式の割にスピーディーな展開で試合は一進一退していく。しかし、巧さはあまりドラゲーでは重宝されない。スペルシーサーみたいな存在は他団体ならかなり貴重なバイプレイヤーになりうるのだが、ドラゲーにはいぶし銀枠が存在しない。だから団体が若さだけを前面に押し出してばかりいるからか、鷹木の強さもハルクの輝きもどこか刹那的なのだ。

それに多分抗うようにCIMAは試合後のマイクで「俺には闘龍門JAPANからみてくれるファンがいて、そのファンが自分の子どもを連れて応援にきてくれている!」と訴えていたが、こうしていぶし銀が生き残るスペースをドラゲー内で模索しているのが、デビュー当時、ベテランに勢いで迫り、スターダムにのし上がったCIMAだというのも皮肉な話である。

後記

まあ、若い時代に先輩方に「なんとかの化石になれ!」といっていたわけではないんだけど、若さと勢いがベテランの妙技に対抗しうるレベルに引き上げたのが、マグナムやCIMAだと思うので、CIMAがこういうアピールすること自体が感慨深く、同時に時の流れは残酷だなあと思うのだ。

とはいえ、ドラゲーという若い団体でいぶし銀の活躍する場を切り開かないと、ハルクや鷹木の10年後が不安になる。そういう意味でCIMAにはまだまだやるべきことがある。特にCIMAが若いころ、既にスーパースターだったライガーは50を超えてなお、WWEに出たり、再度IWGPに挑戦表明したりして、今なおチャレンジし続けている。

また、かつて団体の顧問だった天龍は引退までチャレンジをやめなかった。彼らはいずれも言葉ではなく、背中で後輩に行く道を示してきた。だから彼らはレジェンドになっても敬意を払われて続けている。しかし、そこへ行くとCIMAはしゃべりすぎだし、シーサーにいたっては主張しなさすぎなんで、ちょっと問題がある。ドラゲーのウィークポイントはまさに背中で語る選手が少ないこと。強いて言うならモッチーがその最右翼にいるんだけど、モッチーとは別な形で先輩の背中を見せられるCIMAでいてほしい。最近マイク持っても外すことが多いし、それはやっぱり寂しいことなんで、できることならそうあってほしいと思う。

今回は締めのCIMAといい、昨年に比べ招待券率が圧倒的に高いことも手伝った?会場の微妙な雰囲気といい、どこか歯車がかみ合っていなかった。こういう大会もあるのがドラゲーなんだけど、これだけ人を集められるのに、新日には肉薄できてない要因は今大会のあちこちにあったように思う。

とはいえ、集客力では間違いなく新日本に続く大手であることは疑いようがないので、細かい点を軌道修正して来年はまた感動できる大会にしてほしい。あと、本当招待券ビジネスはいつか自分の首をしめる事態になりかねないので、どこかで線引きはしたほうがいいと思う。

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