怒り、苦しみ、破壊し、創造する!世界プロレス式コミュニケーションガイド研究所所長の体験談ブログ(13)私がジャニーズをキライな10の理由その3
2018/04/01
実写版ヤマトの評価
このブログは基本自分が毒吐きたくて書いてます。毒は自分の中にためておくと、だんだん大きくなっていってある日、暴発します。今回も私の「毒吐き」にしばらくお付き合いいただこうかとも思います。
SMAPの登場はそれまでのアイドルの固定概念をことごとく変えていきました。アイドルには歌や踊りはもちろん、お笑いのセンスから人格にいたるまでほぼ完璧超人が求められるようになりました。そのかわり一旦人気がでれば40代でもアイドルが続けられるわけで、ある意味革命的と言っていいでしょう。
ただ、タレント生命が長期化したことで、様々な弊害が生まれたのは事実です。事例として私が実際に映画館に行き、鑑賞した作品をご紹介しましょう。
それは無謀な実写化と批判も多かった「実写版ヤマト」こと、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」です。この作品の主演はご存知木村拓哉さん。しかし実はこの通称「キムタクヤマト」に関していうと、私は製作サイドの精一杯の努力は評価しているのです。
同世代の人間だからこそ
というのも脚本の佐藤嗣麻子さんにしろ、山崎貴監督にしろ、いわゆるヤマトブームをリアルタイムで経験しているわけです。なぜかというと、お二人は私と同い年ですし、同世代の人間でヤマトのすごさを知らない人間はいないだろう、と私が勝手に解釈しているからです。
ですからヤマトの偉大さはお二人とも身にしみて理解されていらっしゃるでしょう。そしてやはり映像を手がける以上、憧れのヤマトを自分で作りたい気持ちもあったでしょうね。
しかし、原作の権利関係で裁判沙汰になって以降、新作ヤマトに松本零士デザインが使えないというハードルがある事に加え、邦画特有の先に主演俳優ありきで決まる企画、その企画自体、安易な実写リメイクの波に乗っかっただけという魂のない(と私は思っています)もので、これらの難題をクリアしてかつヤマトのイメージを壊さず作り上げるには、相当腐心したはずです。
具体的にいうとイスカンダルのスターシャのイラストが使えないため、苦肉の策で姿のみえない生命体にし、キャストだけオリジナルの上田みゆきさん、同じくデスラーを伊武雅刀さんを起用するなど随所にオリジナルリスペクトを匂わせています。
リスペクトが仇なした
それと、数あるヤマトコミカライズの中でも異色作になる、ひおあきら版を踏襲したかのような森雪のキャラクター設定はなかなか斬新でした。なんせ森雪が古代進を「古代」と呼び捨てにするのは本作だけですからね。これは黒木メイサさんのイメージに寄せた結果かもしれません。
しかし、このオリジナルリスペクトがかえって仇なした部分もあり、「そこだけなぜオリジナルな寄せた?」という批判にもつながりました。またキャストありきをはじめ、様々な制約や明らかな予算不足の中、無駄に戦闘シーンのCGだけが凝りまくるというなんだかわからない絵面になってしまいました。
ヤマトリスペクトを匂わせながら外部の制約に抗った跡ではないか?とわたしが考えているのがラストです。「さらば宇宙戦艦ヤマト」を彷彿とさせる結末は「実写版の第2作は作らせない」という現場の意思表示のように感じました。まあ、オリジナルヤマトは劇場版の感動を翻して続編を作り、大顰蹙を買うハメになったわけですが、ほぼ強引に完結させた点でも私は高く評価しています。
木村拓哉さんにしろ、山崎貴監督にしろ、ヤマトリスペクトに溢れた人びとを配しながら、その思い入れを充分反映できなかった実写版ヤマトですが、やはりキャストによせた原作改変はいただけません。確かにオリジナルヤマトの古代進の年齢が18歳というのはムチャクチャ無理がありますが、だからと言って木村さんの年齢に寄せるのもおかしな話です。そもそも演じるとは、キャストにイメージを寄せるのではなく、キャストが役柄にイメージを寄せていくものだと私は思います。
木村さんに年齢をあわせた結果、古代だけでなく、相対的に引き上げる羽目になり、実写版ヤマトはいびつな作品になりさがりました。
役柄に寄り添うのが役者では?
このように役者が役柄を従わせるのは本末転倒でしょう。私は役柄に寄り添い、キャラクターがさも実在するかのようにみせることのできる人を役者だと思っています。
確かに木村拓哉さんはヤマトが好きでヤマト愛にも溢れた方だとは聞いています。しかし本人の意思とは関係なく?結果的に役柄が役者にあわせる本末転倒な形になって誰が得をしたのでしょうか?
このジャニーズの理論がまかり通れば、今後も第2、第3のヤマトが現れるでしょう。それを少なくとも私は歓迎したくないし、認めたいとも思えないのです。
SMAPが解散したからといっておいそれと芸能界や邦画界の慣習は変わらないでしょう。しかし、そうしている間にも世の中は刻々と変化しています。
すでに進化のスピードから取り残された感のある日本のエンターテインメントが、果たして復権の日を迎えることができるでしょうか?
正直、私はこのままだとどうにもならないような気がしてならないんですけどね。