[アニメ感想] 2019年春アニメ完走分感想文 超可動ガール1/6
三次元(現実)の女性に興味が無い硬派なオタク、房伊田春人。
ある日、大好きなアニメのヒロイン・ノーナの美少女フィギュアを購入したが、
突然フィギュアのはずのノーナが動き出した!
一人 と 一機 (?)の ドタバタ夫婦的生活、始まる!(あらすじは公式HPより)
気を衒わずに、真っ向から
「超可動ガール1/6」は、掲載誌を変えつつ連載が続いた(アニメテロップでは月刊アクション連載)作品で、ベタだけどアニメ大好きなオタク青年と、彼が買ったフィギュアがなぜか動き出して、彼と共同生活をはじめてしまうという、いわば夫婦漫才コメディと呼べるもの。
設定やストーリーには目新しさはないけれど、15分という時間枠で気を衒わずに、真っ向から照れずに描いたことで、アニメもなかなかの良作になった。
studio A-CATがかつて手掛けたフレームアームズ・ガール(2017年)と同様、ミニサイズのフィギュアキャラクターを基本的に3Dモデルで動かし、部分的に手書きを用いるスタイルを取っているが、フレームアームズ・ガールより2Dと3Dがより馴染んでおり、違和感が少ないのも特徴。
技術的な面でも2年前とは格段の進化を遂げている。主に時間的、金銭的な面で制約の多い中、15分という枠をうまい具合に生かしている印象がある。私は原作未読ではあるのだが、今回のアニメ化は、双葉社連載の作品をまとめて短時間で三作作って、30分で放送するスタイルだったようだ。
期待を裏切らなかった
全てのアニメが30分なり60分なりで作られる必要はないわけだから、放送枠との絡みも考えたらこうしたスタイルのアニメ化作品は今後も増えていくだろう。
「超可動ガール1/6」をてがけた元永慶太郎監督は、80年代からアニメ演出を手掛けているベテランで、ざっと代表作をあげると「刀語」(2010年)、「ヨルムンガンド」(2012年)、「デート・ア・ライブ」シリーズ(2013年〜2019年)、「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」(2013年)など枚挙に暇ない。
したがって、ベタだけど照れずにラブコメを描ける監督さんであり、またフレームアームズ・ガールも見ていた私としては、studio A-CATの仕事ぶりにも信頼を置いていたので、その期待を裏切らなかっただけでも、「超可動ガール1/6」は特筆に値する。
もちろん年間の覇権が取れるような作品ではないし、こちらも期待はしていない。ただ、きちんとした仕事ぶりが見られるという点では非常に満足できたし、大傑作でなくても、こうした作品が見られるということは幸せなのだな、と私は思っているのである。