TRUENO GUERRERO PRODUCE GAMSHARA FANTASTICA MANIA’2019 (2019年7月7日(日):会場/門司赤煉瓦プレイス)
ドラゴンゲート小倉大会以来半月ぶりのプロレス観戦は、がむしゃらプロレスに。この日は、真裏でレアルルチャの10周年大会があって、本音をいえば「両方見たかった!」という気持ちはあった。
だが、まあいろんな事情があって、がむしゃらを選択した。下渡会長の件があってもなくてもがむしゃらに行くことは決めていたし、深い理由はない。だけど奇しくもおなじルチャベースの大会が、福岡で同時開催されるというのは、ある種感慨深い。レアルの成功も祈りつつ、門司赤煉瓦に向かった。
さて、2年目になるGAMSHARA FANTASTICA MANIA’は、昨年よりお祭り色が強い大会になった。注目はいくつもある。まず大挙参戦になる愛媛プロレス勢、そしてOPGのスーパーヘビー級における秘密兵器・グリーク。更にはイベント試合で存在感を見せつけてきた岩国プロレスのシドニーという他団体勢に加え、メインでは初結成になるYASU&TOSSHI&ゲレーロのジュニアトリオと見応え充分!
試合前の前説は陽樹&YASUの元・gWoコンビにして、現・チャンピオンコンビ。慣れない前説に「扱いが悪い」とブーたれていた。だんだん話すことがなくなって、ついに本部席にエキシビションマッチの開始を要請してリングを降りてしまった。
▼エキシビションマッチ(15:00開始前)
⓪△大島 良雄 vs△ ダイナマイト九州(時間切れ)
そんな感じではじまったエキシビションマッチ。最近は公開エキシもなかったのだが、相手はダイナマイト九州。査定役としては実にうってつけ。
見ていて思ったのは「第0試合にして正解だったな」ということ。レフェリーがいて実戦形式になると、やっぱり練習とは全然雰囲気が違う。大島はかなり緊張していたように見受けられたが、やっぱり練習の成果を出そうと必死になっていたように思う。実際、基本的な動きはほとんどできていたけど、それだけだったかな?
デビュー戦ではないけど事実上、お客さんが見ている前でのはじめての実戦だから仕方ない部分はあるが、大島はもう少し声を出してもいいと思う。打撃もまだ弱いし、何よりオーラがない。デビューした選手というのはなんだかんだいって、このオーラのあるなしが結構分かれ目になっていて、出てきた瞬間に会場の空気をかえられるところがある。
デビューに至らなかったというのは要はそういうことなのだ。でもまだ時間があるのでぜひともその辺の課題を克服して、デビューを果たしてほしいと思う。
ということで、いつの間にか終わっていた第0試合に続いて、怪我で欠場中の松江だんだんプロレスのALLマイティ井上さんと、プロレスリングFREEDAMSの佐々木貴代表がゲストで登場。井上さんは10月6日の広島にて西日本社会人サミットを開催することを報告。殿は下渡さんへの思いと、来月のFREEDAMS対がむしゃらの対抗戦を告知。ここから故・下渡会長の追悼セレモニーへ。
在りし日の下渡会長の映像を流したあと、皆で会長の好きな歌を歌って送りすという非常に明るいセレモニーだった。もっとも殿はリング上でずっと泣いていたけど・・・・。湿っぽいのは会長好きじゃないから、個人的にはぐっと我慢した。
▼ビバメヒコ抽選デスマッチ
①×リキ ライタ(当日抽選で決定) vs ○トゥルエノ・ゲレーロ
わざわざ抽選BOXを作って勢いこんで入場してきたゲレーロだったが、BOXに入っているはずの選手名は全部なぜかリキライタ。実は事前にゲレーロが用意したものを、リキがすり替えていたのだ。ということで二年連続でビバメヒコデスマッチにリキライタが出場決定。
しかし、試合開始後放ったゲレーロのドロップキックでリキはカウント3つをきいてしまい、テキーラを1滴も飲まずに試合終了。その時間わずか6秒。秒殺もいいところである。試合を終えて立ち去ろうとするゲレーロを、リキが必死で呼び止めてなんとか再試合にこぎつけたが・・・
当然、テキーラを飲むのはリキだけになっていくので、どんどん追いつめらられる。それでも一時は足四の字につないで、ゲレーロを追いつめた・・・かに見えたが、時間切れ前にゲレーロに反転され、結局この唯一のチャンスもリキがテキーラの洗礼を浴び、最後は足元もおぼつかない中で、きっちり負けてしまった。
