[アニメ感想] 2019冬アニメ完走分感想文 放課後さいころ倶楽部
2019/12/22
いつもひとりでいること—。
人付き合いが苦手で引っ込み思案な武笠美姫にとっては、それが当たり前の日常。
そんな美姫が、天真爛漫なクラスメイトの高屋敷綾、クラス委員長の大野翠、ドイツからの転校生エミーリアと出会い、
ボードゲームを通して友情を深め、少しずつ前に進んでいく。
当たり前だった日常が、特別な毎日に変わっていく—。(あらすじは公式HPより)
お話自体はしっかりしている
ボードゲームという割とマイナーな世界にハマるJK達の日常アニメ。まさにそのまま想像がつくような内容だが、何故かとても気になる作品。
毎回ひとつのゲームが紹介され、その世界に詳しい登場人物が、そうでもない登場人物と視聴者に、楽しく簡潔に遊び方の説明をしてくれる…という流れなんだが、難を言えば、その説明を理解するのが容易でなく、従って私にはゲーム自体にあまり興味が持てなかったのが、マイナスかなあ。
毎回確かに引き込まれて観ちゃってるんだから、お話自体はしっかりしているんだけど、欲を言えばボードゲームの魅力が、よりたくさん伝わってほしかったなあ。
原作マンガだとすぐに読み返して、また先に行けるけど、アニメはそういうわけにもいかず…。表現方法の差が壁になった感じが私にはした。
内面の思考を描写
ただ、本筋の物語もちゃんとしてて、彼女たちのいろんな気持ちを伝えてくれるし、何よりゲームを楽しんでいる女の子のキャッキャウフフを観るのは悪い気はしない。
ゲーム中や物語中を通して描かれる登場人物達の性格、というのは、この作品の大きな魅力になっていたのは確かだと思う。
各話の前半で、学校でのいざこざみたいなのがあって、後半でボードゲームを一緒に遊ぶ中で、モヤモヤした人間関係が良い方向に向かうっていう話の構成はよく考えられていた。
ボードゲームって友達や家族とやるものだと思っていたけど、このアニメみたいにあまり親しくない人と仲良くなるきっかけになると言う構成は、素直にいいなと私には思えた。
また、ボードゲームの要素の中に含まれる、相手の思考の読みあいという駆け引きにおいて、登場人物の性格が表れていたのも、重要な要素になっていたと思う。
「放課後さいころ倶楽部」では、プレイヤー自身の内面の思考を描写することによって、作品としてはゲームによって性格を描写しているようにみえた。
通しての出来は常に安定
また、ゲームの進行によって作品のテーマを解決していく構成にしているため、「ゲームはおまけ」というわけではなく、作品中のテーマを解決する仕組みとして組み込まれているようだった。
だから、うまくゲームが絡められていたら、更に「ボードゲーム、やってみたいな」となったかもしれない。そこは非常に惜しかった。
最初の印象は主人公の美姫しかり店長しかり、少し濃い人物によって構成されている作品と感じられたが、終盤では、引っ込み思案な美姫の成長を見守るという流れになっていった。ここらへんの心理描写は比較的丁寧だったと私は思っている。
そして、ボードゲームの面白さを伝えるために作られたというよりも、ボードゲームを通して人間を見る面白さを感じる作品になったんじゃないだろうか?とも解釈してみた。
「放課後さいころ倶楽部」は、多少演出や作画に不安定な部分はあったものの、シリーズ通しての出来は常に安定していたし、地味な題材でありながら、しっかりした作りで安心してみていられた。これは今期では貴重なタイプの作品ではなかったか、と私は思っている。