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[映画鑑賞記] メガゾーン23PARTⅡ

2017/03/16

16年12月30日鑑賞。

B.D.に敗れ去り、友人のライトニング率いる暴走族「TRASH(トラッシュ)」に身を寄せていた省吾は、半年ぶりに由唯に再会する。その頃、街には戦意高揚の垂れ幕が掲げられ、軍の広告塔と成り果てたイヴを通して人々を戦争に駆り立てるメッセージが連日流されていた。しかし、バハムートは完全には軍の管理下に落ちてはおらず、軍がイヴの亡霊と呼ぶかつてのイヴが現れ、7Gのオペレーターである省吾に対して自分にコンタクトして欲しいとの呼び掛けを続けていた。省吾は自分を待ち続けた由唯のわだかまりを身と心で解いて想いを伝えると、本来のイヴに会うため、そして彼女が何を自分に伝えようとしているのかを知るため、TRASHの助けを借りる。

その頃、デザルグは本格的なMZ23への侵攻を開始していた。迎撃に出た最新鋭艦エアグレーンFX-101とその護衛部隊も、デザルグの圧倒的な戦力の前には為す術もなく壊滅してしまう。一方、軍の手でプロトガーランドとして修復されたガーランドを入手した省吾は、軍の追跡をかわしながらバハムートに向かう。軍の攻撃に1人、また1人と仲間が倒れ、遂にはガーランドも大破してしまうが、省吾は軍の追撃で負傷した由唯と共に、バハムート未知セクションにあるイヴの所へ辿り着く。

イヴの言葉に省吾が、省吾の言葉にイヴが揺り動かされる。イヴの質問に対して自分が今したいこと、そして大人というのは汚い人々だ、という気持ちを話した省吾に対しイヴは「あなたが憧れた大人になればいい」と告げる。しかし、月の防衛システム「A.D.A.M.」の作動開始に伴い会話も中断し、ついにイヴの真実が明かされる。(あらすじはwikipediaより)

パート1はよく東京単館上映だったという話がネットでも出ているが、実は広島東映でも短期間上映されていて、私がパート1を劇場で見たというのは広島在住時のお話。しかしこのPARTⅡ、さらには年月を経たⅢ公開当時は、下関に帰ってきてしまったので、当然地元では上映もしておらず、WOWOWの一挙放送がはじめての鑑賞となった。

全部見終えて思ったのは、「公開当時みていたら評価低かっただろうなあ」ということ。正直別作品かのように変わっている(キャラクターデザインが平野俊貴氏から梅津泰臣氏へ、監督が石黒昇氏から板野一郎氏へスタッフも変更されている)ので、当然といえば当然なんだが、ちょっとこの変化には若いころなら拒絶反応をおこしていただろう。梅津キャラと美樹本キャラ(時祭イブのみ)の食い合わせもそうなんだけど、両方が歩み寄ろうして変なハレーションを起こしているようにも見える。イブの動かし方に関しては美樹本キャラに慣れている門上洋子氏の仕事がしっかりしていているのだけど、90年代で花開く梅津キャラのリアルさは80年代ではまだ過渡期にあることが、時代を経てみるとよくわかる。あの時代でも十分完成はしていたんだけど、さらに「上乗せ」の進化があるなんて当時は想像もしてなかったからなあ。だから進化の過程にあるとしてみるとこの時代の梅津キャラは十分アリなんだけど、良くも悪くもまだ若さが前面ににじみ出ている。

とはいえやはりアニメーター・梅津泰臣の天才ぶりはこの作品でもいやというほど発揮されている。監督としてはイマイチだけど、アニメーターとしての氏の才能を否定する人はそう多くはないだろう。もちろん好き嫌いはあるので、そこは仕方ない部分ではあるけど、PARTⅡをみてて思うのは、「最初から梅津キャラで作っていたらPART1が必要以上にマクロスと比べられないで済んだのかもなあ」ということだった。綿密にリサーチされた80年代の東京の街並みに、六本木ハードロックカフェも全面協力したロケハンはいたるところで生かされている。そこに梅津キャラはぴったりマッチングしているのだ。

とはいいながらも、若者がいくら元気だったころの話とはいえ、軍隊が暴走族とガチ喧嘩してたびたび負けるってどうなのよと思うし、引っ張ったわりにはイブの正体もそれほどたいしたことはなかったというか。一応PART1でたためなかった風呂敷はほぼ全面的にたたんできてはいるけれど、BDにやたら突っかかるお子様の省吾がそれほどえらいとは思えない。省吾を青臭く描いているのは意図されたものだそうで、ここらへんは実をいうと結果的にはⅢの伏線にもなっている。

ただ、この場面はPART1で噛みついていた時より省吾が多少なり成長してB.Dの前に立つというところが作品のみそでもあり、若さゆえに年老いた時のことが想像できていないあたりも、今見ると実にいい感じなのだ。なんというか子を見守る親の視点が追加された感じがしたのだ。当事者として、同じ若者としてみたら、やはり青臭いとしか思えないだろうけど、ちょっと離れた立ち位置から見直すと、この映画もなかなか悪くはない。そう私は思った。

実際、お話自体はそうまとまった形になっているわけでもないし、勢いだけで描いてしまったようなところもなくはないのだけど、それでもやはり今このスタッフが結集して作ってもメガゾーン23のような作品を作るのは難しいだろう。そういう意味ではよくこの時代に若い才能にチャンスを与えてくれたなあとしかいいようがない。

歴史を経て見直すと新しい発見があるというのは意外だけど、80年代という自分が最もアニメに入れ込んでいた時代をこうして俯瞰で見返すことも意味があるのかも知れないなあと思った。

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