[心理×びっくり映画] 万国びっくり映画鑑賞記・ヴァン・ヘルシング VS スペースドラキュラ
2016/10/18
原題は「ドラキュラ3000」。3000体いる・・・訳ではなく、西暦3000年のドラキュラということらしいです。
西暦3000年。ヴァン・ヘルシング船長率いる宇宙船が漂流中の巨大貨物船を発見するのですが、どうも50年前に何かあったらしく、貨物船の中はもぬけの殻。無人の船内を捜索していると、ずらりと並んだ棺おけを発見。 で,映画はいきなり冒頭で西暦2950年の漂流宇宙船の船長さんのビデオから始まります。何でも,原因不明の伝染病が発生して宇宙船の中で蔓延したらしいです。そしてなぜか彼の手には十字架が握られています。そして50年後にそれを発見したのがヘルシング船長の宇宙船です。
とりあえず偵察として2名が乗り込みますが、つけているのはなんとガスマスクで,後ろは髪の毛が出ています。真空だったり,あるいは有毒ガスが立ち込めていたらたちまちいちころ。しかし漂流宇宙船の中は酸素87%とわかり,いきなり「ここは安全よ」とガスマスクみたいなのをはずす2人。おいおい!ここ宇宙だよな?
しかし誰もいないことがわかって全員がその船に乗り込みます。ところがなんとこの87%の酸素の中でタバコを吸うヘルシング船長。普通に死人が出そうなことを平気でやらかすので別な意味でひやひやします。 そして捜索するうちになぜか自分たちの宇宙船は勝手に切り離されて戻れなくなり,その50年前の宇宙船で地球に戻るしかなくなります。
しかも,貨物船の船長室では体を椅子に縛り付けて十字架を持ったミイラ化した死体が見つかり,しかも,他にも誰かいるような気配がします。一方,貨物船船長が残したビデオから,その宇宙船がトランシルバニア星からの積荷を運んでいる最中にトラブルに見舞われたことがわかってきます。実はこの貨物船(というか吸血鬼)、「トランシルヴァニア星」から地球に行く途中だったらしいのです。
この顔色の悪いおっちゃんドラキュラ、どうも実は地球産のドラキュラ伯爵本人様らしいってことがわかるんですが・・・・となるとあんた、いつのまに地球からトランシルヴァニア星に移住したんですかって話で新たな疑問で頭がパニックに・・・・
ちなみに宇宙船は宇宙空間にありますが,宇宙船の中は無重力でなく,普通に走ったりしています。ある意味,すごいです。西暦3000年という気が遠くなりそうな未来なのに,宇宙船の内部はどう見てもそこらの配管むき出しの工場内部みたいにしか見えません。クルーが持っている銃も20世紀の機関銃。扉もすべて手動です。21世紀の人間がみてもアナクロ感たっぷりすぎて、逆に未来ってこんなのかもしれないなあと思ったりもして。んなわけないか。
棺がわさ~っとあるのだから,吸血鬼がわらわらと復活するかと思うのが普通ですが、実際は2体しかでてきません。しかもドラキュラ伯爵の服装は西暦3000年なのに,伝統的なドラキュラ伯爵のマント姿です。それも黒のマントにタキシード、オールバックの青白い顔したおっちゃんです。カリスマ性のかけらもないため、きっとあの世でクリストファー・リーも苦笑いしていることでしょう。この吸血鬼、普通木の杭で心臓をつかれるものですが、なぜか船内にあった木製のビリヤードで使うキューで突かれて絶命しています。木製だったらなんでもいいみたいです。ある意味「ハスラー VS スペースドラキュラ」にタイトルかえてもよかったかもしれません。
コンピュータの起動に成功し,吸血鬼についてのデータを検索。木の杭で殺せるとか太陽の光に弱いいう情報とともに,昔,ヴァンパイアハンターとして有名なヴァン・ヘルシングという男がいたことを知ります。偶然にも船長と同姓同名! というわけで,ほぼなし崩し的に船長はヴァンパイアハンターの末裔ということになります。
しかし太陽の光を浴びせればいいとわかっても,そこは宇宙の辺境のため,最寄の二重恒星まで行くのに13時間必要です。仕方がないので,その恒星を目指して走行します。
一方,オーロラ副船長はドラキュラ伯爵に襲われたはずなのになぜかどこにも咬み傷はなく,吸血鬼にもなりません。なぜかというと,彼女はヘルシング船が怪しいとにらんだ政府組織?が潜入操作させたロボットだったからです。当然「なぜ彼女がロボットでどうして船長を監視しないといけないのか」という説明は一切ありません。わかりました。「察しろ」ということですね。この辺日本人は得意なんで察してあげましょう。
最後の方でタイトル通りドラキュラとヘルシング船長という宿命の対決がありますが,そのシーン実は「ありません」。しかもヘルシング船長はあっさりと咬まれてしまい主人公としての仕事すらしていません。おまけに味方に襲い掛かりますが、仲間から返り討ちに会い、惨殺されて退場・・・・って仕事しろよ!!!!
で、副船長の金髪ロボは捜査官ロボの前に、実は風俗系ロボだったことが唐突に判明。「楽しみましょう」と生き残りの船員に持ちかけます。ここはサービスシーンかなと思っていたら・・・・
宇宙船はヴァンパイアを倒すため最寄の太陽に向かってる(日光に弱いと分かったので進路変更してました)んですが、このまま進み続けると太陽に突っ込んで貨物船もろとも吹っ飛んでしまいます。進路変更しようにも既に航海士は死亡。頼りの船長も今は亡く(自分らで殺したしね)。さらに扉の向こうでは未だ顔色の悪いドラキュラが徘徊しております。この状況でサービスシーンにいったらなかば「もうどうにでもなれ」的なやけくそですよね。問題から目を背けてお楽しみって・・・・
まさにいろんな意味で絵に描いたような危機的状況です。迫るタイムリミット、山積みの問題。しかし、なんとここから盛り上がるよね?というところで唐突に宇宙船はなんと爆発炎上! そしてそのまま間髪入れずにエンドクレジットが流れ出し・・・・わが目を疑うあまりに、リモコンのリピートボタンおしそうになっちゃいました。
ここから怒涛の反撃とかするのがアクションものの定番ってってもんじゃないんですか!?追い詰められた時点で爆発して終わりって!?投げっぱなしジャーマンにもほどがある終わり方!これはいろいろ見てきた映画の中では一番びっくりする終わり方だったですねえ。
いや~、期待にたがわないというか想像の斜め左からいきなりダンプカーが飛び出してきたかのような衝撃の結末はこれぞ「KING OF 万国びっくり映画」の名にふさわしいといえるでしょう。なお、さしもの私でも途中何度か睡魔に襲われて90分の映画を3時間近くかけてみたのはここだけの話です。