[アニメ感想] 2019年夏アニメ完走分感想文 荒ぶる季節の乙女どもよ。
小野寺和紗は、所属している文芸部で他の部員たちと本の朗読をしていた。今まで読んできた作品とは全く違う大人な世界に戸惑う和紗。
そんなある日の昼休み、一同は部長のり香から好きな作家の新作情報を聞く。作品の話題で盛り上がる中、新菜が口を開く。
「私が死ぬまでにしたい事は……」(あらすじは公式HPより)
これはかなり荒ぶるのでは?
「荒ぶる」というタイトルから想像するほど荒ぶってないし、ギャグ方向に全振りしてるわけでもない作品。
ただひたすらにピュアな女子高生が「えすいーばつ」に振り回されるお話。主人公を含む文芸部の灰色少女たちは、決して深いわけではないし、結構見たまんまなキャラ。
ぶつかることはあったけど、友情も感じられる結構ストレートな感じ。回り回って5人でとても良い味が出ていた。青春物語としてはなかなかよかったとも思う。声優さんたちの熱演も見事だったし。
一話を見るとエロ全開な話かと思って、「これはかなり荒ぶるのでは?」と思っていたが、意外にも中高生が異性に興味を持つ過程で通る道としてエロ抜きには語れないという方向になっていった。
「荒ぶる季節の乙女どもよ。」はいやらしいエロではなく、純粋な恋愛に目覚める過程でのエロで、健全で純情という描き方をしていたように思う。そう、エロはあくまでもスパイスで、話の中心はラブコメなのだ。
アニメだからこそできる表現
原作・脚本の岡田麿里さんは、綺麗事で済まさない脚本を書くことに特色があって、いい方にも悪い方にもその特徴が出やすいが、今回は当たり!
「荒ぶる季節の乙女どもよ。」は思春期の学生が直面する性を掘り下げた物語になっていたし、これが良い方向に出ることが多かったように思う。
ただ、アニメだからこそできる表現を追求しているため、実写化には耐えられないようなリアリティを削いだ展開になることがあった。
そうなるとラブコメの「コメ(ディ)」を強調したようになってしまっていて、バランスが悪くなってしまう。この匙加減というのは難しいものだなとは思った。
とはいっても「荒ぶる季節の乙女どもよ。」は好意的にみられる範囲内だと思うし、これはこれでよかったと思う。二期とかやらなくてもここで終わったらそれなりに名作として語り継がれそうな気がする。