とはいえ、昨年のインパクトが強すぎて、もはやテキーラ=リキライタになっているので、それはそれで問題ではある。面白いのは面白いけどね。
以前私がグレートカブキさんから聞いた話で、「レスラーはアイテムに頼らなくなったら一人前」というのがある。これはアイテムに頼りきりになると、これ以上の成長がないという意味なので、リキにはまだまだ工夫をしてもらう必要があると思う。
▼激突‼︎福岡vs愛媛 タッグマッチ
②×パンチくん & ダイナマイト九州 vs KOSHI & ○凡人パルプ
(9分02秒)
さて、初登場になる愛媛の凡人パルプとKOSHIの紙タッグが、もとGWAタッグチャンピオンチーム(だいぶ前の話だが)のパンチくん&九州と対戦するこのカード。愛媛プロレスというと、ライジングHAYATOと石鎚山太郎の両巨頭が定期的に参戦しているけど、ここへきて陣容も充実してきた愛媛プロレスにとってもこの2人が底上げされるのは重要なポイントになってくる。
その四国タッグに向かって「そのしこちゅー観光大使、勝ったら俺たちがいただく!」と宣言した九州はいきなり四国チームを奇襲。最近住んでもいない土地の観光大使になっているプロレスラーが活躍しているとはいえ、観光大使が試合のアイテムになる時代が来るとはなあ・・・・
試合のほとんどは自分たちのやりたい放題しているパンチくんと九州の前に翻弄されっぱなしになるKOSHIとパルプ。マスクの頭頂部にあるティッシュペーパーによく似た紙(髪?)で、鼻をかんだりと好き勝手に試合を進めていく。
終始劣勢だった四国勢はそれでも最後に得意の連携を駆使して九州&パンチくんに辛勝。観光大使の座も死守できたのだった。
▼アメリカンドリームタッグ結成‼(30分1本勝負)︎
③シドニー・昌汰・スティーブンス & ○SMITH vs サムソン澤田 & ×KENTA
(12分17秒)
生まれも育ちも岩国の米軍基地(たぶん生まれだけならジョージ高野さんもそうだった)のシドニーと、日本語ペラペラな星条旗仮面ことSMITHのアメリカンドリームチーム。今回はマネージャーに昨年SMITHが変身していたらしい?トラ〇プ大統領を帯同して登場。
アメリカベースのシドニー&SMITHに関しては連携も問題ないはずなのだが、SMITHがつかまってしまい、ローンバトルに。幸か不幸か星条旗マスクは口元が開いてない形状なんで、たびたびKENTAが敢行するマスク剥ぎで口元があくたびに呼吸しているし(笑)、トラ〇プ大統領の指示で用意した特大クラッカーも不発に終わるなど、アメリカンドリームチームは散々悪夢をみてしまう。
それでも規格外のシドニーがカットに入り、いつの間にかマスクがとれていたSMITHは急に動きがよくなって、アメリカンドリームチームに流れが戻ってくると、ドラゴンスリーパーでLCRを苦しめ、最後はエクスプロイダーでICチャンピオンKENTAからカウント3つ。がむしゃら以外では関西の団体で実戦経験を積んでいるだけあって、慣れないマスクでの戦いもなんのその。終わってみたらSMITHショー全開の試合内容になってしまった。
▼タッグマッチ(30分1本勝負)
④○MIKIHISA & 久保 希望 & リキ ライタ vs ×BIG-T & 豪右衛門 & 佐々木 貴
(10分10秒)
最初は普通のタッグマッチだったのだが、殿の急きょ参戦によって、6人タッグになったこの試合。ナスティサイドにこの日2試合目になるリキライタが加入。飲んで妙に気が大きくなっているリキライタはいきなり殿と一騎打ちに挑むが、今度は10秒で敗北。
当然リキライタは泣きの一回を申し込むのだが、なんと殿を「貴」よばわりし、上から目線で再選要求してきた。これにカチンときた殿は最初と同様容赦ない蹴りでリキをフォールするが、これはさすがにキックアウト。
久々登場になMIKIHISAはその中でも自分のペースを崩さずに試合ができていたと思う。しかし、gWo時代には散々BIG-Tの面倒をみさせられて、今度は正式加入でないにしてもリキの面倒を見る羽目になる・・・・そういう星のもとに生まれてきたのだろうか?
