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[万国びっくり映画鑑賞記] エイリアン・オリジン

17年10月31日鑑賞。

“人類誕生の謎”を描く超大作「プロメテウス」に続く、衝撃のSFミステリー!中央アメリカのベリーズに駐留する米軍特殊部隊は、国境警備任務のため密林地帯に出発。ジャーナリストのジュリアたち、撮影クルーも同行した。彼らはマヤ文明の遺跡で、考古学調査隊のキャンプを発見。そこに隊員の姿はなく、パソコンには謎めいた動画が。それは洞窟に横たわる未知の生物、エイリアンの骸骨を撮影した映像だった…。(あらすじはamazonより転載)

キング・オブ・クソ映画

忍者ゾンビ」も大概のくそだったが、それと互角か上回るレベルの作品が、この「エイリアン・オリジン」である。私の中の「くそ映画センサー」が「これは危険!」とアラームを鳴らしていたので、ワゴンセールで迷わず買ったDVDなんだが・・・・私のくそ映画センサーには磨きがかかってきたなとしかいいようがない。「忍者ゾンビ」と「エイリアン・オリジン」、どちらもまごうことなき最上級のクソ映画だったからだ。

ただし、「忍者ゾンビ」と違って多少弁護の余地があるだけ余計に「エイリアン・オリジン」の方がたちは悪い。ではまずどこがダメかを指摘したうえで、(できたら)弁護してみようと思う。

エイリアンらしきものや人間の死体はそこかしこに登場するのだが、ジャングルで得体のしれない生命体と軍隊が闘っている印象しか残っていない時点で、エイリアンというより、どう見てもプレデター(ただし、エイリアンなんで透明にはならない^^)。

まずそこから間違っているのだけど、プレデターには姿が見えない恐怖があって、そこが魅力だった。

ハンディカメラの多用が招いたクソ画面

①誰と闘っているのかさっぱりわからない

しかし、「エイリアン・オリジン」には「プレデター」ほどの潤沢な予算がない(はず)。そこで、この映画がとった窮余の策というのが、いわゆる「パラノーマル・アクティビティ」方式・・・要するに「ハンディカメラ」の多用である。

しかしハンディの多用は、よほど綿密な計算がないとただの見えにくい映像の羅列にしかならないのが最大の地雷で、「エイリアン・オリジン」はきっちりとその地雷を踏んで作られている。おそらくハンディ使った駄作としては「女子高生サバイバルドライブ」に匹敵するクソさ加減であることは保証しよう!

そもそもジャングルの戦闘という、遮蔽物だらけの中でうまくドンパチやるシーンを描こうと思ったら、ハンディカメラを使う選択肢はまず考えられない。使うんだったら徹底したロケハンをして綿密な計算のもとでやらないと「こういうこと」になるのである。

結局、ジャングルの中を走り回っていつの間にか人が死んでいるので、エイリアンがいなくても普通にありそうな気がしないでもない。人が走り回っているのを見るのが、3度の飯よりお好きなら見てみるといいかもしれない。

SFで使い古されたネタ

②エイリアンが人類の先祖?

これも最後の方で女性学者がセリフで説明して終わっているのだが、SFでは人類が宇宙人との混血によって派生した生物という設定は、あまりに多すぎてオチとしては極めて弱い。っていうか今どき人類=エイリアンの子孫という設定を持ち出してどや顔されてもなあというのが正直なところで、要はこの映画のタイトルであるオリジンというのは、「人類のオリジン」=「エイリアン」ということがいいたかったらしいのだが、だとしてもタイトルでネタバレとかやっていいのか?

むしろ、名匠リドリー・スコットが作った「元祖」エイリアン(1979年)の「オリジン」が本作なんだよという具合に、リドリー・スコットに喧嘩うるくらいの厚顔無恥さでもあった方がまだましで、私的に実はそこを期待していたのだけど、「エイリアン・オリジン」には、残念ながらそのあたりはかけらもなかった。

さて、弁護の余地があると書いた以上、弁護しないといけないのだが、実は調べていくとなんと隊長役の人がどうも軍人、もしくは軍人経験者だったらしいことが判明。素人臭いハンディ映像に妙なリアリティがあるなとは思っていたが、ここだけは「キングコング・髑髏島の巨神」に登場するパッカード大佐よりはましに見えるのが救いといえば救い。でも本当にこれしかないんで、多くは期待してはだめだろう。

ある意味、厚顔無恥な映画(笑)

③キャストは全員「ド素人」

もっとももと軍人としてのスキルは演技力にまでは生きていないので、当然演技力では、サミュエル・L・ジャクソンとはくらべものにはならないということだけはしっかり明記しておこう。そもそもキャストのほとんどが「ど素人」という点では「忍者ゾンビ」といい勝負だからだ。

正直、日本はマラソンや駅伝中継が盛んなんで、人がただ走るのを見て楽しむ人間は一定数いるとは思うけれど、このジャングルを走り回るだけの映画に本気で何かを期待して見に来た人が、仮に少しでもいたとしたら本当に「お気の毒でした」としかいいようがない。

しかし、世の中にはまだまだ探せばくそ映画ってあるもんだよなあ、ということを思い知らされた逸品だった。ちょうど風邪がなおりかけたところで観たからまだよかったが、これが発熱しているときに鑑賞していたら、確実に2~3日長く寝込んでしまうところだった。

とにかくあからさまな地雷をいくつも踏んで作られた奇跡の駄作。それが「エイリアン・オリジン」なのだ。








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