試合はこのリキライタに引っ掻き回される感じでドタバタした試合になってしまった。最後は殿までがテキーラを飲ませてめちゃくちゃになってしまった。そんな中で面倒をみてきたBIG-Tに苦しめられる場面もあったものの、最後はきっちりとMIKIHISAがもとチームメイトから勝利をもぎ取った。返す刀でもとパートナーの豪右衛門をナスティに勧誘し、豪右衛門もあっさり承諾。
これを見ていた殿は「おい!お前らがどこに行こうが知ったこっちゃないけどな。8月3日はお前らまとめてかかってこい!」と啖呵をきって、ユニット関係なしに喧嘩を売ると宣言。風雲急を告げる雲行きになってきた!
▼スペシャルタッグマッチ~POWER of POWER~(30分1本勝負)
⑤嵐 弾次郎 & ×鉄生 vs グリーク & ○陽樹
(12分51秒)
今回一番期待していたのがこのカード。なんといっても超重量級のメンツがそろったド迫力バトルには唖然とするほかなかったのだが、鉄生と陽樹というある意味「見飽きた」顔合わせが、嵐弾次郎とグリークという関西を中心に暴れまわっているライバル関係をミックスすることで、とんでもない化学反応を起こしたのだ。
特にグリークは嵐と闘っているときはなんだかスイッチが入っちゃったらしく、あきらかにプロでも入れないような角度のエルボーをバチバチ入れあっていた。
その音もまた強烈すぎ!みていて唖然とするほかなかった。やはりこの試合では初登場のグリークがほとんど見っていってしまったとしか言いようがない。
社会人としてはあきらかに規格外な体つきと上背は、それだけでも反則級なのに、重量級では西日本でも随一の能力をもつ鉄生を吹っ飛ばすんだから大したものだといわざるを得ない。
強いてこの試合で惜しかったのは、鉄生の古傷が途中で傷みだしてしまい。膝に十分な力が入らないくなってしまっていたことかもしれない。あれはアクシデントとはいえ、残念としかいいようがなかった。
だが、それでも十分すぎるくらいのド迫力バトルを見せてもらったし、大きく試合内容を下げるほどのウィークポイントにはなっていなかったので、ひとまずよかったといっておこう。ここまで体を張った試合を見せてもらえたら、もはやあれこれいうのが野暮というものだろう。素晴らしい試合だった。
▼メインイベント(30分1本勝負)
⑥石鎚山太郎 & ライジングHAYATO withキューティエリー・ザ・エヒメ & ○HIROYA vs TOSSHI & YASU & ×トゥルエノ・ゲレーロ(17分25秒)
基本、この試合のキモはジュニアヘビートリオ対ヘビー級トリオの肉弾戦ということになると思うが、ライジングHAYATOが飛べるヘビー級だったものだから、ややカラー別という点では焦点がぼやけてしまったかもしれない。確かにスーパージュニアの編隊飛行など、見所もたっぷりあった。イメージとしてはルチャリブレ=軽量級というのがあると思うので、むしろセミみたいなのがイレギュラーではあるのだろうけど、メインはメインらしい試合になっていた。
かといって対抗戦という感じでもないのは、対角線にゲレーロとともにタッグチャンピオンになっているHIROYAがいたせいかもしれない。
アクセントとしては石鎚山太郎がうまい具合にYASUを攻め込んで、ヘビー級らしさを出していた。このあたりは役割をよく心得ていたし、こっちも四国統一のタッグチャンピオンらしさを十分に見せつけていたのではないだろうか?
おしむらくはゲレーロが選手専業でこの試合をやっていたらもっと楽しかったのではないかと思うのだけど、ホストとしてプロデューサーとしても役割を果たさなければならない以上、どうしても全方位に目を届ける必要がある。それは仕方ないことなのだけど、そういう意味ではこの試合だけでも選手専業でやらせてあげたかったなというのはある。
やっぱりエリーさんの色香に惑わされて自分がまけるポイントを作ってYASU&TOSSHIに愛想つかされるところまでやったのは、プロデューサー・ゲレーロを全うしようとしたからだろうし、それは責められない。
最後は「エリートラップ」にはまったゲレーロが愛媛タッグの波状攻撃から、タッグパートナーのHIROYAにとられてしまったわけだが、汚れ役まで進んで引き受けたゲレーロの仕事ぶりは決して責められる類のものでははい。
昨年とはまた違った形で楽しめたファンタスティカマニア。通常だとこのあと、本流の流れになるGAM1が控えているのだが、今年はその間にもう一つ、8.3のFREEDAMS対がむしゃらプロレスが控えている。そうなると、8.3の結果如何では、GAM1に与える影響は決して小さくはないだろう。
更には10月の西日本社会人サミットを挟んで、年末のマニアに繋がっていく流れは、正直想像もできない。果たして下半期はどうなっていくのだろうか?